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そこに、いた証明。

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記憶に残る、大切な人たちとの瞬間を切り取ったもの。
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#Word

あの角にあった紫陽花は、どんな色で笑っているか。

近所の紫陽花が咲き始めています。毎年、わたしの背丈を有に超える高さにまで枝葉を伸ばしてから花を咲かせます。 生命力を感じすぎて、いつも複雑な気分になります。 生命力を感じすぎる・・・ って言うのも、変な発想なんですがね。笑 というのも、紫陽花の花の季節が終わってしばらくすると、驚くくらい小さく剪定されるからです。 わたしの腰の高さくらいまで剪定されて、ミニマムな姿をさらして何ヶ月もそこにいるのです。 春を感じ初めた途端に、じわりじわり。 春になったのを自覚した途端に、ぐ

その手はもう、しばらくつながなくていいだろう。

娘の部屋に、もう何ヶ月も置いてある大きな箱があります。 それはそれは大きな箱で、身体の小さい私が体育座りして楽に入れるほど。 届いた時はびっくりしたけれど、すっかり部屋の一部と化していて違和感がなくなっています。 今日、ふとその箱を見て思い出しました。 あと2ヶ月もしたら、彼女が二十歳を迎えることを。 それに気づいた私は、自分の中に何かを感じていました。 数時間後、二人で出た散歩の途中、私は、まるで子供みたいに彼女を困らせました。彼女が涙が止まらなくなるまで困らせました