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幸せな子育て 小学校受験の志望校選びで考えたいこと

 ”夏は受験の天王山” ”勝負の夏!” 塾のパンフレットに並ぶ文字。9月から始まる小学校受験、そして1月から始まる中学受験、高校受験、大学受験と、受験シーズンがやってきます。

 日本の義務教育は、日本全国、どこへいってもほぼ同じ品質の教育が受けられるシステム。栄養バランスが考えられた給食など、至れり尽くせりではありますが、それでも幼稚園や小学校といったところから、国立や私立を受験するご家庭は首都圏を中心に多くいらっしゃいます。

 理由は様々だと思いますが、首都圏の場合、特に東京は私立小学校が集中しているという状況から、地域性によるところも多いかと思います。かくいう我が家も、0歳から保育園で育った子どもたちは、小学校受験、中学受験、大学受験と3つの受験へチャレンジしています。

 そして今、私は小学校受験の幼児教室で講師をしています。
 なぜか…

 大学で教育学を学び、幼稚園、小学校の教員免許を取りながら、大学を卒業してすぐに先生と呼ばれることに違和感を感じ、企業の総合職として就職。22年間、企業で揉まれ、一男一女の母として、3つの受験を経験した私だから、できることがあるのでは、と考えたから。
 我が家が小学校受験をした時に知りたかった、”小学校以降の学びの道筋”をお伝えして、志望校選びの参考にしていただきたい、そして、将来、先伸びするお子様を育てるために、受験を上手に活用してほしい(このことについては別の記事でかきます)、そんな思いで講師をさせていただいています。

 0歳から保育園で育つ長男が、幼稚園で言えば、年中さんの2月頃、ひょんなことから、小学校受験の幼児教室に通うことになりました。5月くらいから、各小学校で学校説明会や公開授業、学芸会や運動会の公開が始まります。自宅から通える範囲、子どもの体力を考えると、電車の乗り換えは1回まで、door-to-doorで1時間以内と考え、10校以上の学校を見て回りました。実際、その学校へ足を運び、校舎や先生、生徒さん、また見学にいらしている方々の雰囲気を感じると、なんとなくこの学校があっているのではないかという相性というかご縁を感じることがあります。コロナ禍の今はなかなか難しいですが、そんな空気感、肌感覚ということも、実は大切かなと思っています。

 そして、中学校以上の受験と違い、小学校受験には、偏差値がありません。だからこそ、ネームバリューや倍率といった他者基準ではなく、我が家基準、「どんな子どもに育ってほしいのか」といったご家庭の教育方針にあった学校を選ぶことが大切なのではないでしょうか。

 長男の学校選びをしている時、塾の先生は、当然のように、有名大学の付属校をお勧めくださいました。大学の付属に行けば、その先、受験をすることはなく、生涯にわたる師や友と出会えるという良さがあり、付属校育ちの私は、付属校を息子の第一志望としました。しかし、説明会に伺った学校の中には、小中高の一貫校、中学受験をする学校もあり、その中でも中学受験をするある小学校は、説明会に行ったときからなんとなく運命的なものを感じ、この学校に行けたら、厳しいかもしれないけれど、息子は伸びるのではないかなという、漠然とした印象があり、そこを併願校としました。

 結果、付属校のご縁はいただけず、併願校へ進学することになるのですが、それが我が家の運命を大きく切り開くきっかけとなるのです。
 中学受験を目指すための学校ですから、当然、授業の進度も早く、難度も高いのは当たり前、さらに、行事、課外活動とどんなものにも全力投球という学校で、親子ともに鍛えられました。そして、何より同じ中学受験という目標をもった仲間がいること、常に上を目指す仲間がいることが、頑張る原動力になっていたのかもしれません。

 いよいよ中学受験の志望校を考える時期になり、今度は通学時間ももっと範囲を広げて考えられるようになり、全国には寮制の学校もあるので、一気に志望校の幅が広がります。選択肢が広がれば、より息子にあった学校選びをしやすくなります。4年生くらいから、聞けるだけの学校説明会を聞きに行き、その中から、息子に会っていそうな学校を選び、息子と一緒に文化祭に遊びに行きました。息子は、そこでの在校生の様子を見ながら、自分が目指したい学校を決め、第一志望として強く志望するようになりました。有名大学も附属校、また進学校の文化先にも行きましたが、息子自身が、「大学進学の時に自分の将来を考えた選択をしたい」と言い、進学校を選択しました。とても手が届きそうもないような学校でしたが、自ら行きたいと強く願う学校へ向けて、それからの息子のがんばりは、周囲の人も驚くような集中力で、無事、合格を勝ち取ることができたのです。
 小学校受験の時には、子ども自身が志望校を決めることはありません。でも12歳ともなれば、自分が行きたい学校が出てきます。中学、高校と多感な時期を、自分で選んだ学校で過ごしてほしい、自分の選択には責任を持ってほしい、そんな思いの中学受験でした。

 そして6年後。今度は大学受験です。大学受験になると、選択肢は日本国内にとどまらず、世界へと広がっていきます。そこで見える景色は、小学校受験の時とは全然違います。自分の将来を考える。自らが選択する人生の一歩となるのです。

 改めて、小学校受験から大学受験までを振り返り、「自分の頭で考え、自分の意志をもって行動できる人間に育てたい」という我が家の教育方針を考えると、息子は小学校受験で大学の付属校ではなく、中学受験をする学校を選ぶのが必然だったように思います。
 
 小学校受験、中学受験、大学受験と、年齢が上がっていくほどに、選択できる範囲が広がります。学びの第一歩となる小学校受験において、この学びの道筋を知ることが、志望校選びのご参考になればと思っています。
 

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