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アヒンサーとカンガルー・ステーキ

最近ジムのヨガプログラムに通っている。

同じジムの"Move Body Power"なるプログラムをもともとやっていた。音楽に合わせてパワーリフティングするやつ。1月頃バーベル持ち上げて腰がぐぎっとなった。翌日から地獄の腰痛で這いまわるような生活となった。

外科でX線撮ってもらったら腰から背骨がぐにょーんって曲がっていた。パワー系の無理な負荷が蓄積されていたのだと思う。

やばいと思いやめた。整体の本を読んで姿勢を正すようにした。
腰痛治ってから、ヨガに切り替えてみた。

3か月通っているが、毎月ヨガ哲学を紹介してくれる。
今月のテーマはサンスクリットで「アヒンサー」。非暴力なる意味らしい。

ガンジーのあれなわけだが現代の日本で考えるとどういうことか、とヨガの前にわかりやすく教えてくれる。

①他人に対しては肉体的な暴力はもちろん言葉の暴力を慎む。
②自分に対する暴力も慎む。
③「できるだけ殺さない」

①は、誰でもそうだと思うが、振り返ると仕事やプライベートで反省すべき言動をとったことはある。SNSでの中傷みたいなのはないが、ゼロかというとどうか。ある映画レビューSNSで、観た作品があまりに酷かったのでこき下ろしたらその監督さんから「いいね!」がついたことがある。

②これは冒頭に書いた、無理なパワトレで自分の身体を壊すようなことでもある。また暴飲暴食で内蔵をいじめることや、ネガティブになって自分を責めることも含まれる。

③これは聞いたとき「どういうことや?」と。できるだけも何も普通はゼロでは、となったが、早い話が人間以外の生き物(そりゃそうか)。わかりやすいところだと蚊やゴキブリ。Gはもう自宅ではずっと見てない。コンバットとブラックキャップを1ダースずつ毎年しかけておくとまず見ない。それは自分では殺さず、殺しをアース製薬さんにオフロードしているようなものではあるが。

蚊を殺さないのは難易度高い。払っても戻ってくるし、寝ているときに耳元ぷーんされたら起こされて殺気立ちつい殺生してしまう。腕に止まってすでに血を吸われたと判明したらもう、ハンター・ハンターのメルエム戦でネテロ会長が繰り出した百式観音のように掌に全ての力を込めて殺ってしまう。

あとは普段の食事。これはたまに考えるが、人が一生で感じる「おいしい」の裏にどれだけの牛・豚・鳥・羊・馬・魚や鰻、カンガルー(キャプション写真。一昨日ステーキで食べた)たちの死が積みあがってきたのか。果てはこれらの命たちをおいしくいただいた後にいちいちiPhoneで撮って、いいね欲しさにSNSに上げるという行為の滑稽さ(読んでる人に向けているわけではなく、誰よりも私自身だ!)。ここに意識が引っ掛かると①②を実践しても、「私は非暴力だ」とはなかなかいいがたい。

そのへんは生真面目に考えると精神衛生上よろしくない。ということで、あくまでも"No Killing"でなく"Less Killing"なのであろう。ヨガのイントラさん達もインスタで「おいしいお肉頂きました~♪」とか言ってるわけだから、ヨガ教室でアヒンサーを説く以上、そう言うしかない。これでいいのだ。人間は不完全だから、不完全なりの教義しか成り立たない

だから蚊についても「できるだけ殺さないでおいてあげる」ので、耳元ブンブンとこっそり吸血だけはやめてほしい。頼むで。


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