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マジックスコープ

空が青かったとか、星が綺麗だったとか、風が気持ちよかったとか、草の匂いがした、とかを世界中の100人の作家に文字にしてもらったら、いったい何通りのことばに出会えるのだろう。

感じたもの全ては、感知したその瞬間から少しずつ崩れはじめる。ことばや、写真や、絵画に湧き立つような感覚をおぼえるとき、人はその中に忘れていたかも知れない なにかを探すのだろう。

あったはずなんだけれど思い出せない何か。忘れてしまったのか、もとから無かったのかすら分からないものを、デジャヴと記憶の境を探るように、思い出そうとしてやめる。

今日見た夕陽を、絵に描こうと、写真に撮ろうと、文字で残そうと、そこに残るのは印象的ななにか。なにかを残すかわりに、なにかが省かれる。

そうして省かれたなにかを、握りしめようとして散らしてしまわないように、「あの頃は良かった」なんて言葉で、さわれないように覆ってしまうのかな。

おいしいごはんたべる…ぅ……。