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Amazonと本屋さんと図書館の違いを考えながらどれも好きって話。

久しぶりに図書館に行った。約2か月ぶり。

図書館に向かう足取りはルンルン。
予め、予約図書の引き取りと返却しかできないことは知っていた。
それでも久しぶりに図書館に行けることが思いのほか嬉しい自分に少し驚いた。

3月まで休職期間中だったこともあって、週に1.2回の図書館へのお出かけは私にとって重要な外部との接点だったのだ。

4月に社会復帰したらそんなに行けなくなるかなーと思っていたけれど、コロナ自粛が始まって、前とさほど変わらない生活をしていく中で、本屋さんと図書館に行けなくなったことが結構大きなダメージだった。

図書館に到着すると、いつもの図書館とは全然違っていた。
開架図書への立ち入りはできないとわかっていたけれど、足を運んでみて、半分は司書さんへの感謝、でも半分はちょっと寂しかったのだ。

今の図書館は

下の写真は図書館の中。
予約図書の貸し出しのある人だけが入れます。
返却の人は入り口に設けられたテーブルで返却。
入り口の自動ドアから一歩入ったところまでしか入館できないようにして、中に人が多数入らないようにしているみたい。

通常は、入ってすぐ左にカウンターがあるけれど、今回はぐるっと書棚を回って一方通行になるようにルートが設定されていた。
床には矢印とソーシャルディスタンスを守ったライン。
私以外に利用者がいなかったから並ぶことはなかったけれど、多数の人が来ても大丈夫なような対応なのだろう。

切なかったのは、「図書資料に触れないでください」の案内。
まぁ、本だからね。
消毒とかしにくいだろうし、ここで手に取っちゃうと人が滞留するし。
今の時期としては「借りたい本が借りることができる」ということだけでもとってもありがたいなと思った。

だけど、改めて思った。
私が図書館を好きな理由って別だなって。

図書館で4冊の予約図書を貸し出したけど、本をタダで借りられることにメリットあるのではなくって、もっと違うところに価値があったのかもと思ったので、私なりに本との出会いの場であるAmazonと本屋さんと図書館の違いについてまとめてみました。

今すぐに欲しい本が手に入るAmazon

私はAmazonのヘビーユーザー。
Amazonが立ち上がった時に、短大教授だった母が「レビューを書いたら500円分のギフト券くれるって」と教えてくれて、4つくらい書いたのを覚えている。当初はレビューを集めるために1件500円もの高額なおまけをつけていたのだ!

大学で英文学を教えていた母は洋書の輸入に苦労しており、もちろん地元では購入できないので年に数回東京の大きな書店に出かけたのをよく覚えていた。
自宅に送られてくるし、本屋で買ったり輸入するよりも安いことにたいそう喜んでいたのが懐かしい。

大学生になったらAmazon StudentというPrime会員制度が始まって、10%のポイントが付くので生協にない本は全部Amazonで購入していた。

それでも本屋さんに行くのと図書館を利用することは変わらなかったのは、莫大な量の在庫があったとしても、莫大なデータには「カテゴリー」または「キーワード」がない限り、作品にたどり着けないからなのだ。

この本が読みたい。
この作者の別の作品が読みたい。
このキーワードに関連する本が読みたい。

それも、今すぐに。

そう思うと、Amazonはとっても便利なのだ。

Prime会員になれば当日に届く本もあるし(コロナの影響で2,3日かかるようになったけど)、Kindleもあるのでなんならその場でも読める。
欲しいなと思った本をすぐに手に入れられるのがAmazonの魅力。

でも、Amazonにはないものが、本屋さんと図書館にはあるのだ。

今の社会や自分にとって重要な本に出会える本屋さん

本屋さんは、ジャンル別に本棚が設置されている点では、Amazonと同じかもしれない。
ランキングもあるし、在庫という面ではAmazonに劣る。

それでも、本屋さんにある魅力は、本との偶然の出会いだ

棚の配置も本屋それぞれだからこそ、社会科学系の本を探しに来たけれど、会計までもっていく間に目に入った健康系の本が気になってついでに買った、と言うことはよくあること。

空間を移動することで、タイトルだけではなく本の醸し出す雰囲気に引き寄せられることがたくさんあるのだ。
そういった、理屈ではうまく説明しきれない偶然の出会いがあるのが、本屋さんの特徴の一つ。

でも、それって図書館とも同じでは?
と思うかもしれない。

図書館と本屋さんの違い。

それは、作品の価値の時間軸だと思うのだ。

大型書店の場合、必ずあるのが「今月の新刊」コーナー。
小説の棚であっても、そこには恋愛小説もあれば時代小説もあって、ミステリーもSFもある。
共通しているのは「今月発売されたこと」だ。

様々な出版社から出てきた作品は、出版社なりの判断でこの時代に求められるものを発行しているはずだ。
そして、書店もお客さんに求められるものを書店の価値基準で選んでいる。

今月発売されたものばかりではないけれど、基本的にはスペースも限られているから、何を置くかを考えるときに本屋さんは「今日売れるかどうか」なのだ。

どんなに大作であっても数年前に一時的に流行った作品を、目立つところに置く書店は少ない。
5年後、息子に贈る本を今買う人はいない。

本屋さんの価値基準は今であって、今話題の本だったり、今の購買者の傾向に沿った本を置くのだ。

だから健康系の棚の前では、モムチャンダイエットがあったかと思えば、朝バナナになるし、レコーディングダイエットになった時期もあれば、ロングブレスになったりもした。最近は糖質オフが主流かなと思うけれど、これまた新しいものが出たらがらりと変わる。
今も、朝バナナの本は売っているかもしれないけれど、大きな書棚の数冊になっている書店が多いはず。

本屋さんは、購入してもしなくても今の時代を把握するための情報が置いてあるし、今必要な情報を得ることができる。

だからこそ、本屋さんには今・重要な本に出会えるという魅力があるのだと思う。

Amazonがどんなに便利であっても、本屋さんは消えない。

時代に関係なく重要なものに出会える図書館

では、図書館はどうだろうか。

基本的に、本棚の作りは図書館分類に則っているけれど、ジャンルで分かれているという点では本屋さんと似ている形式だと思う。
今月入った本のコーナーもある。ただ、今月その図書館に入っただけであって、今月発売された本ってわけではないけれど。

図書館にも話題の本は入荷される。
ただ、話題の本は予約でいっぱいで開架図書で出会えることはほとんどない。

図書館の魅力は、最新の本でもタダで借りられることなんかじゃない。
なんといっても開架図書だ。

図書館は各地域によって広さも蔵書数も異なる。
どこの図書館であっても在庫を無限に確保できるわけではないからこそ、定期的に本は処分されるし、開架図書で利用の少ない本は、書庫に移動される。
だからこそ、開架図書は利用者のいる本が並べられているのだ

最新の図書は、先も言ったように予約でほとんど埋まってしまう。
予約で貸し出されている本は、当たり前だけど開架図書には並ばない。
カウンターに戻ってきたら、次の予約者に連絡が行って、次の予約者が取りに来るまで誰かに貸し出されないようにカウンターで保管されるから。

開架図書にある本はいわば、今は誰も借りてないけれど、そこの図書館の中では利用者のいる精鋭たちなのだ。

そこの並べられている作品たちの価値の基準は、今じゃない。

長年積み上げてきた図書館の利用者の叡智がそこにあるのだ。
小説だって学術書だって専門書だって。

閲覧席での利用なのか、貸出の予約なのかはわからないけれど、少なくとも多く方が手に取った本たちに共通するのは、時代に左右されない価値のある本であること。

だからこそ、図書館の中をうろうろして出会う本がない、今の図書館に切なくなったのだ。

もちろん、図書館には調査研究のための価値もある。
売れるかどうかという価値判断ではなく、書物として価値のあるものは、利用者がいなかったとしても処分されることはほとんどない。
(ちょっと前に、民間書店が運営を担った図書館で風土資料の利用がないって処分されて大問題になってたけど)

書庫に移動された本は、Amazonと同じように検索しないと自ら引き出すことはできない。レファレンスサービスを使えばそこも解消するけれど、今回は話の本筋からそれそうなので省略。
研究のフィールドに軸足を置いていない今の私にとっての図書館の価値は、やっぱり開架図書にあるなぁと思っている。

余談:図書館の価値のわからない作家さん

図書館を、タダで本が読める場所だと思っている人がいる。
たまに、作家の方が「図書館があるから自分の本が売れない」みたいなことを言うのを目にする。
なんてことを、と思う。

図書館には同じ本が100冊入ることなんてない。
人気であっても、多くても5冊くらいだと思う。
同じ図書館に何冊もあるケースは極めて少ない。

図書館で借りると1人当たり最大2週間の貸し出しになるから、月に借りられるのは2人程度。
本当に人気の本だと、予約が90人待ちってこともある。単純計算で3年近くかかるのだ。

それでもお金を払わずに読みたい人は予約して順番が来るのを待って読むのだ。その点では図書館の魅力はタダで借りることができるだけだ。

ただ、順番待ちという自分ではどうにもできない待ち時間があるので、時間をお金で買いたい人は本屋さんかAmazonを使う。
つまり、今すぐに読みたい本じゃないからみんな買わないだけなのだ。
どうしても読みたい本を3年待つくらいなら1500円くらい払うでしょ?
買わないのは、その1500円を払う価値を感じてないからでしかなくて、図書館のせいじゃない。

実際、この本を読んだときに多くの方が幼少期に図書館を利用していた。
そして大人になってから「自分だけの本が欲しい」といって好きな作家の本を自分の働いたお金で買っている。

図書館の時間軸は今じゃない。

図書館で利用される本はいずれ売れるから、文句を言わずに時代が流れても価値のある作品を書いてほしい。

最後は小言のようになったけれど。笑
本好きの私は、これからもAmazonをヘビーユースするだろうし、時間を見つけては本屋に行くし、図書館でも出会いを求める。

一番言いたかったのは、私は早く開架図書を利用したいよってこと。笑

早く元通りの生活に戻ってほしいし、新しい生活様式になったとしても図書館の開架図書に変わるものはないですよと言いたい!

※今日借りた本はこちら

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