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16時退社でもGDPは日本1.25倍のフィンランドのこと

3月20日は、毎年国連による「世界幸福度ランキング」が発表されますね。
自分自身の生活への満足度という主観に、以下の6項目の内容が加味されるものです。

1.一人当たり国内総生産(GDP)
2.社会保障制度などの社会的支援
3.健康寿命
4.人生の自由度
5.他者への寛容さ
6.国への信頼度

日本はだいたい50〜60位ですが、今年は何位になるでしょう。

先日3月8日の国際女性デーでは「男女格差 日本は世界で103位 去年の80位から大幅ダウン 世界銀行」や「女性の働きやすさ指標 先進国で日本ワースト2位」が出ていたり、韓国の大統領選の話題から「韓国の出生率が0.81と過去最低を更新」だと話題で改めて日本も1.3と低い話が出ていますね。それを考えると急浮上はないかなと感じています。

日本女性が社会構造上、浮上しにくい細かなバイアスがたくさんあるのですが、その社会を築いてきたりルールを決めてきた社会の大多数を占めた男性が悪いとかではなくて、男性自身もこの世の中はとても息苦しいだろうなと最近感じています。

チャック女子(オス化女子)だった時はその悪に気づかなかった

私の過去のひどい働き方を白状すると、28歳の頃まで「チャック女子」。外見は女子の着ぐるみを着ているが、背中のチャックを下ろすと中身はおじさん、という「オス化女子」のことを指していて、22時〜1時くらいまで会社にいました。仕事好きで、趣味仕事。独身で時間も有り余っていたこともあり「18:00からが、メールも電話も来ないから、仕事に一番集中できるよね」と朝から仕事してるのに夜仕事スイッチが入る発言をしてしまっていました。明け方家に帰ってシャワーを浴びて、ソファーで仮眠をとってまた早朝に出社するというワーカホリックでした。

最近は死後ですが「企業戦士サラリーマン」というガシガシ仕事できることに酔っていたし、営業だったので「売れる、忙しい」が気持ちよかったり。「24時間戦えますか、リゲイン、リゲイン、ジャパニーズ ビジネスマン」というリゲインのCMの歌詞も違和感がなかったです。

その後かなり時間が経ち、ライフイベントを経て社会の歪みに気づき、これで成り立つ日本経済・社会はおかしい、とはっきり認識しました。そして男女共、多くの悩みがこの構造に起因しているなと感じることもしばしば。
例えばこんな感じです↓

パターン別お悩みの例

私が色々な友人から聞く悩みを性別・婚姻歴・子供有無のパターン別であげてみます。

男友達(独身):仕事終わらなくて忙しすぎて合コンとか出会いの場に行けない
女友達(独身):出産で仕事を続けられない可能性を思うと、結婚したくない。でも出会いも彼氏もほしい。産まないでいいと言う人がいい。
男友達(既婚・子なし):仕事で活躍している奥さんが子作りを先送りにしていて離婚しようか迷っている
女友達(既婚・子なし):昇進してから産まないと、そこからの出世の道が立たれるから気休めで高額の卵子凍結をしようか悩んでいる
男友達(既婚・子あり):独身の長時間労働のイメージがついたまま子供を産んだら、育児関与できないまま家での居場所を失い、もはや妻との心の距離が離れて不和。本当はもっと子供と遊びたい
女友達(既婚・子あり):私が育児家事を担っていて、仕事もあるからもうクタクタだし、会社では「早帰りいいね」と言われる始末。そしてセックスレスに。
女友達(既婚・子あり):寿退社したけど再就職を考えてるのに、無職だと点数がないので保育園も決まらず仕事も決まらない。家事は全部任せたと言われていてお先真っ暗。

これ長時間労働が主流の日本社会が原因ではないかしら。終身雇用で男性ががむしゃらに仕事し、女性が家庭を支える役割分担で高度経済成長期に伸びたのはあるけど、地域社会のつながりが希薄になった今子育てを核家族で担うには荷が重いです。実際にお母さんが子供を殺めてしまうニュースも続いていますし、過労死の話も後を立たないですよね。過労死は日本と韓国くらいなんだそうです。諸外国も働く時は働くんです。でもダラダラと長時間をベースにしないし、主張もするだと思うのです。


このままいくと少子化が加速し、寿命は更に伸びるので、現役1.5人で1人の高齢者を支えるでは済まない形になりますよね。自分達でも一杯一杯なのに、産んだら自己責任という日本だと安心して子どもが産めなくなり、日本が沈没(衰退)するのではと思うと悲しいじゃないですか。

長時間労働で幸せになるのは資本家だけではないか

働き方改革が進んでいるとはいえ、この長く働ける(残業が物理的に・体力的にできる)人がベースとなった企業経営がまだまだ主流になっていると

男性自身:体力的・精神的にきつく、家庭を彼女・奥さんに依存するしかない
女性自身:社会で仕事しつづけ、8時間仕事しても「早上がりで残業も転勤もできない人」という見え方
(役目を全うできていないような見られ方や責任ある仕事がこない、など)

女性の方を補足すると、私の知人には
「俺は◯◯(奥さん)に仕事してほしいとは思っていない。したいなら勝手にすれば良いが、俺が養えるのに仕事をしたいのであれば、家事育児はできる範囲にして。俺はこれまで通り仕事忙しくてやれないから」
という話もとても多い。特に一度職場を離れてしまい、役割分担が出来上がった家だとこのパターンで定着してしまうんですよね。私も一瞬専業主婦風な時期を経験したので、その肩身の狭さも理解できます。

日本は家事・育児負担の男女格差が大きい。経済協力開発機構(OECD)によると女性が家庭内の無償労働に割く時間は男性の5倍強で、2倍前後の欧米各国を大幅に上回る。(日経新聞:2022年2月27日)

世界一幸福な国、16時退社、GDPは日本の1.25倍のフィンランドという国

フィンランドといえば、サンタクロース、オーロラ、ノキア、サウナ、マリメッコ、ムーミンなどが有名な小さな国ですね。
でも、仕事の時間は8:00〜16:00。朝は早いですが、16:30には多くの人が帰社しているそう。毎日2回ティータイムがあって、そこで「子供が生まれたよ。最近3児のパパになって家が賑やかなんだ」などプライベートな話を共有し、仕事の話はしないそうです。
そんなメリハリがある仕事の仕方をしていて、GDPは日本の1.25倍ある。
こんなに過労死も出るほど真面目に長い時間(フィンランドの1.5倍、2倍とか)仕事している日本人のアウトプットが、8時間きっかり仕事をされている方より低いって切ないですね。無駄が多い、無駄な働き方をしないと行けない構造(残業代がつく、上司の手前帰りにくい、長く仕事できる美徳、家庭不和で職場に長くいたい、時間帯成果よりも重視される何かの評価指標など)

また、同国は職の有無にかかわらず保育園に100%入れます。そして大学まで教育費は無料です。教育の意識は高く、教育面もフィンランドは世界トップクラスであったり、読解力に関しては世界一とのこと。教員の地位が高く給料も担保されている。日本のようにキチキチとした枠組みに押さえつけたり、自宅に持ち帰り教員が家族の時間を削ってテストの丸つけ、土日にクラブなどに駆り出すような教員の締め付けも少ないので、結果として教員がイキイキとしている点もあるそうです。

なんとなくどんよりした経済・社会を打破していくなら

世代問わず、育児・介護状況など問わず、仕事を長くすることがよくない、強い言葉を使うと「長時間労働で成果を出す人はダサい」「プライベートが趣味や人付き合いなど充実していて、仕事とバランス取ってる人が素敵」「家事・育児に参加する人が(奥さんの尻に敷かれているとかではなくて)イケメン」「心の余裕があって、人にも優しい人がかっこいい」みたいな発想のもと、皆ができることから発言・アクションしていけるといいのかなと感じている今日この頃でした。

この記事の取材でも、自分が大事にしたいものの心境の変化と、働き方の変化を話しました。

みんな違って、みんないい!

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