見出し画像

カバーメイクをしない、という選択肢。

Googleで「カバーメイク」と検索すると真っ先に「カバー力のあるメイク」が出てきて、その次くらいにこちらのサイトがヒットする。

この団体はsoarでも紹介されている。

アルビノの私に、カバーメイクという概念はないものだった。何故なら髪も目も肌も色が薄いのをカバーするなんてほぼ不可能に近いと思っていたし、やりたいとも思わなかったからだ。

しかし、私にはある問題があった。睫毛や眉毛はプラチナブロンドだけど、髪はミルクティーブラウンという不思議な現象が起こってしまっているのである。私は成長につれて髪の色が濃くなるアルビノなのだが、睫毛や眉毛は濃くならなかったのだ。何故だ。永遠の謎。この謎について医師に聞いてみたいものだ。

そういう顔だと、どういうことが起きるだろうか。眉毛を剃っちゃってるヤンキーに間違えられるのではないかと考えた。ヤンキーの皆さんにはちょっときついことを言うが、アルビノの私にとってヤンキーに間違われることは大損失なのである。真面目な優等生で通っていた方が断然楽なのだ。先生からの評価とか、待遇とか、まあいろんなものがね。

この髪を「いいじゃん」と言ってくれたのもヤンキーに分類される人なので、そこには感謝しているけど、ごめん、ヤンキーだとは見られたくなかった。

とはいえ、私がメイクして学校に通うようになったのは大学生からである。つまり大学生の頃に「ヤンキーだと思われたくない」という理由で、髪の色に合わせたブラウンのマスカラとアイブロウをし始めたのだ。

それだけではない。髪の色と睫毛や眉毛の色が違ったらおかしい、という価値観にとりこまれていた。何故そう思ったのかはわからないが、髪の色と揃えておかないと、と思い、合うマスカラとアイブロウを探し回った記憶がある。何店はしごしただろうか。デパートの1階でさ迷った。

セルフヘルプグループに参加するようになって、友人ができた。友人との会話の中で、何気なくこの話をした。

「私本当は睫毛も眉毛ももっと色薄いんだよね。髪と合ってなくて不自然だから合わせてる」

「えっ、それってカバーメイク?」

「カバーメイクではなくない?」

「いや何かを隠してるんだからカバーメイクだよ」

その言葉で気づいた。そっか、これ、カバーメイクなのか。今までそうするのが当然だと思っていたから睫毛や眉毛の色を髪の色に合わせていたけど、実はそんなことなかったんだ。

眉毛や睫毛を髪の色に合わせることなく、プラチナブロンドに合う化粧品はないので、そのままで、外に出てみた。そのままの色の睫毛や眉毛。それらを今までは「手間かけさせてくれる」と邪魔に思っていたけど、このままでもいいんだと感じることができた。

友達と遊んで、帰り道、地下鉄の鏡に映る私はちゃんと綺麗だった。

カバーメイクをすることで世界が拓けるということもあるだろう。カバーメイク技術はこれからも多くの人を救うだろう。ただ私は不思議なことになっている睫毛や眉毛をそのままに見せた方が息がしやすいと思った。

あと弱視なので、対称的に眉を描くのがとても苦手。

執筆のための資料代にさせていただきます。