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Re:マインド

 ここ最近流行りっぱなしの例のウイルスに罹患したのが去年(2023)の今頃の話だ。5類に移行するちょっと前だったので、一週間の自宅療養期間といくつかの薬とが得られた。幸い軽症で療養が終わる頃には元の生活に戻れていて、後遺症というほどのものもない。少々、咳が長引いたくらいだ。

 では何の変化もなかったのか、といえば、そういうわけでもない。
 最初は右手親指の『爪』だった。いつの間にかはわからないが、横にひとつふたつ筋だかシワだかみたいなものが入り、少しばかり変形していたのだ。
 実は生まれついてからしばらく、中学を卒業するくらいまでだったろうか。同じような爪の変形が続いていて、気にしていた時期があった。成長とともにゆっくりと生え変わっていって、最近ではすっかり気にも止めなくなったものだから、ああそういう時期もあったな、などと妙な懐かしさを覚えたりもしたのだが。

 思えばそれが『スタート』だった。
 以前懇意にしていた人とまた会う機会があったり、むかしの職場の先輩から不意に数年ぶりの着信があったり、まったく意図しないところでこれもまた数年ぶりに同級生と顔を合わせたり。
 他にも細かな事柄を挙げていけばそこそこの数になる。以前経験したことが思い返されるような出来事が、いくつか続けざまに起き始めている――そんな風に感じられる日々。ふと、わたしの頭にひとつの想像、可能性がよぎった。

 まるで人生の『二周目』を過ごしているようだ――。

 飛躍した妄想に過ぎないと言われればまあ、その通りだ。しかしながら、万が一にも自分の想像の通りだったなら、結構な『チャンス』ではなかろうか?
 病をきっかけに、別段命を絶ったりすることもなしに今までの知識と経験を引っ提げての『強くてニューゲーム』みたいな二周目。ただただ以前のまま変わり映えしない過ごし方をすれば、閉じた輪のように同じところをぐるぐると回り、同じことを繰り返すだけで終わるかもしれない。が、あえてこれまでやってこなかった何かをやり、またやらなくてもよかった様々を手放していけば、似たようなところを通りながらもこれまでとは微妙に違う景色にたどり着けたりはしないだろうか。らせん状の坂道を登っていくように、少しずつ。

 考えてみれば、noteだって初挑戦ではなくて出戻り、言わば『二周目』になる。二度目の舞台に呼び込まれたということは、ここでやるべき何かがやはりまだ、あるのだろう。
 気付きだ何だと大げさに言うつもりはない。自分の中で心の持ち様が少し変わった、それだけのことだ。

 けれどもそれだけのことが、いまだ経験したことのない何かに繋がることと信じて――いま、ここにいる。

※余談
 
螺旋どうこう……のくだりは、昔読んでた好きなマンガ『スパイラル~推理の絆~』の影響を受けています。最終巻に確かそんな一節があった気が……。
 こちらも面白いので気になった方は。


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