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第百二十九話:パニックに陥る

 全方向を他の車に囲まれ、まったく身動き取れないなかパニックに陥った私。そして、何度かけてもつながらないお手伝いさんの電話。
 次々と不安が押し寄せてくる。「もしかして、具合悪くなって倒れてるんじゃ、、そしたら息子はどうなってるんだ。」悪い妄想をしては、二人が大丈夫なのか、一刻も早く家に辿り着きたいそんな気持ちでいっぱいだった。
そして、あんな無意味な話し合いで、こんな渋滞にはまることになり、そんな選択をした自分を責めまくっていた。

 そんなとき、電話がなった。
お手伝いさんだった!急いで電話を取った!
「ごめんごめん、電話を充電してたの!」落ち着いたいつも通りのお手伝いさんの声が聞こえた。
 その瞬間、緊張が解けほっとして、大声で私は泣き出してしまった。
急な出来事にびっくりするお手伝いさん。「ごめんね。ごめんね。」と必死に謝っている。号泣しながら、「びっくりさせて、ごめん。二人が無事なら大丈夫。でも、今まだ渋滞にはまってて、家に着くまでまだ時間がかかる。」
それだけ伝えた。急に泣き出したからか、お腹までつってしまい、車内で苦しみまくった。
 
 それからしばらくして、徐々に車が動き出し家に帰ってくることができた。心配してお手伝いさんが飛び出してきた。息子も寝られずに、起きて待っていてくれた。そして、二人に抱きしめられる。まだ、何が起こったのか理解できていないお手伝いさんに、説明をした。説明をしながら、また涙が溢れてきていた。
 
 この日、私はいつまでも泣いて寝付けなかった。熱もあり、体調も悪かった。そして改めて、このままでは自分が精神的にも体力的にも壊れてしまう。まずは、しっかり自分の体調を戻して、メンタル面も気をつけて過ごそう。ジェームズのことは、その次だと漸く思えたのだった。

 だからと言って、10年近く愛している人を急に忘れることは容易ではない。ただこの時、確実に小さな一歩を歩み出した!
 

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