男子プリキュアっていうか

プリキュア界隈では初の男子プリキュアが誕生!的なことが話題のようで、ジェンダーに限らずさまざまな先入観をとっぱらっていこうぜという意気込みを感じる「Hugっと!プリキュア」にはたびたび感動させられているのですが(ちなみに私は娘4歳と一緒に今年プリキュアデビューをしました。娘はプリキュア大好きで、直近3シリーズを配信で観ており、彼女の話題の半分はプリキュアです)、まあそんなことよりですね、初の男子プリキュアで盛り上がる若宮アンリくんのエピソードのつらさと言ったら、正面から受け止めきれなかったのでここに吐き出させてください。

当該放送回は、幼児を対象としたフィクション作品とはいえ、否、幼児を対象としたフィクション作品であるからこそ、子どもの未来をあんな残酷な形で壊しちゃうってどうなのよ……と、わりとまともに日曜の朝から凹まされたストーリー展開でした。

かいつまんで書くと、初の男子プリキュアとなった若宮アンリくんは男子シングルのジュニアフィギュアスケーターで、モスクワの大会で優勝したことや「ワールド」と冠される大会に出場が決まっていることからも、世界トップレベルの実力を持つという設定です。

プリキュアの敵対組織は「時間を止めることにより、これ以上の不幸を生み出さない」ことを目的として活動しています。対してプリキュアは「明日を信じる」という信念を持って、時間を止めることを阻止しようとしています。

少し前の放送で、若宮アンリくんが足首を痛めているにも関わらずそれを隠しているという描写があり、成長期を経て世界から失望されることへの不安と相まって「時間を止めたい」と感じていたこと、それを察知したプリキュアの敵対組織からスカウトされるも、一度はそれを断ったというエピソードがありました。

(かいつまんで書くとか言いながら、わたしこれプリキュアのこと語りすぎじゃない?普通に引かれそうじゃない?)

で、この間の放送回では、アンリくんが足首の不安を抱え、一緒に練習していたフィギュアスケート仲間から心配されながらも、「これが最後の試合になるかもしれない、最後はリンクで迎えたい」と並々ならぬ覚悟で大会に臨みます。

ところが試合当日、会場に向かう途中で交通事故に合います。ここでまず、試合に出られなくなることが想定されます。このとき私リアルに娘の隣で「えええええーーーーー」って言いました……。だって「自分には時間がない」と言っているジュニア選手に対してそんな展開ひどすぎるでしょ……。だけどひどさはこれだけでは終わらなかった。

ネットニュースでアンリくんが事故に合ったことを知った友人たちが病室に向かうと、左足を大きなギプスで固定したままベッドに横になったアンリくんがいました(ここでまた「えええーーーーー」ですよ、今度は声には出さなかったけど)。ストーリー展開としては当然そうです、わかりますよ、この流れで腕のケガにするわけがない、だけどさ、だけど、足がそんな状態に!って。「最後かもしれない」と話していたこの試合だけでなく、これから先の試合も出られなくなるの?ってつらくなるでしょ。

さらにそのうえ、「足の感覚がない」という台詞……。もう心の声も出ません。

Hugっと!プリキュアは、小さな女の子がメインである視聴者に対して「なんでもできる、なんでもなれる」という大きな希望をずっと示してきました。それなのに、設定上は中学3年生、メイン視聴層からみたら十分に大きなお兄さんだけど実際は(実際ってのもおかしいけど)まだ子どもであるアンリくんが、これまで懸命に打ち込んできたことをそこまで残酷に壊す必要ある!?って思いました。つらすぎる。(別件だけどロステレの羽生選手負傷ショックをやや引きずってるため余計につらい)

アンリくんは友人たちの前では気丈にふるまうものの、病室でひとりになった後に「もっと早く、足の痛みを誰かに相談していたら」「もっと早く家を出ていたら」と後悔の言葉を繰り返します。せめて最後は氷の上でと思っていたのに……と。つらい。

この絶望がトリガーとなって、アンリくんは敵対組織の一員になってしまいます。そりゃそうだよ、こんなことがあれば時間を止めたいと思ってあたり前だ。

アンリくんのマイナスの感情から生み出された敵と戦いながらも、プリキュアたちは「いまのアンリくんにどんな言葉をかけていいかわからない」と迷います。

この時点で時刻は8:44とかです。放送時間は残り10分少々ですよ。

プリキュアは1回の放送で1体の敵を倒すのがお約束。つまりこの回で言えば、アンリくんの絶望から生まれた敵を倒して一旦は「めでたし」で終わるはずです。テレビ画面の時刻を見て私は思いました。10分少々でこの絶望どうするんだよ、立ち直れるわけないでしょと。

とまあ、そんな残酷ストーリーを経ての男子プリキュア誕生だったわけです。ちょっとストーリーの振れ幅が大きすぎない?

でね!!!!
アンリくんがプリキュアに変身したらギプスがなくて足がきれ~~~に治っててさ!!! 試合会場でシャーって華麗にスケートするんですよ。

そうか! 子ども向けアニメだし、プリキュアになった奇跡とまぜこぜになってなんだかんだで一瞬で足治るんだな! そうだよねよかった!!! って思いましたよね。一般のおとな向けドラマなら「シナリオ安易すぎるだろふざけんな」って絶対思いますけどね。

ところがどっこい(いま使わなくていつ使うんだというやつ)、変身が解けるとギプスはそのままだし病院の院内着だしで、治ってはいない様子。

同じ回の前半で、別のキャラクターの「いままでもらった応援が、つらいときにふんばる力になる」的な台詞がありました。アンリくんがプリキュアになる力もだいたいそういう流れで生まれたやつだったけど(雑)アンリくんがこれまでの応援を力に変えて、新しい夢を追えるようになることを願ってやみません。そこまで描かれることで、何度でも夢を追うことができるという大きなメッセージになるんだろうな。

Hugっと!プリキュアでは、これまでプリキュアに撃破された敵対組織幹部が新しい職業について明るく暮らす姿を描いています。なので、新しい目標を追う若宮アンリくんも、近いうちに描かれることを期待しています。

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