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車いすの選手を「カッコいい」というのは”不謹慎”?(11/100)

こんにちは、まえゆかです。
なかなか毎日は書けないですが、めげずに続けることを意識して100本目までいきたいなと思っています。

前回は、私が車いすラグビーの追っかけブログを書き始めた頃のお話をしました。

この後、急速に自分の身の周りが変化していくのですが、振り返ってみるとこの時期は私にとってすごく大きな変化の時だったなと思います。
せっかく振り返ってnoteを書いているので、この時期に考えていたことを丁寧に思い出しながら整理する機会にできたらと思っていますので、しばらくお付き合いください。

今でいう”推し活”

今でこそ市民権を得ている”推し活”
当時は、”追っかけ”というのが一番しっくりくるワードだったと思います。

ジャパンパラを見てから、私と友人は車いすラグビーの魅力にハマり、発信するのが好きだった二人の性格も相まって追っかけブログを始めました。

両方とも”ゆか”という名前で、当時から友人にそれぞれの名字とくっつけて「たかゆか」「まえゆか」と呼ばれていたので、ブログも「ダブルゆか」と名付けて活動を開始。

なぜこのブログをやっていたのか、カッコつけていろんな大義を語ることはできるかもしれませんが、車いすラグビーの価値を世の中の人に広めたいとか、もっとファンを増やしたいとか、そんなことって当時は全然考えていませんでした。

もちろん、仕事がきっかけで大会を観に行こうって思ったので、仕事と無関係ってことではないのですが…このブログは完全にプライベート活動。

単純に、一緒に追っかけできるくらいにハマった友人が近くにいて、大会の回数もさほど多くなく、友達と会う頻度的にもちょうどよくって、遊ぶ理由の一つとして追っかけをしていたような感じかなと思います。

車いすラグビーの魅力を発信するためにブログを書くのではなく、追っかけありきで、追っかけをする大義名分のためにブログを書くというような感じ。

どちらかというと、他のファンに知ってほしいというよりも、車いすラグビーの関係者に、「私たち、こんなに車いすラグビーのこと大好きなんです♡」ってことを伝えたかったという気持ちの方が、リアルかもしれません。

不謹慎?

ブログを立ち上げると、ありがたいことにそれなりのアクセス数を当初から獲得していました。

そうすると時々、唐突に問われるのです。

「なんで、ブログやってるの?」

え?なんでって・・・

「カッコいいから!!」

それしかないでしょってくらいの純粋な気持ちで、私たちは「カッコいい」と思って追っかけをしていたのですが、時々、どこかから言われるのです。

「車いすのスポーツ観て、『カッコいい』って言って大丈夫?
 不謹慎じゃない?」



不謹慎、、、とは??

えっと、、、
サッカーのW杯やラグビーのW杯を観て、日本代表選手を「カッコいい」と言っても不謹慎とは言わないと思うのだけど…
それと全く同じ感覚で、熱狂した流れで「カッコいい」と叫んでいただけなのです。

だから、不謹慎って言葉が全然ピンときませんでした。

でも、これがこの当時の雰囲気だったのかもしれません。

当時はパラスポーツに対してまだ認知度が低かったのか、リハビリの延長と思っている方が多くいたことが影響しているのかもしれません。
障害のある人たちが一生懸命にプレーしているのに「カッコいい」だなんてチャラチャラしたリアクションは失礼だ、的なニュアンスでどこからか言われたような気がします。

ルッキズム観点で私たちが「カッコいい」と言っていたのであればご指摘はごもっともかなと思うのですが、時代的にまだルッキズム自体がまだあまり指摘されてない時期だったような気がします。

そもそも私たちの「カッコいい」は、選手が容姿端麗だから「カッコいい」と言っていたわけではありません。

競技中の真剣なまなざし、全速力で動く様、身体全体でタックルしに行く姿勢、コート上のプレー姿が「カッコよかった」んです。
そしてオフコートでの柔和な対応のギャップを知って、さらに人間的にも「カッコいい」と思っていたのです。
容姿だけで語ったのではなくて、彼らのアスリートとしてのすべてを含めて「カッコいい」と私たちは言っていたのですが、当時はそこが伝わっていなかったのかもしれません。

だからこそ、発信をする。

正直に言えば、「不謹慎と思うなら読まなきゃいいんじゃない?」と思って、不謹慎とコメントした方々とは没交渉だったのですが、純粋にアスリートとしての彼らのカッコよさが伝わっていないことは、すごくもったいないなと思いました。

当時は、パラスポーツという言葉自体があまり知られてなく、「障害者スポーツ」と言われていた時代なので、言葉から受け取る印象も今とは大きく異なると思います。
競技に対しても、アスリートに対しても、どうしても福祉や慈善活動ような匂いが漂ってしまっていたのかもしれません。

車いすに乗っている人を見慣れてない人たちにとっては、彼らの努力は評価に値すると思っていたと思います。
でも、真剣なまなざしの魅力までは意識が向かず、足が動かない、手が動かないといった、健常者とは異なる動きの方についつい目が行ってしまい、私たちと同じ車いすラグビーを観ていても

「足が動かないのにすごいね」

といったような、感想を持つことが自然だったのだろうと思います。
誰かが悪いというよりも、この時代だったら仕方のないことなのかもしれません。

でも、コート上にいる選手みんな車いすに乗ってるのに、「車いすに乗ってるのにすごいね」とか言ってたら、個々の選手の魅力には全く気付けてないってこと。

車いすラグビーの選手は手にも障害がありますが、それでも一人一人プレーの個性は違います。
パスがうまい人、ブロックがうまい人、めちゃくちゃ速く動ける人。

その違いまで意識が向いてないから「不謹慎」という指摘をされたんだろうと思います。

だからこそ、「不謹慎じゃない?」と言われても、そこでブログを辞めようって気持ちにはなりませんでした。

むしろ、「もっとカッコいいってことに気づいて!!」って思って、どうやったら選手たちのカッコよさが伝わるんだろうって考えながら日々ブログを更新していたなと思います。

カッコいいところを探す視点を持った

ブログはあくまでもプライベート活動として行っていましたが、車いすラグビーの競技そのものや選手たちのカッコよさを伝えることを考えていたら、私自身の中に自然とパラスポーツの「カッコいいところ」を探す視点が生まれました。

パラスポーツには他にもたくさんの車いす競技がありますし、視覚障害スポーツや立位のスポーツもあります。

どの競技を見るにしても、
「障害があるのに~~が凄い」という目線ではなく「~~~だからすごい」というポイントを会場で探すようになったのです。

試合観戦中、ずっとすごいところを探しているので、1日試合を観ていればすごい部分を自分なりに見つけて帰ります。

あの競技はここがすごい、この選手はここがすごい。

こんな情報がどんどんと蓄積されていったことで、自然と私はパラスポーツが大好きになり、その後パラスポーツエバンジェリストを名乗るほどのパラスポーツオタクになりました。

実際に、パラスポーツエバンジェリストを名乗るまで5年ほど期間は空きますが、それまでの間もずっと「パラスポーツオタク」と言われて様々な仕事に携わってきました。
調査でパラスポーツの魅力に触れ、その後、パラスポーツにドはまりして仕事にするに至ったのは、確実に車いすラグビーの追っかけ時代があったからだと思っています。

さて、この後私は、キャリアを大きく変え、パラスポーツを専従で仕事にすることになりるのですが、この頃に本当にいろんな方に出会いました。
パラスポーツ界隈だけでなく、大学の研究の場でも私はたくさんの刺激を得ました。

この時期は、私がこれからやっていきたいことの根幹となる想いを抱いた転換期だと思っているので、この期間に私がどんなことを考えていたのか、多少時間軸が前後する部分もあるかもしれませんが、また次回から振り返りながらお話しできればと思っています。

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