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僕はある日、とんでもない喫茶店に立ち入ることとなってしまった。 といっても、内情を知らなければ何てことない普通の店なのだが……。 ……謎がありすぎてどう説明していいものかわからない。ので、僕がその店で実際に体験した一日を、順を追って話そうと思う。 きっかけは一本の電話、少し前の週末のできことだった。 「なあ後輩君。二人でコーヒーでも飲みに行かないか」 「二人でっスか?」 たまの休みに昼近くまで寝て、目を覚ましたすぐ後のことだった。声の主は会社の先輩で、歳の近い、日
運命に導かれるかの如く邂逅を果たす勇者と魔王。史上稀に見るスケールの小さな戦いが、今、始まる! プロローグ 世界は震撼した。 長く平和を甘受していた人々の前に、突如として『魔王』を名乗る存在がその禍々しき姿を現したのである。 魔王――地方によってはイケメンだったり美少女だったりしてすっかり風格の薄れつつあるそれだが、このとき現れたのはそのような類のものとは一線を画す、まさに魔王と呼ぶにふさわしい形貌を有していた。 黒色に近い肌と尖った耳を持ち、見たもの全てを射殺す様