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オンベンジャーズがっこいい『椿の花咲く頃』

★★★★★★☆(☆6つ)
ネタバレあり

見始めた前半は、これからおもしろくなるのかな?と心配でしたが、徐々に色々な要素(コメディ・ロマンス・ファミリー・サスペンス)が入り乱れ、魅力的な登場人物たちにグイグイ引き込まれました。
特に主役の二人のLOVEがほほえましく、見終わった後はいいドラマを観たな、と思えること間違いなしです。

1. あらすじ

小さな港町「オンサン」に未婚の母ドンベク(コン・ヒョジン)が引っ越して来た。
町の住人たちは興味津々。
彼女は倉庫を借り「カメリア」を開店する。
「トゥルチギ」(豚肉の甘辛炒め)を売りとするお酒を出すお店。
町の男たちが毎日通うようになり、女たちは気に入らない。
すぐに閉店するだろう、と噂をしたが、あっという間に6年が経ち。
赤ちゃんだった息子カン・ピルグも8歳となり、母想いな野球少年に。

そして、子供の頃からまっすぐで純朴だけが取り柄のファン・ヨンシク(カン・ハヌル)が警官として生まれ育ったオンサンに赴任してくる。
ヨンシクはこれまでに町で起こった難事件の犯人を持ち前の正義感で何度も捕まえるという奇跡を起こしていた。

ある時、ヨンシクは本屋で見かけたドンベクに一目ぼれ。
それから、「カメリア」の常連となる。

2. ドンベク役 コン・ヒョジン

ドラマ「パスタ」で知りました。
とても人気の女優さんで、出演するドラマは高視聴率のようです。
実はちょっと苦手。
でも、このドラマはすごくいい。

モデルから女優、だそうで、とてもスタイルがよろしい。
カン・ハヌルさんが小さいのか、と思いましたが、コン・ヒョジンさんが長身だったのでした。

町の人々が、引っ越して来たドンベクを見るたび「ビックリするほど美しい」という設定はどうも馴染めず。

それどこで買った?というような、ファンシー?レトロ?な服も着こなす姿はさすがです。
ウエストがシェイプされたオーバーオールは、すごくすっきりしていて素敵でした。

3. ファン・ヨンシク役 カン・ハヌル

映画「ミッドナイト・ランナー」(パク・ソジュンとダブル主演)で初めて知りました。
ドラマの役柄が純朴でまっすぐな男なので、イケメン設定ではないのですが、ドンベクとの関係が温かくてほのぼのとしていて、本当に男らしい優しさに癒されました。
こんな人と結婚したら幸せだろうな・・・と思える人。

とにかく、ドンベクしか見えなくて、ドンベクへの愛情がいっぱいで。

ヨンシクがことあるごとにドンベクに温かい気持ちを伝えるのですが、ほんとに純粋にいい言葉で、毎回「うんうん」頷いてしまいます。

頼る女→未婚の母→かっこいい母へ覚醒したり、彼女に降りかかる事件で気持ちが崩れるドンベクを目の当たりにして、驚きながら出る彼の心の声がおもしろい。

状況が深刻なシーンでもどこかおもしろくて、救われる感じ。

ここからネタバレです。

ドンベクが街に来る前、とある事件に巻き込まれていて、街に来てから可愛がっていたアルバイト店員ヒャンミが殺されます。

そして、ドンベクにも危機が迫ります。
カメリア(店)で会話する客とドンベク。
言動から犯人だと気づき、店を出た犯人を「あなたがヒャンミを殺したのね!」とビール瓶で頭を殴り確保します。
その後犯人はさらにアジュンマたちにぼっこぼこにされる。

ヨンシクたち警察も怪しい人物を特定し、ドンベクが危ない!と駆けつけた時(既にぼこられてたけど)のヨンシク心のつぶやき。
「ドンベクは僕が守ってあげるのではなく、ドンベク自身が守るのだ」

危機感迫る心臓ドキドキなシーンだったのですが、確かに!と笑えました。

4. 感想

とにかく、街のアジュンマ(おばちゃん)たちが頼もしい。
最初はドンベクが気になるものの仲間には入れず、買い物に来ても少し高く売りつけてみたり、姿を見れば嫌味を言ってみたり。

でも、ドンベクに危機が迫っているとわかると、態度は変えないけれど、あからさまにチームプレーで彼女を守るようになる。

「愛の不時着」の北朝鮮のおばさまたちを思い出します。
パワーがあってかっこいい。
映画「アベンジャーズ」をもじった「オンベンジャーズ」(オンベクのアベンジャーズ)で表現されていましたが、ほんと後半からはゾクゾクする団結とかっこよさ。

途中、連続殺人犯の手がかりを得ようと、ヨンシクが街のアジュンマたちの寄り合う店で一緒に会議をするのですが、みんな何もかも知ってるのよ、という雰囲気を醸し出しつつ、結局何も知らない、というオチ。

おまけに、アジュンマたちの中にヨンシクがいても、違和感なく馴染んでいる。
秘密結社のように薄暗い空間で、謎を解きそうでまったく解かない。
すごく笑えます。

あと、何と言ってもドンベクの息子カン・ピルグの演技です。
母の幸せを一番大事に想っていて、母は自分が守ろうと頑張る。

「僕はあと少しで10歳なんだ!」(いやいや、まだでしょ)

でも、8歳の男の子、母を好きという男の基準は嫌いか大嫌いか。
ましてや結婚なんて認めない。
ふてくされた演技も最高上手。

ドラマはとにかく後半どの登場人物も見せ場があって盛り上がってくるのですが、ピルグの泣きの場面も、演技と思えない複雑な心情が良くわかってこちらまで泣けます。

ヨンシクのお母さんも、最初はドンベクの良き理解者でしたが、ヨンシクの結婚相手となると話は別で猛反対。
一時はドンベクを突き放しますが、でも、やっぱりいい人なんですよね。
子供の幸せを一番に願う母親のいろんな心情を見ました。

ドンベクのお母さんも子供を捨てたひどい母親ですが、大変な人生を生き、でも、人間らしくたくましく、やっとドンベクを見つけました。

他の方の感想を読むと、最終回の伏線回収の見事さと、作者のメッセージがとても評判のようです。

作品賞や主演・助演の賞も受賞しています。

私は日本で放送される時のような丁寧な字幕ではないもので見たので、字幕の文字数が多く、しっかり場面を見られていなかったり、重要な場面を理解しきれていないシーンが多いです。
でも、そういうシーンもいろんな仕掛けがあるみたいですよ。

例えば、成長した息子ピルグの記者会見のシーン、TVでその映像を見ている歳をとったドンベクとヨンシクの後ろ姿。
二人が暮らす家の中で学校の制服が映ります。
ネームプレートの名前は「ゴウン」。
殺されてしまったヒャンミが「生まれ変わったらドンベクの娘になりたい」と話していたことから、二人に娘が誕生していて、ヒャンミの本名をつけた、ということがわかるようです。

5. 終わりに

「愛の不時着」「星から来たあなた」を見終わり、ロスになりそうなところに、また心温まるいいドラマを観ることが出来ました。

noteで韓国ドラマの感想を書こう、と思ったのは、自粛期間が始まった頃です。
下書きはその頃に書いたので、少し自分の旬を過ぎてしまった感想文ですが、もったいないので少しずつ載せていきます。
新しいドラマの感想もそのうち書きたいと思います。


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