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【映画備忘録】コクリコ坂から/2011年

実在しない宿舎,コクリコ荘に至る坂から始まる物語. 宮崎吾朗作品に限らず,スタジオジブリ作品の中でも本作はかなり好きな作品である. 父親の作品で言うところの『耳をすませば』に近い表現が多く見られるが,物語やキャラクターの表情はどこか影を感じる作品ではなかろうか. 舞台は1963年の横浜近郊である. 物語は非常にシンプルで二筋の話が並行して進んでいく. 一つは主人公である海と俊の関係にまつわる話. もう一つは彼女らが通う学校の部活棟であるカルチェラタンの取壊しを撤回を求め

    • 【映画備忘録】千年女優/2001年

      最初に断っておくが,私は別に今敏監督の熱狂的な,あるいは狂気的なファンではない. 『千年女優』はリバイバル上映をしていたので初めて観ることにした. キャッチコピーは「その愛は狂気にも似ている」らしい. 映画を観た人に聴きたいが、この愛はどの愛のことだと思いましたか? 千代子の鍵男への想い, 女優への想い, 立花の千代子への想い, 鍵男の絵画への想い, あらゆる人の優しさ, 姫の殿への想い, 明治から終戦までの愛国心, 千代子の鍵そのものへの執着, 千代子の千代子自身へ

      • 【映画備忘録】パプリカ/2006年

        今敏監督の作品は『Perfect Blue』と『パプリカ』を観たことがある。『Perfect Blue』は乖離を一つのテーマとしてサスペンスホラー調に描かれている印象を受けた。仔細な感想は改めて観た時に書きたい。 この『パプリカ』のテーマを一つあげるなら(よく語られるが)二元論になると思う。 白黒とか二元論とか、性質の異なる二つを対比させたり混合させたりしながらストーリーが進む。 感じたことは混ぜ合わせる二つのモノは背理的なモノではなく、片方がもう片方の性質をわずかながら持

      【映画備忘録】コクリコ坂から/2011年