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息子と過ごした時間

今日、昨夏に終の住処を買ってから、初めて息子が訪ねてきた。親友の結婚式のためだったのだけれど、彼が那覇に降り立ったのは何年ぶりだろう。

ほぼ猫部屋なリビングで彼の弟にあたるニャンズにご挨拶。初見なのでニャンズは遠巻きにうかがうのみ。

夫の「男の子の夢」がこれでもかと詰まった部屋を見て「楽しんでるんだね」とつぶやく息子。パパが欲しかったもの、叶えたかった生活を少しは理解できたかな。

私の仕事部屋では、「以前のうちでもそうだったけど、なんか性格出るよね、その人の部屋って」というんだけど、どういう判断をされているんだかなぁ。本棚に所狭しと並べられている近代史やアレコレな仕事用の本を見て「こんなのも読むの?なぜ?」ときく。簡潔な解説を述べた後に彼がつぶやいた一言。「読書が仕事に直結ってうらやましい」と。

息子は公認会計士の試験を受けつつ、経理部門で仕事をしている。現状、時間売りの仕事をしている彼にとって、私の仕事は夢のまた夢なのかもしれない。年間170冊強の本を読む私も私だけれど。

19才で浪人中だった彼と初めて会ってから十数年が経った。どんな未来を描いていくのだろう。彼と語った時間全てを使って、私なりに人としての英才教育をしてきたつもり。だから、彼は30そこそこで抽象的な話についてくる。落ちたり嬉しいことがあると、たぶん真っ先に私に電話をしてくる。血の繋がらない息子だけれど、前世できっと縁があったと思えるんだよね。

なぜ学ぶのかと車の中で問われた。

この年になっても私の知らないことが世の中にこんなにあることが嬉しくてしかたないから、と、答えた。学生時代にもっと勉強すればよかったとは思わない。義務教育では四則演算と他人との共生を学んだのでそれでよし。学びたいと心から思える今に学べることが私の幸せだ。

仕事で必要、興味があふれてという理由で学ぶことが大半だけれど、知らないことを知ることでしか現状を埋められないし、知識が私を豊かにし、やがてそれが知恵となる。知りたいと思えばすぐ学ぶことができるなんて、いい時代に生まれたと思う。

ランチ後に息子を空港まで送った。去り難そうに見えたので、「がんばれ」とハグした。よくよく考えたら息子とのハグは初めてだったかも。

息子はこれからもつまずくし、アタマもぶつける。泣くほどうれしいこともあるだろう。たくさん経験していく。ひとりで生きていく力も身につけたし、あとは好きなようにやればいい。人生を決めるのは誰でもない、自分だからね。

あ、私たちのことはまったく心配いらないよ。してもいないだろうけれど。笑。夫の前の結婚生活、要するに息子の血の繋がっている両親との生活で「結婚なんかしたくない」と言っていたことがあるけれど、そんな気持ちも薄れていたらいいな。

次に会える日が楽しみ。
彼が生まれ育ったこの地に、次回はどんな顔でやってくるのかな。

またね。

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