自分の本当の足跡を知っているのは、自分ではないのかもしれない。

朝からずっと頭が痛かったので、新しいことをするのは辞めにした。
日曜日だからという理由をつければ、
それは尤もらしく聞こえて、自分を安心させることができた。

タブレットで動画を観る。
Yotubeの関連動画には、少し懐かしい時代のものが並ぶ。

そういえば２、３日前に、昔好きだった曲を検索して聴いたことを思い出す。

グーグルのアルゴリズム通りに導かれた表示に、
促されるようにそれを選ぶ。

しばらくすると、眠りについていたことに気づくけれど、
まだ頭の痛さは変わらない。

時計の針は確実に進んでいるけれど、
ほんの少し瞬きをしただけに過ぎないような気持ちになる。

オフになったタブレットを起動してYoutubeを更新すると、
新たな関連動画が表示される。

自分の履歴から判断されて
自分の未来を導かれる

不思議な感覚に陥りながら、無表情でそれを観る。
ただ観る。

そうしてもう一度同じことを繰り返した時、
頭痛が消えていることに気づいて深呼吸する。

私の関連動画は、すっかり懐かしい頃のものに変わってしまった。
それに反するように、手帳を開く。
手帳を開いて、明日からの予定を確認し始める。

確実に明日からは、自分の意思で選んだ動画が、
関連動画に導かれない私がいるだろう。

自分のことは自分で決めたい私がいて、
元の自分に戻ろうとするからだ。