前澤ファンドから出資してもらうまでの話

2020年は新型コロナウイルスにより生活が一変し、
今までのあらゆる常識が覆る、まさにパラダイムシフトの年でした。
スタートアップ企業にとってこの数年は資金を集めやすい状況にありました。しかし、コロナにより経済への打撃が日々深刻さを増し、
2020年前半頃はスタートアップへの投資に対して非常に厳しい声がたくさん耳に入ってきました。

そんな中、私が代表をつとめる株式会社ユカシカドでは
「株式会社前澤ファンド(代表取締役:前澤友作)※以下前澤ファンド」などから約15億円の資金調達を実施することができました。

どうやってこのご縁を引き寄せることができたのかを書くことで
これから何かにチャレンジしようと思ってる方の参考になれば嬉しいです。

前半は、自己紹介や前澤ファンドへのエントリーの動機。
後半は、自身のこれまでの経験などを交えて、
何を意識して行動してきたかについて書きました。

自己紹介

ユカシカドという会社で代表をしている美濃部といいます。
学生時代は関西学院大学でアメフトをしていました。
ご存知の方も多いかもしれないですが、最強のチームです(笑)今でもこのチームでプレーしてきたことを誇らしく思っています。継続して勝ち続けるための考え方は学生4年間で叩き込まれました。新卒で株式会社リクルートに入社し、オイシックス株式会社へ出向後、起業という経歴です。

ユカシカドは、2013年3月に設立した栄養改善に特化したスタートアップ企業で、科学的根拠に基づいて一人ひとりに適した栄養を提供する「Personalized Nutrition」(栄養の個別最適化)事業を展開しています。

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※前澤さんからのご出資が決まった時の写真です!!

前澤ファンドとは?


前澤ファンドは、前澤友作の個人資産をもとに、「社会課題の解決」や「趣味の追求」を事業テーマに掲げる起業家や団体に出資を行う株式会社です。ZOZOの創業者である前澤友作氏が夢ある事業プランやアイデアを持ち合わせた、挑戦意欲と社会貢献意欲の高い起業家に投資するプロジェクトをTwitterで発表されました。

ご存知の通り前澤さんは、事業を大きく成長させた確固たる実績があります。そんな方が自身の知見や人脈などを惜しみなくフル活用し、事業の急成長を支えてくださる夢のようなプロジェクトです。結果蓋を開けてみれば、総勢4,331件の応募があり、書類審査・質疑審査・面談を経て14社への出資となりました。

前澤ファンドエントリー動機

前澤さんを深く意識するようになったのは、2017年12月頃でした。
当時の僕は、エクイティーファイナンス(株式発行による資金調達)に対して
とてもネガティブ(特にステークホルダーが増えて、説明コストが上がり、場合によってやりたいことができなくなる可能性)なイメージを持っていました。
↓詳細はこちら
https://blog.yukashikado.co.jp/entry/2019/03/15/160224

そんな時、前澤さんの存在が背中を押してくださり、エクイティファイナンスを実行する決断ができました。

「国内外を問わず平等な環境と機会の創造に全力を尽くし、努力できる才能を持っている人が強くなれる世界をつくる」ユカシカドが掲げているミッションです。

どうしても実現したい。だから、会社という箱をつくり、そこに素晴らしい仲間が集ってきてくれてミッション達成に向けて日々汗を流して活動しているわけです。想いもあるし、行動もできる。足りないのはその想いを理解し、実現できる経験をお持ちの方のサポートだと思っていました。

Twitterで前澤ファンドの企画が流れてきた時は、言わずもがなですが、エントリーすることは勿論の事、前澤さんが経営に参画してくれたらどんな事ができるかを考え始めていました。


では後半は、前澤ファンドからご縁を引き寄せることができたかの話を色々なエピソードを交えてご説明できればと思います。

誰かが見てくれているは嘘!

新卒で入社したリクルートで配属されたのは、求人情報の営業でした。
生意気にも配属面談の時、「東京で会社経営者に最も会えて、新規営業できる部署に配属してください。そうしないとリクルートにとって損失です」と記載した巻物を配属担当の方に渡しました。(今思うとすごい生意気。快く受け取ってくださった先輩に感謝です)巻物効果か分かりませんが、結果、希望通りの配属をしていただけました。目標から逆算して実行していくことが得意だったことや周囲の仲間にも恵まれ、常に好成績を残していました。徐々にもっと経営に近い仕事がしたいと思い始めてはいたものの、結果を出せば誰かが見てくれていて、希望を叶えてくれると願い、何も言わずに結果を出し続けることにしました。しかし、結果を出せば出すほど上司が異動させてくれなくなり、その様子を知ってか見兼ねた優しい人事の先輩が「美濃部は結果出してきたのでいい場所用意するよ!」と言ってくださりました。そしてその言葉通り、異動になりました。しかし、仕事内容はおじさま方への社内調整業務、先輩と一緒にラーメン二郎に行くことでした。(嘘つきー!!)リクルートの創業者である江副さんが作った「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という昔の社訓があります。またリクルートにはキャリアウェブという社内移籍制度があり、待っていてもチャンスはこないという事が身に染みて分かったので、社会人人生で初めて自ら手を挙げることにしました。そして希望叶って、オイシックスに1人で出向できることになりました。
愚直にがんばることはもちろん重要ですが、意思を持って自ら切り開く勇気を持つことが重要。つまり有言実行がとても重要なんじゃないかと思っています。有言には、責任や結果を出せなかったらどうしようという不安から不言になることがあると思います。
でも、本当のリーダーなら言ったことの形が変わったり、時間を要すれど実現できちゃうと思っています。それは小さなことでも有言実行が成り立つと周囲が有言に対して期待を持ってくれるようになり、ピグマリオン効果(他者から期待を受けることで成果を出すことができる効果)も相まって結果を残せる確率が高まるのだと思います。
ちなみに前澤ファンドの企画が始まる約2年前から会社の幹部には「前澤さんと一緒に仕事をできるようにする」と伝えていました(笑)

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目的思考と徹底準備で大仕事に挑む

小学生の頃からの夢が関学のアメフト選手として活躍することでした。(試合後に歌う校歌や部歌も完全に歌える程憧れてました)そのためにアメフトのある高校に通い、勉強もしないでアメフト漬けの毎日でした。
そんな事もあり、受験の時には偏差値30という到底大学に入学なんてできないレベルでした。合格のために実施したことが、ドラゴン桜の様な先生を探し、関学に受かるためだけの勉強(過去数年の赤本から傾向と対策)を実施。結果、入試直前で偏差値60を超えるまでになり、合格できました。
入学しチームに入部するとそこで待ち受けていたのは、想像以上のハイレベルな競争環境。特に僕のポジションでは、走力が重要な要素にも関わらず、入部当初の短距離走では約130人中で120番目。僕より遅いのはスピードを求められない体重100kg以上の一部の人で一気に夢が遠のいた記憶があります。そこで、僕は4年生にスターターを獲得することを目標に置き、3年間かけて走力を高めるために、1.2年生時は下半身を中心とした筋力UPのためのウエイトトレーニングを実施。入部時の体重65kgから80kgまで肥大させました。3年生時には、体脂肪を減らすべくササミ、ブロッコリー、ノンオイルツナばかりを食べる生活を実施。約5kg程体脂肪を減らしました。そして最後の仕上げとして走るフォームを矯正させるために東京大学の小林先生を訪ねました。結果4年生の春に実施した短距走では約130人中1番に、夢でもあったスターターになることができました。小学生の頃に見ていた夢を実現したことよりも「努力が結果として返ってくる」という確固たる自信を手に入れることができたのが何よりもの財産となりました。(未だにどんな困難が来ても学生のアメフト4年間よりもキツイと思ったことはない程の時間でした)

そんな経験のあとでリクルートに入社しました。リクルート出身者が「それでお前はどうしたい?と言われたのがリクルートの文化です」みたいな記事をよく目にしますが、僕は一度も言われた記憶がないです。それはきっとアメフトの元監督の鳥内さんの口癖が「ほんで、お前どないしたいねん?」だったこともあり、グラウンドにいる時間は動きながら常に考えることが当たり前で、それが癖として身についていたこともあってか、リクルートでの決め台詞を聞く機会がなかったのではと思っています。この習慣は非常に経営でも役立っており、大抵の事象に対して「どうしたいか」という意思を持つことができています。しっかり意思があれば、あとは現状とのGAP、解決策さえ揃えばどんなことでも判断できます。

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使えるリソースは有限であるため、勝負どころを見極めることも重要ですが、勝負所は、振り返った時に勝負の分かれ目だったと気づくものだと思います。つまりいつが勝負所かどうかはあまり関係なく、いつでも勝負できる状態に準備をしていくことが重要だと思っています。それが「チャンスの神様は前髪しかない」前髪を捕まえることができる可能性を高める方法だと思います。実際前澤ファンドのエントリーや審査に準備した資料のページ数は650ページ程。もちろん短期間で準備するのは不可能なので、このようなチャンスが来る時のために事前に準備していました。

余談ですが、この2年位、勝負どころでは、「全力でやるしかない。何があろうと腐る気はない。皆与えられたもんを存分にいかすっきゃない。さあ、今から見せてやる 一世一大の大勝負を♪」Dozan11(元 三木道三)/大仕事 の歌を口ずさんで鼓舞してました。


斧を研いで針にするんだ。

主力サービスの郵送栄養検査「VitaNote」は着想から完成まで12年以上時間を要しました。

約100人の研究者や医師などの専門家に相談するも実現に向けた糸口はなかなか見つかりませんでした。そんな状況に焦る気持ちはあれど少しづつ前に進んでいる事に高揚感がありました。”捨てる神があれば拾う神あり”の言葉の通り、めげずに動き続けた結果、出会ったのが滋賀県立大学の福渡先生です。一通り栄養に対する課題や成し遂げたい世界感を語り終えると「私は研究者だから美濃部さんみたいな事はできないけど、研究が社会のお役に立てるなら喜んで!」と言ってくださりました。

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※帰宅後に届いたメールは宝物です。

前澤さんとは今回企画という形でご縁がありましたが、
2018年頃から前澤さんと接点持つことができるチャンスが増えていることを察して(2018年3月に前澤さんが投稿されていたツイート)しばらく止めていたTwitterも再開してモニタリングしていました。

人間が一生で処理できる情報量は約1500億ビットと言われますが、
無数の情報という斧の中でどの斧を選定し、どれ程の強度で研ぐかによって針も変わってきます。

僕がすごく勿体ないなと思うことは、チャレンジする前に、実行する前に辞めちゃうことです。「量が質に転化する」と同様に「継続が結果につながる可能性を高める」と信じてます。社内で僕がすごく機嫌が悪くなるのは(社員の皆さんすみません。自覚してます)やってもいないのにできない理由を言われるとすごく寂しい気持ちになります。

無責任とは判断しないことじゃないかな。

色々と偉そうに書いてきていますが、
起業してから何度か会社存続の危機がありました。
会社の残高と個人の残高がどちらも7,000円になる経験もしましたし、
あと1ヶ月調達が遅れたらキャッシュが尽きるなんてことも3度程ありました。
大好きだった仲間と別の道を歩む決断もしました。まるでドラマのワンシーンのように「がんばれ、できる!」と自分に言い聞かせながら会社に向かってました。家を出る時、えづいているのなんて日常茶飯事。変なブツブツができて帯状疱疹と診断されたこともありました。

経営者しかできないことは、答えがないものに対する判断だと思います。
ざっくり年間で1,000個以上の判断をしてきています。
判断には大小問わず責任が伴います。
責任には覚悟が伴います。

会社を存続させるために個人保証で借入を行った後、社員から「美濃部さんみたいに腹括れないですよ」と言われた事がありました。それで自分が覚悟を決めているんだと気づきました。覚悟を決めることができているのは、素晴らしい仲間や家族の支えがあるからできていると思います。一人で覚悟を決めて走るのはキツいので、是非信頼おける家族や仲間を大切にしながら、自分にしかできない覚悟を決めることが重要だと思います。

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ご縁から未来へ

前澤さんとのご縁があり、確実に理想の未来には近づいたと思います。
しかし、世界中で約20億人が微量栄養素の不足により生活に支障をきたしています。国内でも何となくサプリメントや健康食品を買って闇雲に栄養補給することにより栄養バランスが崩れている人や過激な食事制限ダイエットなどによる若年女性の新型栄養失調なども増加傾向にあります。
最近コンビニなどで食品の裏面表記を眺めながら買い物を悩んでいる人をよく見るようになりました。また、インターネットで健康に関する情報を目にしない日の方が少なくなっています。

当社は今回のご縁で栄養環境を良くするチャンスを手に入れました。
この2.3年で国内においては、「栄養が教養になり、食事の選択に悩まなくなる」世界になります。
そして少しでも早く、途上国の子供が笑顔であり続けることができる世界にしていきたいと思っています。

有言には責任が伴い、実行することには気力も体力も必要です。
小さな成功体験を積み重ねて、勇気を振り絞る。
周囲が何と言おうと、正しいことはやり続ける。そのために信頼できる人とともに覚悟を決めれば道は開けると思います。

長文お付き合いくださりありがとうございます。
何かにチャレンジしようと思っている方が少しでも前に進むことができ、
そしてユカシカドのこれからの活動を応援してくださると幸いです。

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