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困ったときのクリーンアップ

 こそこ長いこと人生を送っていると、ちょくちょく『ピンチ』と呼ばれる状況に見舞われることがある。ンなもん特段呼んでもないのに勝手にやってきてはお見舞いしてくれるのだから困ったものだ。私の場合のそれは心身の消耗だったり解雇だったり、貯金残高が4ケタになったり、などだった。生きてりゃ何とかなる、なんて言いながらも、実際渦中にあるときは気が気でないからやっぱりいただけない。

 職も多い方であるし、どうにかこうにか人生好転させたいなあ、なんて思いながら1冊の本を手に取ったのが20代の頃だった。ずいぶん前のことだからタイトルはもう忘れてしまったが、掃除によって幸運を呼び込む……とか、そんな内容が書かれていたと思う。疑いの気持ちがないではない、しかし当時は藁にもすがりたいところだったから、1000円前後の書籍の記述に素直に従ってみることにした。その結果、今でも続いているのが『トイレ掃除』だ。

 ぶん『トイレの神様』という楽曲が流行った前後くらい、ではなかったろうか。そういう機運みたいなものが高まっていたというか、そんな簡単に起こせる奇跡や幸運があるなら信じてみたかった。
 ポイントは大きく2つ、余程の汚れがある場合を除いて基本的には『素手+雑巾1枚』、それから『掃除中にネガティブな言葉を発しない』。とにかく実践してみて、じゃあ何か大きく変わったか? と問われると正直むずかしいところはある。ただ、色んなピンチがありながらもこうして書き物のネタになっているのだから持ち直せるだけの運はついたのだろう。

 段の掃除よりはほんの少しの時間と気合いをかけるので、毎日行うのは大変だ。なので休日、余裕のある時に行うことにしている。飛び飛びでも続けていれば、何となく自分の調子の良し悪しみたいなものが分かってくるから不思議なものだ。主にアイデアの質とか、文章の乗りがずいぶん違ってくると、個人的には感じている。いやそれ以上のことは起きないのか……って、それでも別にいいじゃないか。トイレも気分もスッキリ。それだけで心の持ち様は変わってくるもんさ。

 の未来を変えたいならそのもうちょっと手前、次の1秒からってことでやってみるのもいいんじゃないかな、トイレ掃除。


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