学校は安全な場であってこそ~附属池田小学校の事件から23年
今日は、6月8日。
2001年(平成13年)6月8日、大阪府の大阪教育大学附属池田小学校で、侵入してきた犯人が子どもたちを無差別に殺傷してから23年が経ちます。
23年。
教職員の中でも、事件当時に働いていて、事件を覚えている人は、だんだん少なくなっているでしょう。
若い人にとっては、「歴史上のできごと」になっているのかもしれません。
いや、大阪より遠い地では、知らない先生もいらっしゃるかもしれないですね。
そう言う私も、事件当日のこととなると記憶があやふやで、だんだん忘れていってるんだなあと痛感しています。
事件の渦中にいたわけではなく、近くとはいえ傍観者であったことがよけい、そうさせているのかもしれません。
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あの日、休み時間に職員室に降りると、休憩コーナーに置かれたテレビの前で何人かの先生たちが立っていました。
昼休みではなかったので、それ以前の、短い休み時間のことだったと思います。
そんな時間にテレビに人が集まるのは珍しいことで、先生たちの様子も切迫した感じでした。
すぐに浮かんだのは、何かあんまりよくないことが起きたのかな、ということでした。
近づいて見たテレビの映像は、上空から附属池田小の運動場を映したものでした。
子どもたちが1列になって、校舎から次々と避難している映像でした。
校舎を背に、アナウンサーが中継をしている映像も流れました。
池田市の附属池田小学校に何者かが侵入し、子どもと教師が何人か刺された、死者も出ているということを繰り返し話していました。
今から思うと情報も錯綜していて、先生も一緒になって亡くなったという話もありました。
これは大変なことが起きた、と思いました。
まさか学校でそんなことが。
どういうこと?
教室に行かないといけないのに、ニュースを見て膝ががくがくするような感覚がしました。
その後、学校でどんな対応をしたのか、それはもう覚えていません。
今のようにネットで気軽に情報を手にできる時代でもなく、職員室で頼れるのはテレビのニュースくらいだったと思います。
ネットもあるのですが、今のような一人一台の時代ではないので、アクセスできるパソコンは限られていました。
私が勤務している市は事件のあった市と近いため、場合によっては集団下校も検討したかもしれません。
しかし、早い段階で犯人が逮捕されたこと、単独犯であることがわかったためか、特に下校に特別な対応をした記憶はありません。
その日は「とんでもないことが起きた」と、頭の中はこの事件でいっぱいになって帰宅しました。
情報をそう知っているわけではないにも関わらず、です。
当時の附属池田小学校は、私個人は直接の関わりがないものの、同期採用の先生や、サークル仲間の先生が何人も勤めている学校でもありました。
帰宅後、胸が潰れるようなニュースを見ながら、その先生たちは大丈夫なんだろうか、どうしているだろうかと、それもとても心配でした。
週末の土日どちらかは覚えていませんが、小学生だった我が子の参観がありました。
これまではノーチェックで入れた学校でしたが、行ってみると入り口に何人かの人がいて(たぶんPTAの方?)、クラス名簿に誰の保護者かチェックするように変わっていました。
事件を受けて対応したことが、よくわかりました。
それまで、どちらかというと学校は「開かれた学校」を目指していて、保護者だけでなく地域の方もどうぞ気軽にお越しください、みたいなことが言われていたのです。
殺意を持って、しかも子どもたちを無差別で殺そうとする者が凶器を持ってやってくるなんて。
それまでにも学校で死傷者が出る事件がなくはなかったのですが、それはどこか遠い、特殊な事例として捉えていたのです。
あれから「学校の安全」ということが言われるようになり、私の勤務する市では昼間は警備員さんが常駐するようになりました。
職員も来訪者も、名札をつけるようになりました。
避難訓練は地震や風水害だけでなく、「不審者対応」の回が行われるようになりました。
職員も、警察の方の指導を受ける「不審者対応訓練」をするようになりました。
楽しい学校生活も、先生の授業研究も、すべては学校が安全な場であってこそ。
23年前のこの日を思い返しながら、しみじみそう思うのでした。
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事件のことを知らない先生方がいらっしゃるかもしれません。
学校に勤める身として、よければ知っておいてほしいです。
「附属池田小学校 事件」などで検索すると、概要がすぐにわかります。
2年前ですが、私たちも音声配信でお話しました。
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