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【映画】「レディ・バード」ものすごく感動してるつもりはないのに、泣きたくなるのはなぜだろう。

想像していた「アメリカの女の子」らしく、
奔放でマイワールドを持っていて、ハッキリものを言う。
そもそも自分を「レディ・バード」と名乗って、周りにもそう呼ぶことを強要している。
映画の主人公として、土台は十分。
そんな彼女が過ごす、高校最後の1年間のお話。
舞台はアメリカの西海岸、ど田舎ではないけど都会でもない、小さな街。

特別に美人でもない、裕福でも成績優秀でもない。
やることが感情的でぶっ飛んでるように見えるけど、
クラスのイケてる女子に「誰だっけ?」って言われるぐらいの、普通の存在。

そうか、これは万人の話だ。
青春の、もしくはずっと付き合っていくに誰にでもある感情、
「何かになりたい」「どこかに行きたい」「認めてほしい」
それが形になったのが、彼女の「レディ・バード」だ。
イタくても空回りしててもその時はいつも全力で、
でも、人って大なり小なりいつだってそうだ。

17歳の主人公を見ていると、愛おしくなって
彼女が過ごす全ての時間がキラキラした大事なものに思えてくる。
今しかない青春はとても繊細。
でも彼女達はこちらが思っているよりずとしたたかで、
大事にされるより、ぶつかって泣きなが自分達でいろんなものを掴み取っていく。

「背伸びして手を伸ばす」と「自分の足で1歩前に進む」は、
どっちも自分の意思だけど、その結果は全然違う。
近づいた実感を知るか、背伸びの虚しさを知るか。

手に入れたかっこいい彼氏、憧れのニューヨーク。
その中で残るもの、残らないものを知って、
本当に馴染むものだけを、自分の一部にして生きていく。
生きることはきっと、ずっとずっとその繰り返しだ。

彼女がやる事を見ていると、
「その感じ知ってる。そうだった、そうだった」と
むず痒く甘く酸っぱく、同時に「死ぬこと以外はかすり傷!」みたいな
すがすがしいエネルギーも湧いてくる。
震えるような感動はない。
でも、自分が何でできていたかを思い出して、泣きそうになる。

自分の中にしまい込んだいろんなものを見せてくれた、
そんな映画だった。



© 2017 InterActiveCorp Films, LLC.

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