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「反省させると犯罪者になります」を読んで、自分の育児を反省した話

ショッキングなタイトルですが、この本、とても面白かったです。

刑務所で実際に受刑者の更生を支援していた教育心理学者・岡本 茂樹さんの著書。「反省させて満足すること」「反省文を書かせ、それを評価すること」の問題を、刑務所・少年院などでの実体験から鋭く指摘しています。


私は2人の幼児を育てていますが、育児をしていると、「悪いこと」をした子供に謝らせることがよくあります。まず「ごめんなさい」と言わせる。言い方がふざけていたりすると、「ちゃんと反省しているの?」「何が悪いかわかっているの?」と問い詰め、きちんと謝らせる。

でも、この本では、そういった「反省」に警鐘を鳴らします。「反省しろ」と言われ、言われたとおりに謝るだけ、反省文を書くだけ、という「表向きの反省」は無意味どころか悪影響だと。

なぜなら、犯罪を犯す人…だけでなく、人を傷つけてしまう人(私達全員ですね)には、そう行動した、せざるを得なかった理由があるから。そして、犯罪までエスカレートしてしまう人は、深い傷を負っていることが多いから、です。

人を傷けるに至った理由や、本人が持つ深い傷に目を向けずに、一足飛びで「反省した態度」をとらせたり、「反省文」を書かせてそれだけを評価してしまうと、人を傷つけた行動の根っこが変わらないまま、「反省する態度「反省文」だけが上手くなる。そして、より悪質で「ばれないような」再犯につながり、また逮捕されても「反省文だけ立派」になってしまって早期出所してしまう、といいます。

私は、いまドラマ放送中の警察漫画「ハコヅメ」が大好きなのですが、その中で、薬物犯罪に関わった女性の取り調べ中、こんな描写がありました。

「女性被疑者のサラリと語る過去が壮絶なの 毎回ビビる…...」

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すごくさらったとした書きぶりながら、とても引っかかっていましたが、この2冊に書かれていることが、私の中で符合しました。

犯罪を犯さざるを得なかった人は、家庭環境が壮絶だったりして、本人が深く傷ついていることが多い。「ハコヅメ」は警察官を10年務めた作者によるものですから、「女性被疑者の過去が毎回壮絶」という表現には、一定のリアリティがあると思います。深く傷つき、受け止めてもらえないで生きてきた人が、犯罪に近づいてしまう…。ハコヅメには、そういう犯罪者がしばしば出てきます。

過去に深く傷ついた経験がなくても、犯罪まで行かずとも、私達が日々生きるなかで、知らず知らず人を傷つけてしまうことは、よくあります。

「そんなつもりはなかった」と思っているのに謝罪を求められ、納得できない……そんな気持ちになったり、傷ついたと言う相手に「ごめんなさい」と謝りながら、「仕方なかった」「こちらにも理由がある」「自分は悪くないのに」…と、心の中で反発していることもある。

自分自身のそんな心情にも重ね合わせ、育児においても、「反省させる」ことで満足してはいけないな、と、心に刻んだ本でした。

(以下、育児に関する過去記事など。よろしければご覧くださいませ)






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