マガジンのカバー画像

紫がたり 令和源氏物語

529
青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
運営しているクリエイター

2022年7月の記事一覧

紫がたり 令和源氏物語 第九十一話 花散里(一)

 花散里(一) まったく自らが播いた種とはいえ、過ごし辛い世の中になった、と源氏の君は塞…

YUKARI
2年前
20

紫がたり 令和源氏物語 第九十話 賢木(十九)

 賢木(十九) 「もうおしまいだわ、何もかも・・・」 朧月夜の姫は顔を青くしてうなだれて…

YUKARI
2年前
19

紫がたり 令和源氏物語 第八十九話 賢木(十八)

 賢木(十八) さて、源氏と中将が宴を開いたことが、どうやら右大臣や弘徽殿大后の御耳に入…

YUKARI
2年前
17

紫がたり 令和源氏物語 第八十八話 賢木(十七)

 賢木(十七) 藤壺の中宮の御出家は世の人々に大きな衝撃を与えました。 入道となられた宮…

YUKARI
2年前
18

紫がたり 令和源氏物語 第八十七話 賢木(十六)

 賢木(十六) 「何故相談もなく突然御出家などなさったのですか?」 源氏は務めて平静を保…

YUKARI
2年前
16

紫がたり 令和源氏物語 第八十六話 賢木(十五)

 賢木(十五) 十一月の初め頃、桐壺院の御命日のその日は、雪がしんしんと降り積もり、天も…

YUKARI
2年前
19

紫がたり 令和源氏物語 第八十五話 賢木(十四)

 賢木(十四) 東宮殿に着くと、まずは中宮にご挨拶をとしばらくの無沙汰を詫びました。 「御前に伺候しておりましたので、遅くなりました。大変長らく伺いもせず失礼致しました。中宮さまにはお変わりなくお過ごしでいらっしゃいましたか?」 「おかげさまで恙なく。艶やかな紅葉の一枝も結構なものでございました」 宮は王命婦を取り次ぎとして返事を返されました。 「深山の冷気があれほどの色を染め上げるというのも、不思議なものです。あの一枝に御仏の慈悲が恵まれているのであれば、御身にもご加護が

紫がたり 令和源氏物語 第八十四話 賢木(十三)

 賢木(十三)  雲林院にて心を鎮めた源氏は中宮と春宮の後見という立場からもよそよそしく…

YUKARI
2年前
16

紫がたり 令和源氏物語 第八十三話 賢木(十二)

 賢木(十二) 雲林院から滞在が長引く旨を伝える手紙を受け取った紫の上はぼんやりと考えて…

YUKARI
2年前
24

紫がたり 令和源氏物語 第八十二話 賢木(十一)

 賢木(十一) 源氏は藤壺の中宮への物想いを重ねるあまり、そのまま考え事をしながら寝付い…

YUKARI
2年前
21

紫がたり 令和源氏物語 第八十一話 賢木(十)

 賢木(十) 源氏はあれきり手紙のひとつもよこしませんもので、藤壺の中宮はまた胸を痛めて…

YUKARI
2年前
22

紫がたり 令和源氏物語 第八十話 賢木(九)

 賢木(九) 宮に受け入れてもらえなかった源氏は、やるせない心を引きずりながら二条邸へと…

YUKARI
2年前
22

紫がたり 令和源氏物語 第七十九話 賢木(八)

 賢木(八) 源氏は紫の上を得てから、弘徽殿大后の目を憚ることもあり、忍び歩きを控えて二…

YUKARI
2年前
23

紫がたり 令和源氏物語 第七十八話 賢木(七)

 賢木(七) 暗く沈んだまま年は改まり、諒闇(りょうあん=帝が父の喪に服すこと)ということで、御祝い事は控えられております。 以前ならば春の除目(じもく=官位の発表)を前に多くの者が源氏の君のご機嫌を伺う為に二条邸を訪れていたものですが、今年のあまりに閑散とした様子に、源氏はこれからはこのように人が離れて行くのだなぁ、これが時代の流れというものか、とせつなく感じておりました。源氏派と見倣されると然るべき官位も賜れない、そのような時代になったのです。 そしてこの度賀茂の斎院