パイオニアの条件~杉田玄白『蘭学事始』を読む
杉田玄白(1733-1817)が生きた時代、既存の漢説による医学知識と、腑分けの現場でみる実際の人体には乖離があった。その溝を埋めてくれるのがオランダの医学書『ターヘル・アナトミア』であった。玄白たちは、現実の人体と『ターヘル・アナトミア』の図を照らし合わせて、『ターヘル・アナトミア』の正しさを知り、この『ターヘル・アナトミア』を翻訳すれば、日本の医学にとって大きな利益になると一念発起する。当時、辞書もなく未知の言語であったオランダ語で書かれた『ターヘル・アナトミア』を、玄