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「お待たせしました」を「遅くなりました」にしてみよう

「お待たせしました。○○についてのレポートです」

何でも、期限内に提出することは当たり前ですが、提出が遅くなってしまった場合「お待たせしました」と言ってしまいますよね。文法的にもおかしくありません。これのどこがNGなの?って感じですよね。正確に言うと、目上の人ほどこの表現に不快感を覚える人が多いので、気を付けていて損はないよって話。で、置き換えることばは「遅くなりました」です。

「遅くなりました。天ぷら定食です」とは言わない
「お待たせしました。天ぷら定食です」はOK

天ぷらじゃなくてもいいんですが(笑)、この場合、こちらが注文し、代金を支払い、メニューをお願いした状態。あまり待たせすぎるのは良くありませんが、少々の時間は対価として我慢するわけです。その時には「お待たせしました」となります。逆に「遅くなりました」とは言いません。

一方、提出物などの場合は、こちらが注文したわけではありません。しかも、期限通り提出されることが当然の状態。なので、こちらの都合で遅れた場合に「遅くなりまして」は使えても「お待たせしました」が失礼にあたるのです。相手は、期待通り、時間通りに提出されることが当たり前と思っている状態です。

さらに、期限通りにできた場合でも、かっこつけに「お待たせしました」と添える人がいますが、これは「まだ待っていたわけでもない」という状態なのに「待っていたのでしょう?」と「待っていた状態」を押しつけることになります。

年齢が上の人ほど気にする

若い人は「えー、ちょっと、感覚的に分からない」って思うかもしれません。この傾向は、年配者に特に顕著になります。

ある人が上司に、あとで書類にはんこを押してほしいということを、電話で伝えた。その後、その上司のところに直接行って
a「【遅くなりました】、こちらにはんこを押していただけますか。」
b「【お待たせいたしました】、こちらにはんこを押していただけますか。」
どちらが適切か。

NHK放送文化研究所

「遅くなりました」「お待たせしました」の二つの言い方に対し、

「a【遅くなりました】のほうが感じがいい」と答えた人は37%
「b【お待たせいたしました】のほうが感じがいい」と答えた人は57%

で、「お待たせいたしました」のほうが全体では多く回答されたのですが、年齢が上がるほど回答の差が小さくなり、60歳以上では「遅くなりました」の方が上回りました
また、男女差では、男性の「遅くなりました」の支持が高かったのです。

「待たせる」という行為そのものは、立場の上下関係なく存在しますが、「立場の下の者が立場の上の者を待たせるようなことをしてはいけない」という暗黙の了解がありますよね。それなのに「お待たせしました」と言われるということは、「私は待たされたのだな」ということを強く感じさせてしまうのです。「遅くなりました」という場合は、相手が悪いわけで、お詫びの言葉が続く雰囲気もあります。

待っていても「遅くなりまして」が良い

どちらにしても、この言葉が発せられる状況として、何らかの「待機」状態があるわけです。「そもそも待ってなんかいない」という場合も、本当に「待っていた」場合も、「遅くなりまして」の方が無難なのです。
どちらが悪いのか?という視点に立つと、遅くなった方が当然悪いわけですよね。なので、謝罪の言葉がほしいところ。「お待たせしました」は謝罪の言葉につながりにくいので、微妙な感じになるのです。

「遅くなりました。〇〇です」

遅れていない場合であっても、この言葉はスマートです。本当に遅れた場合は、お詫びの言葉も添えるといいでしょう。

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