尸止星

 誰もいない世界だった。
 戦火の痕だけがあった。進みすぎた文明のなれの果てだった。
 そこに興味を示すものはなく、広大な宇宙で塵芥と同じに捨て置かれた。
 人々の記憶、歴史の遺物。ほんのわずかに残った動植物。それらは探せば見つかるもののはずだった。
 けれどもそこに触れるものはなく、それらは存在しないと同じだった。
 故に、誰もいない、何もない世界だった。
 物語は生まれず、残っても朽ちても、何ら意味を成さない世界。
 あるいは遠い過去、地球と呼ばれていた場所なのかもしれなかった。
 今や、そこに興味を示すものはなかった。

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