IR活動の目的とは

初めまして。株式会社SmartHRでInvestor Relations(IR)を担当している森といいます。初めてのnote記事になります。

少し前になりますが、前職時代の元上司で『楽天IR戦記』著者の市川さんにお声がけいただき、未上場企業のIRをテーマにしたウェビナーに登壇させていただきました。

登壇後に色々な方から反響をいただき、IRに対する関心の高さを肌で感じることができました。

一方でIRに関する情報発信はまだまだ少なく、自社のIRをどう行うべきか試行錯誤されている企業も多いのではないかと思います。(私も絶賛試行錯誤中です。)

実務担当者の目線で情報発信を行うことで、日本企業のIRの発展に微力ながら貢献できればと思いこのnoteを始めました。

初回は「IR活動の目的」について書きたいと思います。

経歴

簡単に私の経歴をご説明すると、新卒で楽天株式会社に入社しIRやコーポレート系の業務を4年間程担当していました。SmartHRには今年の3月からジョインし、同じくIRを中心としたファイナンス系の業務を担当しています。

そもそもIRとは

本題に入る前に「IR」とは何か?について説明します。一般的な定義は以下の通りです。

IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績・今後の見通しなどを広報するための活動を指します。具体的な活動としては、ホームページ上における情報開示だけでなく、ディスクロージャー資料の送付や、決算説明会や各種説明会を開催したり、工場や施設などの見学会を実施したりするなど、企業によっては独自のIR活動を行っているところもあります。日本では、1990年代後半あたりから積極的にIRに取り組む企業が増えてきました。
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/eng/i/E0034.html

似たような言葉に「PR(Public Relations)」があります。PRのPublicをInvestorに置き換えたものだと考えると、イメージが湧きやすいかもしれません。

IRのゴールとは

いきなり本題になりますが、私はIR活動の目的を「将来のエクイティ・ファイナンスへの備え」と定義しています。

一般的に、IR活動の目的は「企業価値の向上」や「適性株価の実現」「資本コストの最小化」と説明されます。ただどれも抽象的で、普段の実務とどうリンクさせるか苦労している担当者も多いのではないかと思います。(私も初めて聞いたときはピンときませんでした。)

上場企業であれば、決算発表や投資家やアナリストへの説明会、投資家との個別面談、IRサイト通じた情報発信など、様々な手法や媒体を通じて投資家とコミュニケーションを取ります。これらのコミュニケーションは全て将来のエクイティ・ファイナンスで投資してもらうためにあるというのが私の考えです。

コミュニケーションは手段であって目的ではない

積極的なIRコミュニケーションを通じて株主・投資家と良好な関係を築くことはもちろん重要です。ただコミュニケーション自体は手段であり、目的ではありません。企業が資本市場と対話するのは、将来の資金調達に繋げるためであり、IR活動の成否は将来のエクイティ・ファイナンスが成功した時に初めて評価されるべきものと考えます。

決算説明会や決算資料、投資家との個別面談、IRサイトなど、投資家への情報発信の媒体は多岐に渡ります。またそれらの媒体を通じて、業績や事業戦略、事業環境、中期経営計画、コーポレートカルチャー、採用戦略、ESG・SDGsへの対応方針、マネジメントチームのプロフィールなど様々なメッセージを投資家・資本市場に発信します。

これらの多岐に渡るコミュニケーションを設計する際に「将来のエクイティ・ファイナンスで投資してもらう」という目的をセンターピンとして置くことで、各媒体での情報発信が洗練され、一貫したIRストーリーの構築が可能になると考えます。

繰り返しになりますが、コミュニケーションを取ること自体を目的とせず、将来の資金調達で株を買ってもらうためにはどういうメッセージを発するべきかを常に念頭に置くことで、普段のIR活動がより一貫したものになると思います。

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