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「しっちょん能」を拝見致しました。

皆様、こんにちは☺️
フルート奏者の向(むこう)由佳と申します。
いつも、ご覧くださりありがとうございます。
感謝してます。

さて、昨日、「しっちょん能」という能楽の催しを能楽堂で拝見いたしましたので、その感想を書いてみようと思います。

まず、会の初めに座談会があり、武田友志さん、武田文志さん、武田宗典さん、そして宇佐教覚寺の前住職の平田祟英さんの4人の方でお話しがありました。

平田先生は仏教がご専門ということもあり、仏教視点でのお話がありましたが、私が捉えている神道の考え方とはずいぶん違うな…という印象を持ちました。一点気になるところがありまして。それは「神道は神仏にお願いをするものだけれど、仏教は違う」というもの。

昔の神道がそうだったかは存じ上ませんが、神道の祝詞や真言は「お願いするものではなく」神々を褒め称えるものなのです。そして、本来の祈りの仕方は「お願いします」ではなく「ありがとうございます」と感謝を伝えること。なので、私の認識と随分違うな……という印象を持ちました。

また、陰陽師についても、(今まで明らかになっていなかった部分もあるので)ちょっと誤解があるのかな?とも感じました。安倍家(安倍晴明)の陰陽師は宇佐では関わっていないそうですが、宇佐八幡宮は秦氏も関係していたということなので、秦氏は陰陽道もなさっておられますから、全く陰陽道と無関係ということはないと思います(秦氏の末裔 土御門兼嗣さんが秦氏が宇佐と関係していると仰っておられます。ちなみに秦氏は渡来人ではなく、日本発祥です)。

なので、私の歴史認識が間違えているのかもしれないのですが、その辺はモヤモヤが残りました。

さて、公演の本編の感想に参りましょう。

とにかく、今回の仕舞については、かなりレベルが高い方が揃っておられるなという印象を受けました。
地謡もキレが良く、言葉が明瞭で全て聴き取ることができました。改めて能の謡と舞のカッコ良さを体感致しました。

仕舞は本編の能の中から取った小品でもあるわけですが、小品という枠で納めるにはとんでもないなという感じ。舞手の魂がスパークしていて、本当に素晴らしかった。拍手をするよりも余韻に浸りたいと思うような舞が殆どでした。

今回は蝋燭能ですので、前半の仕舞が終わった後で、舞台に蝋燭が灯されました。客席は真っ暗になり、蝋燭の灯りで舞台が照らされている状態になりますので、とても幻想的な雰囲気です。

程なくして、狂言「伯母ヶ酒」が始まりました。シテの甥を野村萬斎さん、アドの伯母を深田博治さんが演じられました。この伯母と甥の「お酒を飲ませたくない vs なんとしてもお酒を飲みたい」の攻防が面白く、沢山笑いました。鬼に扮した甥が、伯母を怖がらせてお酒をのませてもらう…というのも面白いのですが、どんどんお酒が入って気持ち良くなって、しまいには寝てしまう甥。伯母に「鬼の正体は甥だった」ことが見つかってしまいます。そして、酔って寝ているのを伯母に見つけられた甥は「ご許(ゆる)されませ(許してください)」と言って逃げるんですけれど、本当に狂言って楽しいなと思える演目の一つですね。今まで拝見したかった曲の一つだったので、こうして拝見できて嬉しかったです。

この狂言があって、最後にメインの「鉄輪」があるというのも、鬼が出てくるのを示唆するようで、とても良い番組の構成だと思いました。

能「鉄輪」も気になっていた曲だったのですが、蝋燭能で更に貴船神社にいく女の不気味さが際立っていましたね。それは、愛する夫が若い人と結婚し、自分が捨てられるとなれば、怒りもするし、悔しくもなるし、悲しくなるわけですね。そこが人間なのですけれど。アイの内藤連さんの語りが、さらに磨かれて素晴らしかったです。「鉄輪」のシテは武田宗典さん。迫力満点の女でした。そして、本当に恨み辛み…さぞかしお辛いだろうと思う訳ですが、拝見していて最後に感涙してしまいました。どうしても、この女の幸せを願わずにいられなかったんですよね。「これから自分を大切にして、幸せに生きてほしい。そしたら、きっと貴女に合う素敵な男性と出会うから。諦めないで」という思いが込み上げてしまって、涙が出ました。

本当に、素敵な会でした。拝見できて嬉しかったです。
やっぱり、能楽(お能とお狂言)はいいですね。

最後に、チケットの手配をしてくださった、武田宗典先生 @munenori.noh に感謝です。有難うございました。

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