紫がたり 令和源氏物語 第百七十一話 松風(八)
松風(八)
若い貴公子達はわいわいと源氏に屈託のない笑顔を向けてきます。
「源氏の大臣。昨夜の見事な月を愛でようと追ってきたのですが、間に合わず、露を踏み分けて今朝お伺いしたという次第です。紅葉はまだですが野の花などは秋めいておりますよ。小鷹狩りなどに出掛けたものもおりますのでいずれ合流するでしょう」
と頭の中将、兵衛督(ひょうえのかみ)などはこのまま源氏をおとなしく京へ帰してくれそうにありません。
「思わぬ大人数になりそうだね。光栄なことだが、ここでは手狭すぎるな。桂の