ありふれた日々に花束を
さて困ったぞ。随筆家としては日々のよしなしごとを通して悩める誰かに解決の糸口を見出してもらう、またはシンプルに楽しんでもらう、とかいうのが求められる姿ではあるのだが、残念ながら私には個性大爆発の家族などというものはない。何なら父はいないし、祖父は数年前に亡くなり、祖母は亡くなってからもうずいぶん経つ。妻も子もない。母と二人、それなりによくある普通の一世帯だ。賞を獲ったとか書籍化したとかいう人物たちを眺めてみると、過ごした環境や、何なら出生の時点で個性が雲の上まで突き抜けてい