ジュニアNISAがなくなったけど、2024年以降の子供の資産形成はどうする?

 2023年の年末、子どもの資産形成の手段の一つであった、ジュニアNISAが終了子ました。2024年以降の新NISAは成人年齢以上(18歳以上)出ないと開設できません。子供名義の証券口座を開くことはできるようですが、非課税で運用する手段がなくなってしまいました。。。
 そこで、2024年以降の子供の資産形成はどうすればよいのか、あれこれ考えてみた結果一旦結論が出たので、ここにまとめてみようと思います。今のところの結論になりますが、今後変更があれば更新予定です。同じような悩みを抱えておられる方に少しでも参考になれば嬉しいです!


ジュニアNISAについて

ジュニアNISAとは?

 ジュニアNISAとは、子供版のNISAとして知られ、子育て世代の間では資産運用の方法として人気の制度でした。証券会社によりますが、子供名義の証券口座は0歳から開講することができるため、子どもの成長とともに資産も成長させていくことができ、なにせNISAなので非課税で運用できるというのが最大のメリットです。旧NISAの一般NISAに似ていて、年間80万円、非課税期間は5年間、というルールがありました。
 口座開設の目的は各家庭によりけりでしたが、子どもの資産形成や、将来の教育費のため、または自分の懐に収めるためなど、様々だったと思います。筆者の場合は子どもの資産形成と、金融リテラシー教育を目的に、口座を開設しました。

ジュニアNISAは使いやすかった?

 ただ、非課税期間が5年間(5年すぎればロールオーバーにより非課税で持ち続けることは可能)というのと、18歳になるまで引き出せないという制約があり、少し使いづらいという印象を持たれた方も多かったようです。

ジュニアNISAのルール変更について

 実際に廃止されることになりましたが、それに先立ってルール変更があり、非課税期間の5年が終了後は手続き無しに継続管理勘定に移行され、非課税で保有できるようになりました*1。引き出しも18歳を待たずにいつでも引き出しが可能で、しかも非課税で受け取れます*2。このルール変更が発表されてから存在が見直され、2023年末にかけて駆け込みでジュニアNISAに投資をして、駆け込み完走した!という話題で年末盛り上がりましたね。
*1:非課税期間は18歳になるまでで、18歳を過ぎると自動的に特定口座に移行する。ジュニアNISA口座を保有している場合、NISA口座も手続き無しに開講される模様。
*2:一部を引き出すのは不可で、口座の解約が条件。そのため、引き出すことを決めた場合、全額受取となる。


新NISAについて

旧NISAとは?

 新NISAに触れる前に、旧NISAについて少しだけ触れておきます。従来の旧NISAは「積み立てNISA」と「一般NISA」の2つの候補のどちらかしか開設することしかできず、NISAを開くに当たり最初に重大な決断を迫られました。積み立てNISAは年間40万円の枠の中で、投資信託を中心とした商品の中から積み立てを行い、20年間は非課税で運用が可能でした。一般NISAは年間120万円の枠の中で、株式・ETF・投資信託など幅広い商品を購入することが可能で、5年間は非課税で運用できるという制度でした。それぞれ一長一短の制度で、筆者も非常に悩みましたが、年齢が比較的若かったのと、無理のない範囲で運用したいという考えがあったため、積み立てNISAを選択。制度が終わる2023年末まで、満額をコツコツ積み立てていました。

新NISAがスタート

 そんな中、新NISAが2024年1月にスタートしました。新NISAとは、これまでとは全く異なるNISAで、FPのコメントや新聞記事などで批判的な意見はほとんど見受けられない、とても評判の良い制度です。(一時期、とてもややこしい制度のNISAが提案されていましたが*1、それが採用されなくて本当に良かった。。。)これまで同様、積み立て投資枠と一般投資枠の2枠が用意されていますが、この併用が可能になり、積み立てで投資信託を購入しながら、一般株の購入するということができるようになりました。更に非課税期間が無期限に設定され、半永久的に非課税での運用が可能です。制約は、それぞれの投資枠に投資できる枠が決まっているのと、生涯投資枠が設定されています。積み立て投資枠は年間120万円、一般投資枠は240万円で、生涯投資枠が1800万円です。この生涯投資枠は、資産を売却すると復活させることができるのが特徴で、しかも買値で復活できます。旧NISAよりも改良された点が多く、多くの個人投資家が参加し、実際最近の日経平均等を見ても上昇基調であることがわかります。
*1:あやふやな記憶ですが、積み立て投資枠と一般投資枠の両方を保有することができるという点は一緒ですが、積み立て投資枠で運用しないと一般投資枠での運用ができない、などかなり複雑で理解が難しいルールが多々あり、どうやって使いこなそうかと妄想してました。妄想で終わって良かった。。。笑

新NISAの注意点

 注意点は特にない?のですが、投資枠が復帰するタイミングに注意が必要です。年間投資枠、生涯投資枠ともに、年始に枠がリセットされます。そのため、一般投資枠で売買を繰り返すと、購入時に枠を消費し続けることになり、上手にやりくりしないと投資枠がなくなってしまいます。生涯投資枠を気にし始めるのは少し先になると思いますが、やはり売却により復帰するのは年始になるため、売買の繰り返しには注意が必要です。
 また、これは旧NISAでも同じでしたが、NISA口座を開くことができる証券口座は一つまでです。一つの証券口座では積み立てを行い、もう一つでは一般投資をしよう、などという使い方はできないため、商品が限られる証券口座より、選択肢が豊富なネット型証券口座に人気が集まるのも致し方ないかもしれません。(余談ですが、iDeCoとNISAの併用は、従来通り可能です。)

2024年以降、子どもの資産形成はどうする?

いくつかの候補がある

 以上、簡単にジュニアNISAと新旧NISAの特徴について紹介しましたが、ジュニアNISAがなくなってしまった2024年以降、どのようにして子どもの資産形成を行えばよいでしょうか?筆者の場合、冒頭で述べた通りジュニアNISAは資産形成並びに金融リテラシー教育が目的で開きました。今後、この子の資産形成はどのように行えばよいか、また、次に控える第2子第3子の資産形成と金融リテラシー教育はどうするのか、頭を悩ませました。将来、第2次第3子に「兄(姉)のときはジュニアNISAというものがあってだな、でもなくなった君たちは運が悪かったということだ」という話はしたくなかったので、いくつかやり方を考えてみました。割り切って課税口座で運用する、というのも考えましたが、せっかくなら非課税でということで、課税されない方法に絞っています。

 今のところ思いついている方法は以下の3つです。

  • それでも特定口座で運用

  • 親と一緒にNISAで積み立てる

  • NISAで積み立てる商品を分ける

  • 【提案方法】積み立て日で分ける

特定口座で運用

 1つ目は子供名義の証券口座を開いて、特定口座で運用する方法です。「え、課税されるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、収入は年間38万円まで控除されるため、利益が38万円に抑えられていれば非課税で運用することができます。子どもの資産運用をする際の原資で、1年間で38万円以上の利益が出ることはそうそうないと思うので、この方法でも非課税で運用可能です。
 ただ、手続きがかなり増えるというデメリットがあります。まず、子供の名義で証券口座を開く必要があります。ジュニアNISAを開いたことがある方はわかると思いますが、これがそこそこ大変。また、毎年年末に現金化する必要があります*1。そして、年度末に待ち受ける、確定申告に毎年行かなければなりません*2。また、証券口座を初めて開くと得られるキャンペーンなどの機会損失を与えてしまうのも、デメリットかなと思います。
 この方法も一度考えた(筆者は毎年e-Taxで確定申告しており、そこまで苦に思ってない)のですが、毎年現金化するのは忘れるリスクもあり、ちょっと無しかなと思いました。
*1:含み益が38万以下の場合は、現金化する必要はありません。ただ、次年で超える可能性はゼロではないと思うので、毎年マメに現金化したほうが良いです。
*2:利益に課税された場合は確定申告で還付を受ける必要がありますが、非課税で受け取る方法を取れば、確定申告も不要になります。

親と一緒にNISAで積み立てる

 2つ目の方法は親と一緒にNISAで積み立てる方法です。筆者の場合、毎月頭に積立日を設定し、旧積み立てNISAからずっと積み立て投資をしてきました。新NISAにより枠が増えたため、ここに子どもの資産運用分を上乗せし、一緒に投資してしまう、というのがここで提案する方法です。メリットは確定申告のような手続きが不要で、非課税で運用できてしまうということ。積み立てる資金さえしっかり準備しておけば、基本放置で運用でき、筆者のようなめんどくさがりでもそこまで苦にならずに運用できるでしょう。ジュニアNISAを教育資金のために運用していて、その代替手段を考えている方は、この方法を取る方も多いと思います。
 ただ、筆者家庭のように、積み立てる目的はあくまで子どもの資産運用で、将来的には運用した資産は子供に渡す!と考えている人はどうでしょうか?積み立てた額に色付けすることはできないため、子供用に増やした額が将来どれくらいになっているのか把握することは難しく、渡すタイミングになったときにどのように配分するのでしょうか?「ざっくり多めに〜」と言っておおよその金額を渡しても、筆者が子供だったら「え、ちょっと少なめにしてるんちゃうの?」と疑ってしまいます。そんな筆者のような疑りやすい大人には、育ってほしくないので、この方法ふは不採用としました。

NISAで積み立てる商品で分ける

 3つ目の方法も親のNISA枠を使う方法になりますが、商品を分けるという方法です。この方法では親とは別の商品で子どもの資産を運用するため、資産が混ざることなく運用ができ、将来子供に渡す資産もはっきりします。エビデンスが残るため、筆者のような疑り深い子供にも安心して渡せますね。
 デメリットは商品の選択肢が限られてしまう点です。ネット証券のようにNISAで買える商品が沢山用意されていればよいですが、そうでない場合には限界があります。また、筆者は自分のNISAは「これがベスト!」と思ったものを購入していますが、商品をわけて購入するとなると2番手3番手のものを渡すことになってしまいます。「え、成績悪いやつに妥協してたん?」とこれまた疑り深い子に育ちかねません(そんなことない)。

【提案方法】積立日で分ける

 そこで今回提案する方法が、積立日で分けるという方法です。これまで同様、親のNISA枠で投資をするのですが、投資信託を購入すると証券口座に履歴が残ります。履歴はざっくりまとめると、「購入日」「積立金額」「口数」「商品」が残ります。つまり、親の積立日と子どもの積立日を別にすると、その商品に何口購入したのかが把握しやすくなり、同じ商品を同じ口座で積み立てたとしても、資産の分割がやりやすくなります。これで将来資産を渡すときに「妥協もせず、ちゃんと計算もしてくれてありがとう」と心から言ってくれるでしょう。
 注意点は積立日の間隔です。土日祝日は取引ができないため、その翌日に積立日が設定されます。親の積立日の次の日などに設定していると積立日が被ってしまうことが起きてしまいます。最低5日程度は間隔を開けて、また月末28日以降は設定しないようにする、など工夫が必要になります。
 ただこの方法にもデメリットが存在していて、やはり計算方法が煩雑になるのは避けられません。親を毎月10日、子供を20日と設定していても、土日祝日で日付がずれることもあり、簡単には管理できないというのはあると思います。エクセルなどに慣れている人でないと、なかなかとっつきにくい方法だと思います。
 加えて、やはり親のNISA枠を使うと積み立て・一般も投資枠が限られているため、子供が増えたときに枠が足りなくなるという可能性があります。その時は一般投資枠で積立設定する、パートナーと協力してやりくりするなど、考えなくてはなりません。

応用編

目的別に積立日を分けて管理する

 子どもと親の資産を分けて運用する方法を紹介しましたが、子供と親に限らず、目的別に分けて積み立てることもできます。車購入、家購入、教育資金、老後資金、などなど、いろいろな目的に分けて積立日を設定すれば、管理もしやすくなるかもしれません。その目的ごとに必要な目標額も違ってくるため、積立額も調整すると良いでしょう。

最後に

 今回、ジュニアNISA廃止に伴い、子どもの資産形成をどうするのか?という疑問に対する一つの解決策を提示させていただきました。いずれにしても新NISAの制度改革がかなり良かったため、取ることができた方法です。新NISAの制度に感謝しつつ、一般NISA枠で何を買うか検討しながら、眠りにつきたいと思います。。。

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一緒に金融リテラシーを上げていきましょう!


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