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時空を越えた旅47 - 悩めるミゲル(2021.4.11)

《 特別じゃなくていい.2 》

悩めるミゲル🤣🤣🤣

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ミゲルは、
リオデジャネイロから来た大学生で、

確か20歳だった。

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子供と無邪気に遊ぶかと思いきや、

みんなを巻き込んでの沈黙を起こしたり、

食事の一口ひとくちを噛みしめ味わっていたり、

溜め込んだ怒りの炎を目に灯し、
突然竹刀を振り回しながら逃亡したり…😅

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ときには単純明解で、

ときには複雑難解だった。

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そんな彼は、

私とマルセラの関係性を見抜いた後、

マヤ暦のKIN が私と同じ

「 赤い月 」

だからと言って、

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私から
月を学びたいんだと、

何かにつけて
くっついてくるようになった。

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彼は変なトコも沢山あったけど、

私は彼が好きだった。

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儀式の前日、

いつもの様に焚き火を囲みながら、

明日の儀式で使う
4種類の薬について話していた。

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ミゲルは、

そのひとつ「 毒がえるの毒」を
皮膚に焼き付けるのだと張り切っていた。

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話を聞いただけで、
私はパス~🤣🤣🤣と思ったのだけど、

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このメンバーで受ける儀式は特別、

そして、

僕は4つのエレメントを
自分のものにしたいんだ。

だから、
全部受けたいんだ。

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と言っていた。

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儀式の日、

彼はそうとは知らず、
私の左横の席に座っていて、

リオから持ってきていた、
大事な絵を側に置いていた。

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1杯目の薬草を飲んだ後、

真っ暗闇の中静かに、
皆その時が来るのを待っていた。

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2杯目の後、

しばらくしてから
彼の異変に気付いた。

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彼はしきりに、
焚き火の周りに行っては、

ど真ん中に、
無意味に突っ立っている。

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そのうち、

サポート役の人たちに声をかけられ、

席に戻るよう促されても、

頑としてそこを動こうとはしなかった。

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焚き火の火が燃え盛る中、

火の周りをうろうろし始め、

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焚き火を
囲むように置いた石を跨いで、

火の中に入ろうとした。

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薬草が効いて、
違う次元に行っていた私は、

それどころではなかったのだけど、

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それでも、

彼の挙動不審には目についた。

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私は今と過去の狭間で、

泣きじゃくりながらも、

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無理やり席に戻されて、

不満そうな
表情を浮かべているミゲルに、

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「 ミゲルお願い。

あなたがいないと輪が完成しないの。

お願いだから助けて。

一人じゃできない。

だからここにみんなが集まったんでしょ。

あなたの場所に戻って。」

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必死で頼んだ。

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でも残念ながら、

彼には伝わらなかったようで、

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しばらくして彼は、

みんなの目を盗んで、
神聖な焚き火の火を素足で踏んだ。

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呆気にとられるシャーマン、

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サポート役の人たちも、

入れ替わり
立ち替わり彼に話しかけたけど、

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彼は、

「 僕の力で薬草の力に立ち向かうんだ。」

「 僕の力を証明するんだ。」

みたいなことを言って、

挙動不審を続け、

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最後は退場させられ、

残りの儀式をひとり、
会場の外から眺めていた。

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儀式が終わり、

薬草の力が抜けて落ち着いた頃、

それぞれの体験をシェアした。

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最後に、

シャーマンがミゲルに声をかけた。

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会場の外から、
ミゲルは何か言ったけど、

よく分からない。

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それから、

シャーマンは優しく、
ミゲルを会場の中へと招き入れた。

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神聖なる
火を侮辱したことに、

顔をしかめてはいたけど、

シャーマンは落ち着いていた。

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そして儀式も、
完全にお開きになる頃、

あり得ないことが起こった。

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自分を
許してくれたシャーマンの目の前で、

ミゲルは突然、
消えかけた焚き火のど真ん中を、

素足で踏んで入ったのだった。

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皆すでに正気に戻っている中、

もう訳が分からなかった。

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シャーマンは、

再びミゲルを退場させ、

もう二度と、
インディアンの薬草はあげないと言った。

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そして、

消えかけた神聖な火に詫び、

乾燥したある薬草を振りかけた。

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もちろん、
あんなに楽しみにしていた

毒がえるもなし。

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ミゲルは、

せっかくの儀式を、
台無しにしてしまったように見えた。

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翌日の夕食後、

ミゲルは、
私に聞きたいことがあると言った。

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「 君のオラクルカードで出た僕は月だった。」



具体的に何て
言ったか忘れたけど😅

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僕は君を助けたかい❓

とか、

僕は月の力が分かった。

とか、

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そんな感じだった。

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私は、

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みんなのパワーが
ひとつになってお互いに支えあっていたから、

ミゲルも自分の場所に戻ってと言った。

それが私の助けになるはずだった。

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と言った。

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すると、
ミゲルは驚き、

「 じゃあ完全に誤解していたんだ…」

と言った。

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その後、

リオ行きは翌朝5時発にも関わらず、

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深夜0時まで、

私とアリアニ、ヒカルドの3人



ミゲルの討論が続いた。

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ミゲルは、

世は世紀末、

もう時間がないから、

急いで何かして救わなければ。

と言った。

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だから、

僕は特別な力を手に入れて、

何か特別なことをしなければならないと。

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それに対して私たち3人は、

確かに今は転換期だけど、
急いでも仕方ない。

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だからこそ、

一人でも
多くの人が目を覚ますように、

私たち一人一人が、
今出来ることをやってるんだよ。

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特別な力も、

特別なことをすることも、

必要ない。

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儀式の時と同じで、

自分の能力を
試したり見せつけるために、

対抗したり、
相手をコントロールする必要はない。

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それどころか、

流れに身を任せて、
みんなと同じエネルギーに身を委ねれば、

もっともっと
大きな力になったし、

より早く、
望むところへ辿り着けると思うよ。

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それでも尚、

ミゲルは納得行かない様子で、

頭を抱えていた。

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例えばさ、

ある日僕は、
誰かを助けたくて、

ホームレスにあげようと思い、
自分で作ったお弁当を4つ持って、

外へ出たんだ。

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でもどこまで行っても、
ホームレスに出会わない。

いつもは、
あちこちにいるのに。

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やっとのことで
出会った3人にお弁当を上げて、

その後出会った
女の人にお弁当を渡して話していた。

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僕は、
誰かを助けたかったのだけど、

彼女はとてもいい人で、

もしかしたら、

僕の方が彼女に
助けられたような気になったんだ…

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彼が何を、
言いたかったのかは分からない。

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でも、

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そうなんだよ。

誰かを助けようとするのは、

自分のためで、

エゴかもしれないよ。

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言えば言う程、

頭を抱えるミゲルを横目に、

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アリアニと私は、
同じことを言った。

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私も同じように思ったことあったから、

ミゲルの気持ちも分からないでもないよ。

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