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子どもにどう伝えるか

2018年10月30日、実家の母に手術日決定の連絡を入れました。そして、右胸も摘出することも・・・。母の方がショックを受けているのが辛い・・・。周りに気を遣うのが疲れる・・・。今度、家族を含めて近しい人が病気になったら、せめて気を遣わせないような態度ができるようになりたい。

同日、会社を一緒に経営しているビジネスパートナーにも病気のことを知らせました。彼女もびっくりしていたけど、ご家族に女性系のがん経験者がいたり、周りにも大病をされている方が結構いるらしく、かなり前向きな話ができました。「早く見つかった良かった!」と言ってもらって、「必要なことは何でもやるから。」という言葉をかけてもらって一安心。しばらくは迷惑を掛けるかも知れないけど、少し甘えさせてもらおう・・・。彼女と二人で起業して、今まで色々あったけど、これを機会に心機一転、力を合わせて事業を進めていければいいなと思いました。

さて、この日はもう一つ大きな仕事が。12歳の息子に私の病気を伝える、という大仕事。病気発覚後に夫と話し合って、息子にもきちんと伝えよう、ということになっていたものの、手術日が確定するのを待っていました。夕飯が終わって、宿題がひと段落したところを見計らって、彼に声を掛けました。

私:「ちょっと話したいことがあるんだけど・・・。座ってくれるかな?」

息子:「え、何?なんだよ。」(と言いながら、テーブルにつく)

私:「あのね、お母さん、乳がんっていう病気になったんだ。」

息子:「知ってる。」

私:????(困惑しながら)「え????えーーーー????なんで????」(目の前の夫も困惑中)

息子「お母さんの携帯の検索履歴、乳がんばっかりじゃん。だから、そうなのかなって。もう1ヶ月くらい前からだよね。」

私(まだ驚きを隠しきれないまま)「えーーーーーっと、なんで何も言わなかったの?」

息子「お母さんから言わないから、俺から言っちゃいけないのかと思って。あと、お父さんもお母さんも普段と変わらずに笑ってるから、すごい深刻ではないだろうと思った。」

私(まだ困惑しながら)「そ、そうなんだ・・・。」

息子「生きてれば病気になることもあるよね。でも、そうなったら治せばいい。」

私「お、おう・・・。」(息子の言葉にちょっと泣けてきた・・・)

この後、手術の日程などを話して息子への告知(にもなってない・・・)は終了。拍子抜けすぎる・・・。思えば、YouTubeを見たり調べ物をする時に私の携帯をしょっちゅう使ってたわ、息子。その時に検索履歴を見てたのね・・・。ちなみに、「お母さんは乳がんになったけど、大丈夫だからね。心配しすぎたり、落ち込んだりしないでね。」と言ってみたら、「そういうの、いいから。もうこの1ヶ月の間に、自分の中でちゃんと消化してるから。」と。この時ばかりは、息子の背中にチャックが付いていて、中に50歳くらいのおじさんが入ってるのかと思いましたよ!(笑)

寝る前にもう一度息子と話した時は、手術に伴い、じじばばが東京に手伝いに来てくれる時に、彼らに元気がない可能性が高いから、自分が二人を元気づけないといけないと思っていること。乳がんを含めたがん罹患者が増えているというニュースを見たことがあるけど(2人に1人ががんになる時代という類の話)、そのせいで大幅に人口が減っている訳ではないから、ちゃんと治療方法があるのだろうと考えていたことなどを話してくれました。なんなんだ、この落ち着きっぷりは・・・。ちなみに、「お母さんがパソコンで”膵臓癌ステージ4”の記事を見てたのがチラッと見えた時は、これはやばいなと思ったけど、検索は圧倒的に乳がんだったから乳がんで間違いないと思ってた。」ということらしい。小学生なりに色々観察して、考えてたのか・・・。以前から、洞察力があって、論理的に考えられる子どもだとは思ってたけど、はっきり言って私は、息子のことを相当見くびっていた。

病気が発覚してから、もしも想像以上に病気が進行していたらと思うと、遺される家族(特に息子)のことの方が心配だったけど、でもそれは私の思い上がりだったのかな。私がいなくなっても、きっと彼はたくましく自分の足でちゃんと人生を歩んでいくことができる、と思った日でもありました。

ちなみに、子どもにがんのことをどうやって伝えるかというのは、やはり頭を悩ますと思います。私もそうでした。そんな時、ネットで見つけたのが「キャンサーペアレンツ」という団体。子どもを持ちながら、がん闘病をしている方々のコミュニティサイトです。がんの種類は全然違っても、同じような壁や悩みにぶち当たる闘病中の親達が交われる貴重なコミュニティだと思いました。がんというと、とてもネガティブで暗いイメージがあるけど、がん告知を受けた後も、普通の日常は続いていきます。ずっとひれ伏して泣いているわけではないのです(笑)。そんなリアルながん患者生活が、まだあまり一般的には知られていないと思います。2人に1人ががんになると言われている時代。もっとオープンに語り合あえる場が必要かも、と自分が病気になって思いました。病気の中、しなやかな心を保つってとても難しいけど、本当に大切なこと。気持ちが塞ぎこむのも十分理解できるし、前向きになれない時があるかも知れないけど。病気に関して正しい情報を持てば、先の見通しを立てることができます。同じ病気を経験した人の話を聞いたり、病院内のカウンセラーに相談するのも良いと思う。いづれにしても、自分の中だけに溜めないことが大事だと感じました。

そうそう、子どもへの告知ついでに「お母さんからのお願いとして、手術前にフォトスタジオで家族写真を撮りたいんだけど。」と言ったら、「は?家で撮ればいいじゃん。なんでわざわざスタジオで?」と息子に言われました。夫が、「まあまあ、ここはお母さんの好きにさせてあげよう。」と言うと、「まあいいけどさ。手術もあるし、一つの節目として写真を撮っておきたいってことね。」と、これまた私の気持ちをまとめる息子。なんなんだ、こいつ!(笑)

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