『クローズアップ藝大』より東京藝大教授3人の言葉
あの「クローズアップ現代」の国谷裕子さんによる東京藝大の12人の教授へのインタビュー集。
本書より、読了後1週間経っても胸に刻まれている3人の教授のお話について紹介します。
01 | 江口玲 音楽学部器楽科(ピアノ)教授
お恥ずかしい話、「お前はピアノの月謝を払っているからお小遣いはやらない」という感じだったんです。実際はもらっていましたけれど、それでも楽譜を手に入れることは、なかなかできなかったんです。だから楽譜がなくても自分で聴いて、それをそのまま弾いていた。遊びとして楽しみながらですけどね。
江口さんの生い立ちのお話。これは驚きでした。
楽譜を手に入れることが難しいような状況から藝大でピアノを学びピアニストとして活躍されるようになる方がいるとは!
そのほかにも「"テクニック"と"表現や解釈"について」や「小さいころに家の中で何を聴いていたかは重要」というお話もありました。
02 | 高木綾子 音楽学部器楽科(フルート)准教授
大学三年で早々とCDデビューのチャンスを 摑 み、将来の子育てを考えてオーケストラに入るのではなくスケジュールに柔軟性のある大学で教鞭をとる仕事を選択し、演奏活動も活発に行ってきました。
大学時代から将来の子育てを考えてオーケストラに入らないと決めていたとはすごい。
実現されているところも尊敬なのですが、そもそも学生時代にそこまで考えられているとは。確かに、オーケストラだと年間スケジュールも仕事場所も自分では選べないでしょうから、言われてみればなるほどなのですが。
でも、最終的に本選に残るのは別です。ソリストとしてどういう華を持っているかを見られるので、「この人はこういうこともああいうこともできる。じゃあコンチェルトを吹かせたらどんなことをしてくれるんだろう?」と想像させるような三次にする。それが結局はその曲の時代背景の理解とかプログラミングだったりします。
コンクールで一次二次を勝ち抜くにはどう考えるか、本戦に残るにはどういう戦略にするかという考え方も面白かったです。
03 | 箭内道彦 美術学部デザイン科教授
背景だけじゃなくてね、原体験と自分がやるべきこと、今やるべき発想っていうのを、さっき「開通」って言葉を使いましたけど、開通させることができた人と、できなかった人、そこで線引きされているのかもしれない。開通するともう楽なんですよ。自分のこれまでの人生が全部そのまま仕事になっていくじゃないですか。
「自分」と「課題」の間の道を「開通」させる。
なるほど・・私はまったく「開通」していないことを悟り本書を通じて1番ぐさりと言葉でしたが、「開通」とはなるほどうまい!
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