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芝公園で「言葉探し」/こども哲学実践

こんにちは。まえゆかです。

今日は2か月に1回開催しているこども哲学教室。

普段は区民センターの会議室を利用して実施していますが、春の陽気に合わせて外でイベント的にワークショップをやってきました。

備忘録的に実践内容をご紹介。

5年生クラス:「~~だけど~~なもの探し」

参加者は6名。
3年生の12月から参加しているメンバーが5人と、ママ向けのおとな哲学の参加者のお子さんが初参加!
初めてですが、既存メンバーの1人とクラスが同じで顔見知りだったので特にアイスブレイクもなくスタートできました。

進め方

「言葉探し」は進め方を簡単にご紹介。

《流れ》
13:05 芝生広場に集合(主催の方がレジャーシートを設置)
13:15 説明&散策スタート
    前半:一人ひとり違うテーマ
    後半:みんなで同じテーマ
13:50 レンタルスペースへ移動
14:05 レンタルスペースで対話
14:50 終了 ※みんなで公園に戻る

《ルール》
1)全員iPadやスマートフォンなどの撮影できるものを持ってくる(ない子は私のスマホで撮影)
2)テーマにあったものを見つけたら写真に撮る

これだけ。

あとは、散策時間に私と一緒に6人で芝公園内をうろうろ。
追加したルールとしては「みんなで一緒に散策すること」くらいかな?

この時間、保護者や兄弟はレジャーシート周辺でお待ちいただきました。

用意したテーマ

一覧はこちら。

大きいけど小さいもの/小さいけど大きいもの
あるけどないもの/ないけどあるもの
キレイだけど汚いもの/汚いけどキレイなもの
良いけど悪いもの/悪いけど良いもの
怖いけど怖くないもの/怖くないけど怖いもの
難しいけど簡単なもの/簡単だけど難しいもの

だいぶ前にUTCPでやった4~6歳向けのこども哲学のイベントで「あるけどないもの」を探すワークショップがよかったなと思ってました。
いつかやろうと思っていたものを実践。

対話

レンタルスペースで話したことは
・言葉探しの感想
・それぞれが撮ったものの紹介+他の子からの質問
・みんなで同じテーマで撮ったものの紹介+質問
・「きれいだけど汚いもの」で今思いつくものを挙げる
という感じでした。

30分くらいなのでそんなに長く話していませんでしたが、自分で撮った写真を手に、「どこがどうでそう思った」という説明をしてもらいました。

こども達の反応

スタート時は「え~~そんなのないよー!難しい!」と言っていた子たちも、散策していると楽しそうな雰囲気。

散策してみてどうだったのか、対話の冒頭で感想を聞くと

  • なさそうだなと思ったけど意外とあった

  • 今まで考えたことないことを考えられてよかった

  • いつもの対話だと「聞く」と意識するけど、自分で「考える」のも楽しいと思った

  • 公園は遊んだり遊具にしか意識を向けてなかったけど、身近なものにも意識が向いて、新しい発見があった

  • 外の空気が新鮮だった

などなど。
会議室での対話だとマンネリ化するかなと思って取り入れたワークでしたが、「自分で考える時間になった」というのはうれしいリアクション。
公園にある花や柵などに意識が向いたというのも、新鮮なリアクションで私もうれしかったです!

実際に子供たちが見つけたもの(一部抜粋)

怖いけど怖くないもの
・暗い場所に咲いているバラ(暗いところが怖いけどバラは怖くない)
・太陽(熱中症になりそうと思うと怖いけど、今日の天気だと怖くない)
・人間(中身が怖いかもしれなけど見た目からは怖くない)

大きいけど小さいもの
・東京タワー(近くに行ったら大きいけど、遠くから見たら小さい/全体は大きいけど窓とか小さいものも含まれる)


簡単だけど難しいもの
・花(「花」と答えるだけなら簡単だけど、名前とかどこから来た花とか答えるのは難しい)

難しいけど簡単なもの
・今日のワーク自体(探すのは難しいけど、写真を撮るのは簡単)

ないけどあるもの
・光(目に見えないけど明かりがある)
・空気(みえないけど確かにある)
・時間(目には見えないけど時計を見たら把握はできる)

悪いけど良いもの
・階段(車いすの人にとっては不便なもの、歩ける人にとっては上り下りしたら健康にいいもの)
・時計(見ると「もうすぐ習い事だ」とか嫌なことに気付かせられるけど、時間を教えてくれるという良い面がある)

キレイだけど汚いもの
・空:きれいに見えるけど大気汚染している

・バラ:遠くから見たらきれいだけど、近づくと虫に食われてたり枯れてたりで汚くも見える
・柵(フェンス):形がきれいだけどさびている部分などは汚い

気づき

最後に、「キレイだけど汚いもの」を教えてと言ったら、「ごみ箱」と真っ先に答えてくれた子がいたのですが、次に上がったのは「人間」と。

「みんなの心はキレイだけど汚いの?」

と問うと、

「ここのみんなにも打ち明けられない汚い部分が5個くらいあるよ」とニヤリとしながら語る子も。

「自分の心はキレイだよっていう人いないの?」

と問うてみても、「いや~キレイな人なんていないよ!」「みんな外側はキレイ」「自分の中にはこっそり汚い部分もあるよ」と口々に話していたのが印象的でした。

「心はキレイになるのか?」という問いで対話をしてみても面白そうだなと思った瞬間でした。

3年生クラス:オノマトペ探し

続いて3年生クラス。
こちらは1年生が1人入って計5名。

進め方

《流れ》
15:00 芝生広場に集合(主催の方がレジャーシートを設置)
15:10 説明&散策スタート ※ママとペアで実施
    前半:一人ひとり違うテーマ
    後半:みんなで同じテーマ
15:50 レンタルスペースへ移動
16:05 レンタルスペースで対話
16:30 終了 ※みんなで公園に戻る

ルールは5年生クラスと同じで、テーマにあったものを見つけたら写真に撮るというもの。

5年生と大きく違うのは、3年生はママとペアで散策するので、私はレジャーシートの場所で待機。
前半のテーマに沿った写真を取ったら戻ってきてもらって、一緒に撮ったものを私に見せてもらい、後半のテーマの写真をまた取りに行くスタイル。

前半はバラバラのテーマで、後半はみんな同じテーマにしました。

用意したテーマ

3年生はオノマトペを探してきてもらうことにして、用意したものをランダムに渡しました。

キラキラ/きらきら
サラサラ/さらさら
トロトロ/とろとろ
ツルツル/つるつる
プルプル/ぷるぷる
テカテカ/てかてか
カチカチ/かちかち
ギラギラ/ぎらぎら
ピカピカ/ぴかぴか ★後半の共通テーマ

対話

3年生は元気な子たちが多いので、散策でテンションが上がり、手元にスマホなどのデバイスがある中だったので時間を短めに実施。

レンタルスペースで話したことは、ざっくりこんな感じです。
・言葉探しの感想
・それぞれの撮った写真の紹介
・テーマにあった言葉を写真の中から探す
・撮った写真の中から新しい言葉を探す

3年生クラスは初参加者もいなくていつものメンバー。
まだ自分の感情や説明などをする際に語彙が足りない部分もある年頃ですが、今回の言葉探しなどを通じて語彙を増やしていくことが今回の目的。

発表するときには、きちんと相手に伝わる形を身に着けてほしくて、それぞれ撮った写真の説明をするときは、以下のフレームに合わせて話してねと説明しました。

ぼく/わたしは○○○○(キラキラ)を探しました。
◇◇(部位)の~~~(どんなところ)が○○○○(キラキラ)でした。

こども達が見つけたもの

上のフレームに合わせてこどもたちが紹介してくれたものは例えばこんな感じでした。

カチカチ
「ぼくはカチカチを探しました。公園の大きい石がカチカチでした。

ギラギラ
「ぼくはギラギラを探しました。車の反射しているところがギラギラでした」

キラキラ
「ぼくはキラキラを探しました。上のほうの(増上寺のほうにある仏閣の門みたいなところの上部)飾りがキラキラしていました。」

という感じ。
みんな自発的に散策に参加していたので、普段は感想が「楽しかった!」などの一言で終わる子も、この枠に合わせて自分の見つけたものを説明してくれました。

気づき

対話の後半では、私が撮った写真を見せて、「この中から『キラキラ』みたいな言葉を探して」といったのですが、こども達にはピンとこなったようです。


実際にみせた写真

散策中に3年生の兄弟である5年生クラスの子たちに見せてみたのですが「ざらざら」「ピカピカ」「もくもく」とかがさらっと出てきたので、3年生も問題ないかなと思ったのですが、3年生の子たちには刺さらなかったようでした。

すぐに切り替えて撮った写真の中から「キラキラ」を探してと伝えるとみんな意気揚々とスマホを見て「見つけたよ!」と教えてくれました。
質問の投げ方ひとつでこども達のリアクションが異なるので、3年生クラスのほうは私の問いかけはもっとバリエーションつけて揚げられたらよかったなと反省しました。
つたない問いかけになってしまいましたが、子供たちがいろんなキラキラがあることに気づく機会になってくれてたらいいなと思います。。


というわけで、今回はいつもとちょっと異なった対話の実践の場を行いました。
少しずつ参加メンバーが増えたり、子供たちの変化も見えてきているので、問いを決めて話したり、絵本を見て対話をしたりというのだけではなく、いろんな形での実践に今後も取り組んでいきたいなと思ってます。

こども哲学で面白い実践があったらぜひ情報交換させてください!

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