紫がたり 令和源氏物語 第三百二十九話 若菜・上(二十三)
若菜・上(二十三)
翌三月の十日過ぎに女御は無事に男御子を出産されました。
大騒ぎした割には安産で産後も順調であるのを源氏はほっと胸を撫で下ろし、春宮へ皇子の誕生をお知らせすると、それはもうお喜びになり、早速勅使を遣わされました。
春宮は一刻も早く我が子をご覧になりたくて仕方がないご様子です、と使者が喜びの口上に頭を垂れるのを、女御は期待通りに皇子をもうけられたのが嬉しく、神仏に感謝の念を奉げずにはいられません。
母となり子を愛しむ心が育まれ、無事に産まれてくれたことな