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わたしは何のために踊るのか 〜妊娠出産・離婚を経て、5年ぶりにバレエの発表会に出るまで〜

わたしは5歳の頃からクラシックバレエを習い始め、バレエ歴は30年を超えました。

​30年間ずっと踊り続けていたわけではなく、中学受験でブランクがあったり、大学生になった後は数年間ブランクがあったり、社会人になって再開した後も妊娠出産でブランクがあったり、、、

​時々離れる期間がありながらも、結局はバレエに戻ってくるので、一番の趣味であり、わたしの人生を語る上でも欠かせないものだなと思っています。

妊娠出産を経て、バレエを再開したのが1年半前のこと。

​そして昨年の夏、通っているバレエスクールから大人向けの発表会を開催するとアナウンスがありました。

​「え、舞台!?出たいような、出たくないような…」

「これだけブランクのあるわたしがまた発表会に出る!?」

​仕事や子育てをしながら、週1回のレッスンをなんとかキープしている状態なのに、さらに発表会に向けてのレッスンも加わるなんて、できるのだろうか。。。

​そんな迷いはありましたが、心は「やりたい」と言っていました。

よし、もう一度舞台に立とう!!と決意し、発表会への参加を決めました。

*​

夏に配役が決まり、練習を重ねていたのですが、秋ごろのわたしはめちゃくちゃ病んでいましたw

5年ぶりの発表会、舞台復帰のリハビリのつもりで臨んでいたのですが、ありがたいことにソロで踊るパートを頂いてしまったのです。

先生が実力を評価してくださったのは嬉しいのですが、いかんせん、今のわたしの技術力・体力からするとハードルが高い。。。

3年半ぶりにトゥシューズに復帰したわたしが、トゥシューズでソロで一曲踊りきる、しかもその前後も出番たくさん・・・というのは、かなりキツい内容でした。


完璧主義でストイックなわたしは、これを踊りきれるようになるには最低でも週3回はレッスンに通って踊りこまなければ無理だ!!と思い悩んでいました。​

なぜなら、ソロや主要な役を踊るようになった中学生の頃から「発表会前は週3〜5回のレッスンが当たり前」の世界でしたし、

​5年前に最後に発表会に出た時は、週5〜6回のフルタイムの医師の勤務、もちろん当直もしながら、さらに専門医試験の勉強もしながら、週3回バレエに通い、男性と組むわりとガチな作品を踊ったので

​「ソロを踊るなら最低週3回のレッスンは必須!!!」と思い込んでいました。

​(我ながらストイックw)​

でも、今のわたしは、学生でもなければ、夜自由にレッスンに通える独身・DINKSでもありません。

仕事や子育てと両立しながら、自分が納得いく練習頻度を確保することは到底無理でした。

そして、物理的、時間的な問題だけではなく

「ソロのパート」「目立つ役」というのが精神的にも大きな負担になってしまい、楽しい趣味のはずだったバレエが、「プレッシャーと闘うツラいもの」になってしまったのです。

夜中に目が覚めて、発表会のことを考えてなかなか寝つけない、、、レベルには病んでいました。

(病みすぎw でも本人は真剣なんです)

せっかく頂いたチャンスだから、チャレンジしてみたい。。。

でも、残された期間で納得する練習を積めるかというとかなり厳しい。。。

それより何より、楽しいはずのバレエが全然楽しくなくなってるのがツラい!!!

、、、先生が下さった役を手放すのは苦渋の決断でしたが、ソロのパートは辞退することにしました。

​*​

最後に発表会に出たのが5年前、と書きましたが、その舞台の数ヶ月後に妊娠しました。

バレエが大好きだったわたしは、体調と相談しながらバレエを続け、結局妊娠8ヶ月までトゥシューズを履いて踊っていましたw

出産後もまたすぐバレエに復帰しよう!と思っていたのですが、出産後のわたしの人生は、想像もしていなかった「最悪の暗黒期」が続き、バレエどころではなくなってしまったのです。

まずは、娘が生後半年の頃に夫と大喧嘩し、離婚危機に。
さらに精神的に不安定になったわたしは、育児ノイローゼにもなりました。

​その後、夫がずいぶん前から不倫していたことが発覚し、離婚。​

幼い子を抱えるシングルマザーになり、育休から復帰し、必死に仕事と育児を両立していました。

その後も、壮絶親ワークからの、ガチ家なき子、離婚協議バトル、ニートシングルマザーなど、それはそれは涙なしには語れない波瀾万丈な数年間を過ごしました。

​(↑どう考えてもバレエどころではない)

​そんな人生を振り返りながら、ある時ふと気づきました。​

「3年前は、本気で人生終わらせたいレベルで悩んでいたのに、今の一番の悩みが『バレエがうまく踊れない』なんて、そもそもめっちゃ幸せな悩みなのでは!?」

あれだけ悩んでいたわたしが、

あれだけ辛いライフイベントの連続だったわたしが、

妊娠出産で体もすっかり変化したわたしが、

ママになって、また舞台に立とうとしているなんて、もうそれだけで素晴らしいことじゃない!!!!!

そう心から思うことができ、ソロ以外に与えられた部分をしっかり練習して、また舞台に立とう!と気持ちを新たに練習に取り組み始めました。


吹っ切れたあとのわたしは、持ち前のストイックさを発揮して舞台に向けて邁進していました。​

一番の課題は、体力。特に持久力。

基本的な体力や筋力強化が必要だと思い、今年から新たにピラティスとジム通いを始めました。

​予約が1分で埋まる、ロシアの世界トップクラスバレエ団のバレリーナの方のレッスン予約を勝ち取り、はるばる遠くまでバレエの体づくりのためのレッスンにも通いました。​

(ええ、ストイックですw)

そんな感じで着実に体力もついてきて、トゥシューズで綺麗に2回転できるほど技術力も戻ってきて、このまま順調に発表会を迎えるはず・・・

​だったのですが。。。。。​

2月末、わたしはインフルエンザに倒れました。

38℃越えの発熱が続き、丸々4日間文字通り寝たきりでした。

胃腸も壊して嘔吐も続き、1日半何も食べられませんでした。

解熱後もなかなか食欲が回復せず、丸3日間ひたすらおかゆだけを食べていました。

​鍛えた体力はあっという間に失いました。
寝過ぎて背中も肩も全身バキバキ。
「ぺったんこになっちゃったね」と夫に言われるほど、体もげっそりしてしまいました。

​​

あぁ、なんでこのタイミングでインフルエンザになったんだろう、、、

​積み上げた体力も筋力もすっかり失ってしまった。

発表会までの残りわずかな時間で、踊りを仕上げきれるのだろうか。。。

​​

考えても仕方ないけれど、こんなことばかり考えて落ち込んでいました。​

インフル発症から約2週間が経った現在も、まだ咳が残っています。

さらに花粉症も重なり、咳と鼻水だらけです。

​回転していると鼻水が出そうになるので、今日のレッスンでも鼻をすすりながら回転技の練習をしていました。​

(こんなバレリーナは嫌だwww)

発表会までは、残りあとわずか2週間ほど。

​それはそれは体力は落ちているし、息切れはするし、足はつりそうになるし、咳は出るし、鼻水は出そうになるし、、、​

​でも、泣いても笑っても発表会はやってきます。​

出演を決めてからここまでの半年間、決して順風満帆ではありませんでした。

なんでわざわざ発表会に出るんだろう?

時間と労力と気持ちを割いて、発表会に出る意味ある?

そう悩むことも多々ありました。

わたしはなんのために踊るのか。

​それは、結局「バレエが好きだから」の一言に尽きます。

​どんなにブランクがあっても、どんなに体型が変わっても、どんなにツラいことがあっても、でもそれでもバレエが好き。

​だから、踊りたい。

​トゥシューズで爪先立ちして踊るなんて、どんだけ鬼畜の所業なんだと思いますが笑、でもわたしはバレエが大好きなんです。​

バレエのない人生は考えられません。

以前のように上手には踊れなくとも、様々な人生経験を経て再び舞台に立てることを、本当に嬉しく思っています。

​アサギストやバレエ仲間が、舞台を観たいと来てくれるのも、本当に嬉しい!​

あと2週間、出来る限りの準備をして、本番に臨みたいと思います。

今回、再婚したばかりの神夫と、4歳の娘も舞台を観に来てくれます。

​娘の記憶には残らないかもしれないけど、ママの勇姿を見てくれたら嬉しいな。
夫はわたしの踊る姿を見て、さらにわたしに惚れ直すことでしょうwww

​​

写真は、5年前の発表会のもの。

宙を舞ってるのがわたしです。

また、このくらい踊れるようになりたいな!

頂いたサポートは、子どものために使わせて頂きます(^^)本当にありがとうございます。