サービス記事☆令和版 誕生日別 和のお守り文様 11月22日<観世水>
令和版 誕生日別 和のお守り文様
令和の日本では西洋の文化が定着し、日本人特有の寛容さから異文化の祝い事なども生活の一部となり、それが当たり前のこととなっております。
それゆえに我が国特有の文化や文様が思い返されることが少なくなりました。
しかしちょっと考えてみてください。
さまざまにアレンジされながらも、その文化は脈々と受け継がれているのです。
たとえば昔からあった「瓜文様」。瓜科の植物は蔓草が繁茂する様子から繁栄の象徴とされ、手回りの道具や絵にあしらわれてきたのです。
現代では半分にカットされたスイカがデザインされた図案があるとしたら、これが昔通りの「瓜文様」ということになります。
文様にはそれぞれの意味があります。
366日のそれぞれにふさわしい文様を数秘術などから割出し、解説を加えたのが本書です。
季節にそぐって文様化された動植物、有職文様、渡来文様など、令和の時代だからこその文様も含まれております。
一年を豊かでラッキーに過ごすエッセンスとしてご活用ください。
暦について・・・
我が国は長い間太陰暦(旧暦)に従っていました。
太陽暦を取り入れると発表されたのは1872年明治5年11月9日。
実際に施行されたのは、旧暦明治5年12月3日を明治6年1月1日として開始されました。
太陽暦が当たり前の令和の我々には、旧暦はもはや遠い存在ですが、一月ほども違うと季節もずれてくるというもの。
行事や季節感に違和感を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
旧暦の季節区分
春 1月~3月
夏 4月~6月
秋 7月~9月
冬 10月~12月
新暦の季節区分
春 2月~4月(5/4までが春)
夏 5月~7月(8/6までが夏)
秋 8月~10月(11/6までが秋)
冬 11月~1月(2/3までが冬)
本書は新暦に則り、改めて令和版の『誕生日別 和のお守り文様』として発表させていただきます。
青木 紫
<11月22日生まれのあなたの文様>
観世水(かんぜみず)
流水の文様を美しいと考えるのは日本特有の風土と感性によるものかもしれません。
島国である我が国は火山による隆起が激しく、恵みの雨が川となって海へ注がれる地形となっております。水のありがたさを感謝した文様は「雨文様」「露文様」などによって表現され、流水もそのひとつということになります。
観世水は水が渦巻いている様子を描いた格式高い流水文様のひとつ。
この名の由来は室町時代の能楽の流派のひとつである観世流の祖・観阿弥(初代観世太夫)が定式文様として使用していたことからです。
(能の流派には観世、金春、宝生、金剛の四座があり、それぞれの家元を太夫と呼びます)
初代観世太夫がこの文様は好んだのは、その思想からです。
「流れる水は腐らず」という言葉にあるように絶えずとどまることなく流れる水は淀むことなく清らかで美しくありつづけるのです。それは無限の動きと時間の象徴であり、静かな心持ちで清廉に芸と向き合う、という気概に通じるのです。
そして観世水は琳派の有名絵師・尾形光琳に特別なインスパイアを与えました。それは有名な「紅白梅図屏風」や「群鶴流水図」で黒い水に流水を表現して世間を驚かせた名画の誕生でした。
金箔に黒の世界観で大胆この上なく、観世水の新たな面を引き出した芸術といっても過言ではありません。
観世水は粋な着物柄として再認識され、現代に伝わっております。
観世水と桜ならば「春」。
観世水と紅葉ならば「秋」。
観世水と菊ならば「通年」。
そして四季の花々を組み合わせれば、こちらも一年を通じて着用することができます。
文様としての縁起は「困難や災難をさらりと流す=災難厄除」「流水によって清められる=清浄」「火災除け」など。
水は生命の源であることから、子供のお宮詣りの着物としても好まれました。
もしもスッキリしないことがあれば、流れる川面を空想してみてください。
心が濯がれることでしょう。