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先生が学校に行けなくなった日【3日目】

3日目 火曜日

火曜日、「今日も大丈夫だ」と家を出た。相変わらず、坂道を上る足取りは重たく、体全体に疲労感がつきまとった。

電車に乗ると、すぐに覚えのある気持ち悪さを感じた。「やばい」と思った。途中の駅で降りるべきか迷った。が、ここで降りたら、もう戻れない気がしてやめた。目をつむり、深く呼吸をする。何も考えないようにすればするほど、嫌なことがフラッシュバックする。

駅と駅の間がこんなに長く感じたこと今までなかった。「とにかく速く駅まで着け」と、願った。


ようやく駅について、エスカレーターを上がるとき、また吐き気がした。トイレに駆け込んだ。こんな状態になってしまっている自分にショックを受けた。
トイレの中で泣きじゃくりながら、学校に電話をかけた。「ごめんなさい」と何度も謝る声は、改札の方まで響いていたかもしれない。でもそんなの気にしている余裕はなかった。
 
その日もすぐに病院に行った。学校関係の人よりも、つながりのない人の方が気を遣わずに話せた。泣きながら本音をぶちまけた。

「頑張れません。もう限界なんです。」

 先生は優しく受け止めてくれた。

「頑張らなくていいんだよ。ちゃんと休みなさい。これは医師からの指示です。」

その日のうちにすぐに診断書を書いてもらった。後から先生から聞いたが、「あのときは、本当に死ぬんじゃないかと心配だった」と思うくらいの様子だったらしい。
 
診断書を受け取ると、その紙切れ一枚で、なんだか心が楽になったような気がした。心のどこかで「休みたい」と思っていても、甘えてるんじゃないか、もっと頑張れるんじゃないか、と自分で自分のことを責めていた。でも、先生が「休みなさい」と言ってくれたおかげで、「自分の心と体のために休もう」と前向きになれた。
 
休職をする決断は、勇気のいることだと思う。周りの人に迷惑をかけてしまうし、周りからどう思われるのだろうと不安もある。これからの自分のキャリアも変わってくるだろう。


でも、自分の心や体が壊れる方がよっぽど辛い。

だから、私は休職しました。

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