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#3 イライラ妻には旅をさせよ、という話

「とにかく遠くに行ってね。22時まで帰ってきてはいけません。」

産後4ヶ月のとき、私は夫に旅にでるよう命じられた。私がイライラ時限爆弾と成り果てていたからだ。

次男はとにかく寝ないタイプの子で、3ヶ月になっても2,3時間おきに昼夜問わず泣いていた。産後のホルモンバランスの崩れも相まって、私はとにかく不眠で心身ぼろぼろ。悲しくないのに涙が止まらなくて、駅前を深く帽子を被ってマスクをしながら泣き歩いた日もあった。

そんな私を見兼ねて、夫から与えられた家庭内育児休暇。最初はなんだか悪いことをしている気がして、近場で過ごして早めに帰るつもりだったのだけれど、「そんな中途半端な遠慮をするなら、普段から気を遣って(=イライラしないで)ニコッ)との返しにぐぅの音もでず、私は6時半に家をでて仙台へ日帰り弾丸旅行を決行した。

言わずもがな、久しぶりに1人で気ままに美味しいものを食べ、ドライブしたり温泉に入る時間は至福の時間。

と同時に、冷静になって気づく自分の情けなさ。家事も育児も「なんで私ばっかり」という不満が募り、罪なき夫や子供にあたってしまった。その様子はまさに道中のラジオから流れた”フキハラ(不機嫌ハラスメント)”そのものだったと思う。

けれど、少し落ち着いて考えると、私は夫に部屋を掃除してほしいわけでも、子供に言うことを聞いてほしいわけでもない。ただ「充分な睡眠と自分の時間」がほしい。ゆっくりと時間が流れる仙台の田園風景が気づかせてくれた。

可愛い子とイライラ妻には旅をさせよ。

それを見抜いた夫に大好きな萩の月を買って帰った。

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