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空と海と、12日目

2019年5月7日
  オサカナ くわえた どら猫~♪
  おーおっかけーて~ ♫

昨夜の雷はどことやら、今朝はサザエさん日和。快晴だ☀️


鮭と納豆とほうれん草のおひたしで腹ごしらえを終えた後に、
ここ金剛頂寺から『道の駅キラメッセ室戸』の分岐を尋ねた。

すると昨日から食事のお世話をしてくれていた女性(おそらく住職の妻では?)が、不動岩を必ず見るようにと強く推してくる。


次の27番神峰寺(こうのみねじ)に行くには道の駅を目指した方が早く、寄り道して不動岩に行こうとは思ってなかった。全く!


女性は「不動岩を見ないでどうするの!」と、その歴史的なことを語りだしていて、それは丸で先生と生徒の構図。

それでも自分の脚のことを考えると、一歩でも少なくするには寄り道はNGであると拒んだのだが、道の駅に行く方は『危ない道』なんだと語気を強める。

危ない❓

どうして❓

一瞬、不動岩に行かせるノルマでもあるのかと疑いたくなった程だ。

そうではなく、ここまで足を運んで由緒ある「不動岩」を絶対に見ないと損だという気持ちからだろう。それは、熱烈な地元愛だ。それは分かっていた。しかしながら、他に寄るなんて気持ちの余裕がない。

しかし、とうとう女性に迫力負けをして、不動岩の行き方を教えてもらっていたのだ。

と言うよりも、半強制的に。 しかし気持ちが乗らない。

支払いの時に宿泊料の6.500円+洗濯機200円・乾燥機200円で合計6.900円だった😫

有料なんて聞いてないから、乾燥機まで使ったのに初めから言って欲しかったと思う。いや、当然言うべきだと思うのだが、お接待で使えると思った自分が甘いのか❓


宿坊を出て、聞いた通りの道を確かめながら歩く。それでも山の中を歩くときは、どっちに進むか迷うことが多々あり不安が大きいのだ。





いつものように、朝一番の鳥のさえずりは気持ちいい。
昨夜の雨で木々の緑が一層鮮やかで空気も澄んでいるのか、宮崎駿のアニメで観たような道を歩いていた。


二股に分かれた道に、へんろ道保存協会の『神峯寺へ遍路道・不動岩 ➜』と表示した看板があった。そのとおり、右に曲がり『小トトロ』が2匹くらい出そうな道を通る。

すると!

『不動岩経由 27番札所 ⇐』と看板がある。

と言うことは、この道を行かなかったら不動岩に行かず道の駅に抜けることができる!とひらめき、看板の反対方向に進んだ。








やがて海が見えた。

     やったー!



今、抜けてきた道は『危ない道』でもなんでもなかったのだ。どんなことをしても、宿の人が不動岩に行かせたかった本当の理由は何だったのだろう。

ごめんなさい、今回はパスして近道を通りました・・・

ブレない自分に自信を持ち国道55号線を歩くと、海は凪ぎその海の色を5倍に薄めたような空の青がとても眩しかった。





それにしても今日は雨具を着ての移動じゃなくてよかった。
mont-bellで購入した雨カッパ上下だが、蒸れるし暑いし、まるで歩くサウナのようだ。ダイエットの人には一石二鳥かも知れない。四国が終わったら不要なので、メルカリで売ろうと思っている。普段使うことがないからね。
雨具のことを心配するより、明日のことを考えないと!

日常の生活で、寝る場所がなくて心配するなんてそうそうあるまい。寝るという人間の基本的なことを案じて、こうして歩いている。当たり前のことが当たり前じゃない事に、気付かされる。

この時どうしても泊まりたい⭐︎宿が香南市野市町にあり、前もって予約はしていたのだがアスリートじゃない限り、前の宿からは物理的に無理な距離に位置していた。毎日キャンセルしなくちゃ、と思いそのまま延ばしていた。
宿選びは歩き遍路(ノジュカー以外)の最重要課題で、遍路道付近に点在する宿の中から自分の歩く距離を考え、時に天気や体調に左右され選ぶ。
丁度いい場所に泊まりたい人気宿の予約が取れるなんて、それこそおみくじの大吉みたいなこともあるが、逆もしかり。人生良い事ばかり続きはしないのだ。
数日前から、その泊まりたい宿のことで悶々としていたのだった・・・


              ●杖☝️

足元には、うっそうとする緑の葉に混じり紫のアサガオが咲いている。
袋を被せた実のなる木があるが、あれは何だろう。

本に載ってない古民家のチープなホステルがあったり、5月の川には鯉のぼりが集団でぶらさがっている。

最近は、屋根より高い鯉のぼりー♪ではないようで『チーム鯉のぼり』みたく沢山ぶら下がっている。そうそう、ホステルやゲストハウスは公式の本に掲載されてないのである。
これだけをまとめたものがあると、助かるのだが。
品のいい建物が見えてきた。



土佐備長炭 自家焙煎珈琲 カフェ&スペース 蔵空間茶間と、明朝体のさり気ない看板が目に入った。
ここだ! 26番のお寺から4㎞先の洒落た宿。大きな文字で『遍路宿』と記されて、センスが漂う。



また今度来ることは、限りなくパーセンテージが低いけど、その時は是非ここに泊まりたいと思った。


小さなスーパーの入り口で、ご婦人たちがトマトと格闘していて
「おへんろさーんー!トマト買って!」と威勢のいい声。「喉を潤すからー」と、ゴリ押しされるが詰め放題はちと多すぎるのでパス。




27番札所 神峯寺 
Konomineji Temmple  22㎞ ⇑ の公式表示がある。
今日は、参拝せず麓の宿がゴール。




たわわに実る琵琶があちらこちらにあり、簡易販売所では琵琶を売っているのを多く目にする。ここは、琵琶の宝庫。
殆どの田んぼでは田植えを終え、ほやほやのお米の苗たちがこれから秋に向けて育つ。よくみると、オタマジャクシがうようよと泳いでいるのだ。生き物がいるのは、農薬のない安全なお米ができる証拠。素晴らしいと思った。
地産地消なんて、流通が発達していない昔は当然の事だったと思う。その地で出来たものを、その地で食べる。食料自給率が低いこの国では、それが贅沢なことになっているのだ。



進行方向の左はずっと水平線が続く。こんなに海だけを見てあるくことは、普段の生活では先ずない。海に囲まれた四国を歩いていると、避難を示す看板がたくさんある。

この海が恐怖に一変することを知りながら、この地の人々は住んでいるんだと確認するのであった。

地震・津波・火山・台風と、日本のどこにいても危険は忍んでいる。そう言えば、ブラジルには地震がないとササキさんが言っていて、この遍路で地震に遭い死ぬとしたら本望だと言ったのが忘れられない。いさぎいい。何故なら、私は死にたくなと思うからだ。

どうして死にたくないのかって?

それは、まだ生きてやるべきことがあると思っているから。





道端のお店屋さんには琵琶と並んで『こなつ』という爽やかな柑橘類もよく売られていて、この地方の特産品らしい。








暫く歩き、海沿いの休憩所に寄った。ブラジルチームから貰ったナッツを食べた。休憩するときは決まって靴下を脱ぎ足の乾燥に努める。
靴下は指先だけの分と、トレッキング用の分厚いのを2枚履いている。履くときは5本指の全体にワセリンをたっぷり塗る。マメ対策としてやっているが、実際にマメが出来ているので効果がないのかも知れないが何故か続けていた。



隣のある看板に『ゴミを捨てないで下さい!!お大師さまが見ています。』と書いてある。
そっか、それくらいポイ捨てが多いのだろう。この看板を見ても尚ゴミを捨てていく人は失格だなぁ。






歩を進めると、海辺のゴロゴロした岩陰に人がいた。何かを採っているようで「何をしてるんですかーー」と叫んだが、一瞬振り向くだけで又例のごとく探している。
誰にでも声をかける、お遍路さんだ。





果物屋さんの前に『おへんろさん専用 100円』と手書きの札があり、傍にはコロコロと小さめの子夏が4つ入っていた。かわいいイラストも目に留まり、甘いかなぁ~と考えていた。

奥にいたおじさんに「これ甘いですか?」と訊くと、
同じ子夏を丸ごと剥いてくれたのだ。
ほどほどに甘くて美味しい。

小さな子夏を買って、また歩いた。






おへんろさんを見かけなくても鯉のぼりを見ない日がなく、時々男子の名前入り五月幟もあり、それは空高く堂々と存在感を示す。後に自分の名前が刻まれた写真を見て、こんなに大切にされていたんだと知る、その記憶は生涯忘れないものになる。
愛された記憶、大切にされた記憶は、時を経ても心の芯の部分で生きているから。












奈半利(なはり)に近付くと、お店や記念館の標識が目立ち、『二十三士の墓』もある。

実は四国を歩く前に、知人から餞別をもらっていた。その方に何か送ろうと、奈半利となりの『道の駅 田野駅屋』に入った。

お菓子をあれこれ選んでは、適当な箱がないかとか・本当に売れているのかと、私はいちいち面倒な客だった。

それをイヤな顔一つせずに手伝ってくれるオバちゃんがいた。自分もオバちゃんなのに、他人にオバちゃんと言っているのを許して欲しい。

そのオバちゃんに餞別のお返しだと説明して、品定めをしていたのだった。『乾燥エノキ』のおつまみは本当に美味しいか、人気ナンバー1の菓子はどの大きさにするかとか、一般客に混じってお遍路さんの出で立ちの面倒な客だったのは確かだ。やっと購入するものが決まり、いい塩梅に箱詰めしてもらっていた。

そのときに笑顔100万ワットの彼女に、写真撮っていいですか?と言うとハズカシーと断っているのに私は勝手に下を向いたアングルで『カシャッ!』と撮ってしまったのだ。

写したことに気付いた彼女は正面じゃない!といけないと言い、カメラ目線の笑顔で静止してくれて、再び             『カシャッ!』





    今度は正面。

正面に自信があったのか、はたまたうつむき加減はNGだったのか知らないが、その正面の顔がめちゃくちゃ可愛くて、後で見ても笑いが出る。😄


横顔美人とは聞くが、正面美人なのだ。

(余談だが、横顔美人は亡くなった瞬間に横向きにしてくれ、と言うとか言わないとか)

買い物を済ませてお店を出た後『正面美人』のオバちゃんが走って来て、歩きながら食べて‼️と、袋に入ったお菓子を渡してくれたのだ。ありがとう〜

ここでもそうだが、高知に入ってから「するきぃー」等と耳慣れない土佐弁が聞こえて、なんかいい。

道の駅隣のドラッグストアで、鎮痛剤とキズパワーパッドを購入して宿に着いた。

宿につくと開口一番、

「疲れているんですかね❓」と言われる。お遍路さんは疲れているのがフツーだが、妙な言い方だと思った。

やはり脚かな。

一日の終わりは、足の裏がえらく熱い。竹踏みをし過ぎて足の裏がヤバヤバになっている人と同じ状態だ。火が吹いてアトムみたく飛べそうな感覚なのだ。

宿の寝具からは、かすかにアンモニア臭がして不快だが仕方ない。
これも修行だ。

実は、この宿で変なお坊さんと出会っていた。詳しくは明日の分に書くが、私とこの場所で出会うのが、運命で決められていたと言う。
明日以降の情報をゲットしようと、アンテナを張ってるのは確か。
道も宿も、とにかく必死だった。その必死さが勘違いされたのだろうか。

この世は変えられない運命に支配されていて、それは誰にも変えることが出来ないと。私が何かをしきりに求めているのを察知したと言うのだ。

ザプッ‼ ︎🥶と思ったけど、極度の疲労で相手の言葉を聞くのがやっとだった。

後ろめたい事は何もなかったのだが、Facebookにもかけなかった。
アスニツヅク 

今日🇧🇷ブラジルチームは、  最後の88番に行く予定になっている。

皆、頑張っているなぁ。

元気かなぁ。

本日、49.193歩

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