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天知る 地知る 我知る

今度は中古車販売の会社で、不正が行われていた。個人の不正に関しては、信号無視だけでも、結構、罪の意識を感じるというのに、どうして組織だと、こんなに大きな問題になるまで、ひどくなってしまうんだろう。

日曜のサンデーモーニング(TBS)で、不正の実態をVTRで流したあと、朝日新聞の高橋純子氏がこのように表現していた。

ヤバい組織が、どうやってヤバくなっていくのか、煮詰めたような例だなと思ってます。経営陣に忖度するいびつな企業風土があったということです。

サンデーモーニングより

そうなのだ。結局、企業風土なのだ。企業風土というのは、企業の人格。私は、このテの不正のニュースを見るたびに、「天知る 地知る 我知る」という言葉を思い出す。

天知る 地知る 我知る

私の中野のお母さん、一般社団法人おせっかい協会の高橋恵さんが、まだ幼い頃、戦後間もない時。姉妹3人で、友達からもらったお菓子を食べた。それが盗んだお菓子だということに気づいてしまったけれど、言わなきゃバレないとだんまりを決め込んだのだが、結局、それが恵さんのお母さんにバレてしまった。その時に、お母さんは、恵さん3姉妹の顔を手のひらで叩き、一人一人を指さして「天知る、地知る、我知る」と諭したそう。
恵さんのお母さんは、昔からこの言葉をよく使っていたそうで、この事件をきっかけに、改めて心に刻み込まれ、その後、戦後の貧しい時期を過ごした恵さんが、どんなにお腹が空いていても、人としての尊厳を忘れないようにしようと、この言葉を胸に、生きてきたとのこと。

誰も見ていないと思っていても、天、お天道様は見ているし、大地は見ているし、何よりも自分自身が、自分が何をしているのかを、一番よーく見ている。

汚い言葉を吐けば、自分に返って来る。
テキトーなことをすれば、自分に返って来る。
そんな因果応報もあるけれど、
汚い言葉を吐いた時、自分の耳が聞いているし、
テキトーなことをした時には、自分の目が見ている。
その影響を考えた方がいいよね。

私は高橋さんから聞いたけれど、この言葉はもともと中国のお話に出てくる言葉。

誰も知るまいと思っても天も地も知っており、私もあなたもそれを知っている。知るまいと思われることでも必ず誰かが知っている。不正・悪事はいつかは必ず露顕するものだ。
[解説] 中国、後漢の楊震が王密から金十斤をおくられ、「誰も知っている者はいませんから」といわれたのに対して答えたことば。

コトバンクより

不正を働くような会社の風土の中では、自分が何をしているのか、自分の胸に手を当てて考える機会はなかったのかもしれない。再就職が難しいと、そこから抜けられない人たちもいたのかもしれない。そんな手遅れの風土にさせないために、こういった、教訓めいた言葉の力は、とても必要な気がする。
不正を働いた社員、また、そのように仕向けた管理職の社員が、この言葉を知っていたら、どこかで心のブレーキがかかったのではないかと、私は思ってしまう。

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