シンデレラは、誰だ

昔、シンデレラが魔法にかかるシーンに憧れていた。
自分で何をするわけでもなく、
ただ驚いている内に着替えもメイクもヘアセットも終わっていた。
私が大人になるころには科学も発展してこんなこともできるかもしれなかった、はずなのに……。

今日もまた昨日と同じように自分で着替えて、自分で髪を櫛けずった。顔を洗って、いつも通りのアイシャドウパレットを使って、同じルージュを引いて、そして同じヒールを履いて家を出る。その分休日は起きたらしばらくごろごろしている。

いつからこの世に魔法はないと悟ったのだったか、今はもう思い出せない。幼稚園のころは信じていたサンタクロースもいつの間にか正体は父であると知っていたし、お化けはいないことも知っていた。

それでも、いつか手帳に挟んだメモが今日も私を夢見させる。
「シンデレラは、私だ」
さあ、今日も夢を見よう。

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