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【論文まとめ】コホート型学習:学習組織への応用と学生の学業成功

今回は、Jennifer Fenning(2004)の「 Cohort Based Learning: Application to Learning Organizations and Student Academic Success」のまとめです。コホート型学習の仕組みや効果についてわかりやすくまとまっています。

コホート型学習の仕組み

コホート型学習とは、特定のグループが一緒に同じコースやプログラムを学ぶ学習方法です。参加者はスタートからゴールまで、同じ仲間と一緒に進んでいきます。仲間と一緒に学ぶことで、互いに助け合い、励まし合いながら学びを深めることができるのが特徴。

このモデルにはいくつかのパターンがあると言われています。
①グループが固定され途中参加がない「クローズド型」
②途中で新しい参加者が入る「オープン型」
③自由に参加や退出ができる「フルイド型」
(Potthoff et al., 2001)。

コホート型学習のメリット


コホート型学習の大きなメリットの一つは、学習者同士のつながりが深まること。コホートでは同じメンバーと時間を共有するため、お互いに助け合ったり、学習のモチベーションを保ったりするのが楽になります。
特に、一人では続けにくい大人の学びでは、こうした仲間の存在が大きいと言われています。
(個人的にも、友達と一緒の方が勉強を頑張れたりしたよなーと思います)

さらに、コホート内でのディスカッションやグループワークを通じて、コミュニケーションスキルやチームワークも自然に身につくとも言われています。特に、今働いている人だと仕事でも活かせるスキルを身につけられるのが魅力とも。

年齢や経験が異なるメンバーが集まることで、お互いの知識や視点を共有し合えるのも強みです。多様な背景を持つ人たちと一緒に学ぶことで、新たな発見や視点を得られ、より深い学びが期待できるのも一つのメリット(Sapon-Shevin and Chandler-Olcott, 2001)。

コホート型学習の課題

一方で、コホート型学習にはいくつかの課題も・・・。まず、グループの雰囲気が学びに大きく影響を与えること。例えば、メンバー間でのコミュニケーションがうまくいかず、協力が十分に得られない場合、学びの効果が減少することがあります。また、仲間同士の競争や意見の対立が、かえってストレスになることも・・・(Burnaford and Hobson, 1995)。

さらに、コホート型の学習では、全員が同じペースで進むため、個々の学習ニーズに対応しづらい場合があります。例えば、ある分野での経験が豊富な人と、初めてその分野を学ぶ人が同じグループにいると、進度や理解度にギャップが生じることも。
(ただし、これは誰かと学ぶからには起こることだから、「強いていうなら・・・というデメリットな気もするしますが・・・)

また、教える側にも負担がかかる点が挙げられます。コホート型学習では、教員がただ講義をするのではなく、グループ全体をサポートしながら進行するため、時間外の対応やフォローが必要になることが多く、その結果、教員にかかる負担が増大することがあります(Potthoff et al., 2001)。

大人の学びにおけるコホート型学習の効果

大人の学びにおいて、コホート型学習は非常に有効な方法と言われています。家庭や仕事と学業を両立しなければならない成人にとって、仲間と一緒に学び続けることで、学業を続ける意欲が高まるということがよく言われています。
例えば、コホート型学習に参加した成人学習者は、学習内容への理解が深まり、さらには学業修了率も高い傾向が見られてます(Lather and Richardson, 1997)。

また、コホート内でのサポートやフィードバックが、学習者のモチベーション維持に大きな役割を果たしていることも効果の一つとして言われています。社会的なつながりが、学びの質を向上させるという点で、特に大人の学びには適した方法というふうには、論文では言われ、終わっています。

コホート型学習は、学びのモチベーションを高め、仲間と共に学ぶことで得られる社会的サポートが大きな魅力というまとめがされていました。もちろん、課題もありますが、適切なサポートや工夫を取り入れることで、その効果を最大限に引き出すことが可能。

個人的には、コホート型を導入し、うまく行うためには、
お互いを知り、興味を持ったり、フィードバックを行うことが大事なのかなと思いました。
その上で、毎回異なる人というよりも、何回か一緒に学び、慣れていかないと、
お互いの心理的安全性が保たれずらくなってしまうので、
誰と学ばせるのか、いつ新しい風としてメンバーを加えるのかって結構大事なんじゃない!?と思いました。運営側は、その辺りの設計をしていかないとなと感じております。

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