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空と海と、10日目

2019年5月5日

はああああぁぁるばるーー来たぜー ♪
こーちけーんーーーーーーー
(高知県)


10日連続して歩けたことに感謝。
国道55号線の海沿いをひたすら歩いて、27.6㎞先にある『民宿徳増』を目指す。
1円でも節約をしたい気持ちはあるが、女性は善根宿NGだと色々なところに書いてあるのだった。

※善根宿とは、お遍路さんに宿を提供するお接待の一つで、無料の簡易施設。  ごく一部の悪意を持った人もいて、女性は要注意

それを忠実に守る訳で、宿から宿の移動がその日の目的になる。もちろんその間に参拝もあるのだった。
なので、一日の出費は最低でも宿泊費が必要だ。お高い宿はパスなので、6千円~7千円が宿の料金だ。

暑い中でも出来るだけ宿の水分補給でやりくりしようと必死だ。
主婦感覚が定着しているために、飲料水を頻繁に購入することには抵抗があるが、生きるか死ぬかを思って頭の中を切り替えている。


今日は5時半起床で朝7時10分に宿を出て、次の宿に着いたのが16時過ぎなので、約9時間かかっている。

ゆっくり歩いても6時間で着くと、びざんのご主人に言われていたけど私の歩きが遅すぎ❓

**休憩時間が多いとは思わないのだが、どうしてだろう。   コンパスが短い? **




  ●これから、海海海と続く

普段の生活では考えられない10日間の日々で何度もくじけそうになり、実際にくじけていたのだった。それでも、こうして歩いているのでいい。






高知に入るとめっきりお遍路さんの数が減った気がする。今日は2人しか出会っていない。

徳島は多いだが、お試しお遍路で満足するのだろうか。
それとも、早々にリタイアするから高知まで辿り着かないのか❓

その内の1人は、Gさん(前回登場)😡

もう一人は東京から連休を利用して歩いている一休さんみたいな、少し違う形の菅笠をつけた爽やかな男性。

その方が私の足を案じて「足を診ましょうか?」と言ってくれたが、遠慮していた。

皆、初めてあった人にどうしてこうも優しいのだろう。

もしかしたらその男性は、東京の整形外科に勤務するマメ専門科の有名なドクターだったかも知れない。

それだったら惜しいことをしたなぁ。

お遍路さんの菅笠には梵字が書かれているのだが、何も書いてないのが欲しかった。

何でもシンプルが一番スキだ。

菅笠を購入した2番札所の売店で私の被ってる分しかなかった。全てこの梵字が書かれているものと思いきや、彼の分は無地で丸い菅笠 ⤵️

爽やかな男性の菅笠を指して「丸くて、一休さんみたいですね」と言うと、ネット購入だと笑った。

ネット購入が当たり前の現在。

そこで購入するお遍路グッズは、四国の人たちを潤おすことになっているのかなぁと考えてみたりする。

殆どのお遍路さんの菅笠には、梵字と『同行二人』以外に四つの文字が書かれている。  

      迷故三界城  
       悟故十方空  
       本来無東西  
       何処有南北

(心が迷っていると、自分の周りは高い城壁に囲われたかのように、何をしても高い壁にあたる。しかし、迷いの原因が何か判明すると、実は焦るものはなにもないことが分かる。

本来は方角に決まりはなく、進むべき道は決められてない自由なもの)

こんな高貴な意味を理解せずに、私は菅笠を被っていたのだった。😰
しゃーない。





海では多くのサーファーたちが気持ちよく波を拾っている。
生見(いくみ)サーフィンビーチの看板が見えてきた。東洋町役場周辺には6件の民宿があるが、その殆どがサーファーの宿になっているようだった。
いかにもサーファーですと言わんばかりの人たちを、宿の前で多くみかける。
そこに駐車している車をみても、一目瞭然。
彼らと同じ宿に泊まらなくて本当によかったと、胸をなでおろしていた。
遍路は対極の感じがして、ものすごく違和感があるからだ。
いや、逆に面白いことがあったのか?



そして、またトンネル。何度通ってもトンネルは好きじゃない。
第二の遍路ころがしとは、良く言ったものだ。
昔はトンネルがない代わり、遠回りして歩いたのだろう。

    ● トンネルの刻印








海沿いに入る前に、見知らぬ男性から呼び止められた。この先に猿が出るかも知れないから、そのときには絶対に目を合わせないようにと言う。
猿が出るんだ、怖い。


大分県の別府に『高崎山』という猿がたくさんいる観光名所がある。幼い頃から何度か言ったのだが、猿が近付くのが怖くてたまらなかった。
本当にこの先に猿がいたら、その傍を歩けないかも知れない。


とにかく、海海海海


事前情報どおり15~16㎞は人家も何もなく、それでいてアップダウンもある。その間トイレもないと言われていていた。

遍路で女性が一番困ることはトイレだ。

以前、宿のご主人に「そしたら、どうするんですか?」と、私はベタなことを尋ねていた。答えは、山と同じでどこでもする。漏らすよりいいじゃないかと言われた。

『お花摘みに行きます』が隠語のようだ。🌼🌸🌺

かわいい言い方だ。

それじゃ、トイレがないのに私がどうしたかって?

ご想像にお任せします。

秘すれば花なり、秘せずは花なるべからず。

トイレくらいでくじけていては四国は歩けないってものよ!






   ●アロエが群生してる


限りなく続く水平線のツートンカラーは美しい。

時々通りすぎる車の中から私の姿が見えると思うが、車内で『お遍路さんだー』と思っているのだろうか。

こうしてずっと海沿いを歩いていると、人は2つに分かれると聞いていた。

それって、なんかインドみたい。
インドに行くと、世界観が変わったと言う人とインドが嫌いになる人の両方に分かれるらしい。それくらいインパクトのある国なのだ。因みに、私はインドには行ってない。

果てしなく続く高知の海景色に飽きるか、その海と重ね合わせて酔いしれるかの両方いるらしく、私はそのどちらでもなかった。
確かに初めて海が見えたときは、やはりその青に心躍る。海そのものよりも、青い色彩が人の眼球を通って脳に安らぎを与えているかのようだ。
カナヅチの自分でも、海を見ると生命の始まりみたいなものを感じるのである。

その青がずっと続くと感動みたいなのは徐々に薄れていく。そして他のことを考えている。びっくりするくらい大きな声で歌ったりもした。
来世を信じてないくせに、来世は必ず歌が上手い人に生まれてきたいと願うのだった。そんな自分は矛盾している。
矛盾は膨らみ、出来ることなら吉田美和になりたい❗️と。
女子は美人に生まれたいと思う人が多いのかも知れない。
美人に生まれ時点で、幸福の半分を手に入れていると聞いたことがある。
う〜ん、それはヤングの考えだろうな。

そりゃビジュアルは大切だが、長い時間を共にするには心で繋がるのは確か。
美人は3日で飽きる、ブスは3日で慣れるの語源も、心のことを指してると思う。







     ●杖の先っぽ ☝️





歩くだけで退屈だろうからとīPod をザックに忍ばせているけど、使わないから送り返そう。

本当は聴きたいけど、出す手間が面倒なのだ。ほんの数秒の手間なのにね。



 ●道を間違ったら、たこ焼き屋が!




相変わらずマメは痛むのだが、鎮痛剤のおかげで少しはマシだ。効いているときが花だ。
痛い足を無意識にかばっているせいか力が入らず、それ以外の他の筋肉に負担がかかっているようだった。
どうか、他の筋肉も頑張ってくれ‼️
自分の身体の一部に、自分がエールを送るのだった。
会社でも一人ポンコツがいると、周りがフォローする。いや、フォローせざるを得ない訳であって、人間社会も筋肉社会も似ているのだ。
今日は寡黙に歩いていて気付いた。
私はこの『歩く』だけの作業を、延々と続けられるんだと。なんでも直ぐに飽きてしまう性格なのに、小さな発見だった。幼い頃からの習い事は何一つ身に付いてない。それと飽き性との関連性があるのか分からないが、何をするにも飽きっぽい。
素晴らしい性格なのだ。


遍路で飽きると表現するのも、しっくりこないけど。
歩くという作業が決して面白い訳でもなく、痛い・重い・☀️☀️紫外線が強いと文句を言っている。
そして、サーファーが多い・ツーリングのバイクは飛ばし過ぎ💢・なぜ足元にある石はみんな丸いの?と、無言であっても頭のなかはメリーゴーランド。

歩くと免疫力が高まって自律神経が整うと推奨されてきたが、それは程々の歩きの場合である。
過ぎたるは及ばざるが如しで、私は故障のオンパレードだ。
娘から、歩いて何か得られているの?と、海を越えてLINEが来る。まだ何も分からないから返事を返さなかった。そんなのは結願した人しか分からない。

佐喜浜町の宿に着いた。
昨日同じ宿に泊まった女性は、少し手前の『民宿ロッジおざき』に予約していて夕ご飯が出ないと聞いたなぁ。
それにしても宿に着くまで、一度も猿を見かなった。本当に出るのだろうか。地元の人が言うから本当に出るんだろうな。



予約がとりにくいと言われている今日の宿は、宿泊客は二人だけ。後1日か2日前倒しで歩いていたら、ずっと混んでいる人の波で人気宿に泊まれる確率は低かった。
空いている時期に歩いたことが、本当にラッキー池田だ。

        ♨️

お風呂場で体重計に乗ると、また減っている。痩せたニワトリみたいになっては見苦しいと、一喜一憂するのがダメなのかなぁ。
地産地消にこだわった目を見張る夕ご飯は、見た目こそ地味だが本当に美味しかった!

料理の美味しい宿で定評があるわけだ。定年退職した65歳の東京在住の男性と、2人で食事をした。
2人だけなので自ずと会話が始まる。その方は遍路に挑戦しようと決めて、足に錘を付けて歩く準備を積んできたと言う。
私が「三浦雄一郎みたいですね」と言うと、少し驚いたような表情をしていた。彼も山を登る前にそうやってトレーニングしたのだが、この方はそれを知らないようだ。
それにしてもこの宿はお茶に至るまで自家製で、この歳になるとご馳走はこういったものだと痛感する。
全てがとても美味しく、ご飯を3杯食べたのだった!!
梅干しは甘くないと食べられない我が子たちが、早くこんな味を分かるようになって欲しいと思った。


食事の場所に、キリンビールの大きなサイズのご当地ポスターが貼ってある。
『たっすいがは、いかん!』との文字。
後で訊くと『薄いのはダメだ』との意味らしい。
それにしても、民宿で男性陣はお酒を飲む人が多い。私がお酒なんか飲んでしまうと、疲れた体に強力な眠剤を飲むようなものだから絶対にNG。それで四国では一滴も飲まなかった。その後がグロッキーとなってしまうから。
そう言えば、男性は洗濯をどうしているのだろう。
私は毎日、洗濯が乾くのを半ば祈るかのように夜も心配になるのだが、男性あれだけ汗をかいて洗濯をしないの?❓
海の前に佇むこの古い建物の人気の理由は、間違いなく夕ご飯にあると思ったし、夕ご飯だけを求めて再び訪れたいと思うおススメの宿である⭐️
2食付きで7.000円だが、お接待で300円引になった。


そして、めっちゃうれしい事があった!
ヤッホー
有料(300円)で、次の宿までキャリーサービスをしていたのだ。
重いザックを運んでくれること。ここで聞くまで、知らなかった。繁忙期以外は、基本しているというお宝情報だ。
嬉しいー‼️
数日前から、ザックのショルダーベルトに巻いていたビニールのツブツブが破れたので、取り去っていたのだ。
アレの正式名は、『気泡入り緩衝材』だった。この機会に覚えよう。

明日は肩の痛みもなく、26㎞歩けるのだ。
こころウキウキ♬ ダウンタウンブギウギバンドであるー
本日、51.228歩

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