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7 weeks #12

2020.08.07 fri

7:30
父からメール。

お誕生日㊗️おめでとう🎉あと1年で大台かい⁉︎
ともかく、これからも楽しく有意義な人生をおくってくださいな!
で、恒例のものはあるかな?
では、まず今日一日を大切に‼︎

「恒例のもの」は誕生日のプレゼントのこと。父ときたら、成人して結婚してこどもまでいる娘にも毎年誕生日ごとに何か欲しいものはないかと聞いてくるのだった(毎度きっちり品を指定する私も私だが)。

でも今年は意味が違った。おそらくこれが、父に祝ってもらう最後の誕生日になると知ってしまっているからだった。それは父のほうでも同じことだった。「これからも楽しく有意義な人生を」なんて書いてきたのは思い出せる限りこの時だけだ。

なるべく長く使うものが良いと思った。写真の仕事に使うものにしようか。しかしカメラならこれまでに何度も父から送られていた。

高校生のときにもらったOLYMPUS μII。「自分のカメラ」と言える最初のカメラだ。コンパクトなフィルムカメラ(当時はデジタルカメラの普及前)で、確か父と電器屋に行って、店頭でデザインの気に入ったものを選んで買ったのだと思う。数年前に実家から掘り起こしてきたが、今でも元気に動いてくれる。

大学時代にはSONYの手のひらサイズのCyber-shotをもらった。初めて手にしたデジタルカメラだった。アメリカ留学にも持って行った思い出のあるカメラだが、手放して今はもうない。

LUMIXのハイエンドコンパクトデジカメ。一眼レフ機に似せたデザインが気に入っていた。新婚旅行にも持って行った。後に長男に持たせて写真を撮らせたりもした。

そして長男の出産を控えていたときにもらった、OLYMPUSのミラーレス機。自分の子どもという重要な被写体が現れたことと相まって、私と写真の関わりを大きく変えた1台になった。

今さら何を貰えばいいのだろう?

2日前の父からのメールには、鎮痛剤をモルヒネ系のものに切り替えているとあった。医療用麻薬を使い始めているというのは、どう考えても好ましくないニュースだった。腫瘍の大きさも見た目にはほとんど変化がないようだった。

プレゼントは決まらず、検討中とだけ書いて返信した。結局、決められずじまいだった。

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