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昼下がり。すっかり馴染みとなったいつもの喫茶店で、今日も心ゆくまで寛ぐことにしよう、などと思いながら入口の戸を引いた。すぐ傍のカウンターに店主の姿がないのは二階に上がっているからだろう。客の姿はさほど多くなく、といっても決して広くはない空間だ。片手の指ほども人がいれば十分に繁盛しているように見える。 適当に本棚の本を手に取って、パラパラとめくってみる。開店日がまばらなブックカフェながら、棚に収まっている本はいつも微妙に異なっていて面白い。同じ空間ながら毎回違った出会いがあ