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パラスポーツ団体の共同オフィスのバリアフリー(32/100)

こんにちは、まえゆかです。
代休で、雨でもあったので家でゴロゴロ読書三昧な一日を過ごしました。
ハンナ・アーレントを研究に使いたいなと思いながら、重い腰が上がらずようやく本を手に取りました(といっても新書ですが…)
研究のことも少しずつ進めていく強い意志が欲しいなと思う今日この頃です。

前回は

マガジンを再開して、共同オフィスの概要について触れました。

オフィスのバリアフリー

今回は、車いすユーザーの職員が多く利用するオフィスとして、設計段階から取り入れたバリアフリーについてのご紹介。

ほとんど写真が残っていないので、テキストだとわかりにくい部分もあるかもしれませんが何卒ご了承ください!

設計してくださったトラフさんのHPがイメージをつかむのにはちょうどいいかもしれません。


当事者目線でのアドバイス

バリアフリー観点はパラサポの顧問でもあるミライロさんにご協力いただいていました。

代表の垣内さんご自身が車いすユーザーなので、歩いて生活することが当然の私たちには気づけないポイントについて、設計図を作る段階でたくさんご助言いただきました!

その一つが前回の記事でも触れた通路幅。
複数人の車いすユーザーが働く前提であれば、当然通路ですれ違うこともあります。

歩いて生活している私たちはちょっと避けて通るとかってできますが、車いすは乗っている状態で細くしたりとかできないですからね。
そのまま通っても大丈夫な幅を設けています。

多目的トイレの新設

仕事をする上でも生活するうえでも大事になるのがトイレ。
多目的トイレはセミナーなどを開催することの多い会議室フロアにはありましたが、オフィスフロアにはありません。

毎回トイレのたびにエレベーター移動はしんどい。
しかも1個しかないとなると昼時などは困りますよね。

そのため新たにオフィスフロアに多目的トイレを2つ新設しました。
トイレの仕様だけでも結構なこだわりが。

左右対称

この2つの多目的トイレ、ただ2つ並べて作ったのではなく、左右対称に2つ作りました。

どういう意味かというと、
扉は車いすでも開けやすい引き戸にしていましたが、右開き左開きで作っています。

便座の向きも、右側から移乗するタイプと、左側から移乗するタイプの2つです。

ミライロさんの記事を引用しますが、記事中の写真にあるのは、便座の左側に車いすを寄せて移乗するタイプ。

こちらの記事のトップ画像の使われているトイレが、便座の右側に車いすを寄せて移乗するタイプ。

右利き、左利きとあって乗り移りやすい向きは人それぞれですし、車いすユーザーの中には、片側の麻痺が強い方もいます。
多目的トイレがあっても麻痺のある側から乗り移らないといけない物だと、一人では利用できないって方もいらっしゃるらしく。

どのような方が来ても利用しやすいように、左右対称で用意したのが多目的トイレの重要なポイントの1つ。

付帯設備

多目的トイレなので、車いすユーザーだけではありません。
オストメイトは多目的トイレの1つに設置しました。

オフィスフロアなので、赤ちゃんのおむつ替えシートは用意なかったのですが、車いすユーザー方で着替えが必要になるケースもあるとのこと。
ちょっと大型ではありましたが、折りたたみ式の簡易ベッドも片側についています。(そのため左右対称だけど、一方はスペースがかなり広くなっています)
簡易ベッドがあれば、仮に赤ちゃんがいた場合でもおむつ替えの代替手段にはなるので一石二鳥でもあります!

車いすの高さに合わせた工夫

次はオフィスフロア内の工夫について。
意外と気づいていない「高さ」の課題。

電気のスイッチ位置を低く

オフィスフロアが広いので、ブロック分けして電気やエアコンのスイッチが設置されています。

出勤時と退勤時にスイッチをポチっとすれば電気がつきますが、これらの高さって、立位の方の胸くらいの高さにあることが多く、すべての位置を車いすユーザーの目線の位置まで下げました。

使ってみると、普段の位置より低いなとは思うのですが、立位でも押すことに支障は出ません。
ただ、普通よりは低いなって思うくらい。

毎日何気なく手を伸ばすものですが、毎回上の方に手を伸ばして押さないといけないという状況は結構ストレスがかかるものらしく。

私には気づけない、新鮮な指摘でした!

高さの違うコート掛けとカウンター

冬場は必須のコート掛け。
こちらも一般的には立位の方の胸くらいの高さにバーがありますが、これだと車いすユーザーがかけるには高い。

車いすユーザーの方々は車輪に巻き込まれたり、お尻の下でもぞもぞしないように、アウターも丈が短めの物を着用するケースが多いようなので、低い位置でかけられるように2段の高さでコート掛けを設置。

同じ観点ですが、オフィスフロアの中央にカウンターが設置されており、基本的には立ってちょっと話す場所です。

こちらのハイカウンターも、ローカウンターを併設し、車いすユーザーの方が”立ち話”できる場所も設けました。
”立ち話”ではありますが、ローカウンター側には立位の方が車いすユーザーの方と話しやすいように、椅子も併設しています。

カウンターの写真は、先にリンクを貼ったトラフさんの写真にもあります!


ユニバーサルデザイン複合機

オフィスに必須と言っていい複合機。
フロア内に4台の複合機を設置していましたが、そのうちの1つはユニバーサルデザインの複合機を利用していました。

オフィス内の機種と同じではないかもしれませんが、この記事のような物です。

ようは、高さが低いんです。
車いすに乗ったままでも原稿を挿入しやすく、紙の入れ替えもしやすい。

事務作業をするときにいちいち高さを気にしなくていい機材によって、当たり前に私たちが作業することを当たり前に車いすユーザーの方にもやってもらえるような環境になりました。

スロープ

基本的には、オフィス内はフルフラット。
床材を変えて視覚的にエリア分けをしていますが、材料が変わる部分で段差ができないように配慮しています。

一カ所だけ、オフィス内に小さなステージを設けています。

ちょうどいい写真がないのですが…とりあえず車いすラグビーの理事会の記事がこちら。

この時はモニターを使っているのでステージの上には載っていないのですが、モニターの後ろが一段だけ高くなっており、オフィスフロア内でミニ記者会見的な物ができる仕様になっています。

この台にもスムーズに乗れるように右サイドにスロープが常設されています。

視覚障がい者向けのバリアフリー

車いすユーザーだけでなく視覚障がい者の方がオフィスに来た時も意識して取り組みましたが、基本的にオープン前に勤務予定の方の配慮事項は事前にヒアリングを行いました。

その上で、常勤者に視覚障がい者はいないことを把握した上で、フロア内は複数の車いすユーザーがいることを想定し、点字ブロックは設置しませんでした

その代わりとして用意したのが以下3点。

  • モニター前のレール

  • 触地図

  • ソフトマット

それぞれを簡単に説明します。

モニター前のレール

具体的な写真がないのでとーーーっても説明しにくい!笑
どうやったら伝わるのかわかりませんが…

トラフさんのWEBに載ってる下の赤丸の写真をよーくみていただくとわかるかもしれません。(リンク先から超拡大していただきたい)

トラフさんのページから

中央にあるモニターが360度のモニターになっています。
こちらに視覚障がいのある方がぶつからないよう、モニターの下部のところに銀色の細いレールが敷いてあります。
車いすでの通行に邪魔にならないよう、モニターのギリギリで、且つちょっとだけ床面より上がっているので白杖を持っていれば感知できるように設置しました。

デザイン上は違和感なく環境に溶け込み、利用された方が安全に過ごせるように設置されました。

触地図

これは最近、公共施設や大型施設でも設置されるケースが増えてきているので知っている人も多いかも。

フロア内の地図の上に、樹脂などで盛り上がりを作って、手で触って施設内の構造を理解する地図です。

これもフロア専用のものをフロアの中央部に設置して、お客さまがいらっしゃった時にご案内したり、啓蒙活動の一環としてご見学者がいらっしゃった時にご説明に使用していました!

ソフトマット

時々オフィスにお越しになる視覚障がい者の方からのリクエストで後から設置したものになります。

競技団体のデスクスペースは窓側にずらりと並ぶように設置されています。

※写真参照

一つ一つに違いがないので、どこが自分のオフィスの場所かわからないということで、そのデスクフロアの前にだけソフトマットを設置しました。

実際に使っていたものと同じかはちょっとわからないのですが、おそらくこれです。

このソフトマットを1セットだけ設置すると、白杖で感知してご自身の席にスムーズにお座りになれるという仕組み。

これは点字ブロックとは違って、段差にならないような設計になっているため車いすユーザーが上を通行しても邪魔にならない仕様になっていました。


以上が思い出す限りのオフィスフロアの工夫でした!

聴覚障がい者向けのバリアフリー

パラリンピック競技団体向けのオフィスだったので、基本的に聴覚障がい者の方の利用は日常的にはなく、お客さまとして来場されることがあるかなという程度なので、特別な工夫は行っておりません。

一方で、ビルとしては取り組みが行われていたので、非常ベル代わりの光警報装置は常設されていました!

警報が鳴ると、音じゃなくてものすごく明るい光で光って異常を知らせてくれる装置です。
私が勤務している時に災害はなかったですが、避難訓練の時はついていたかな…

あ、避難訓練と書いて思い出しましたが、車いすユーザーが多かったので専用の避難訓練を実施した話も次回書こうかなと思います!

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