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【無料】「お金はあんねん!」で素直に笑ってもらえるかが1つの分岐点

「お金はあんねん!」

聞いたことある人も多いかもしれませんが、芸人さんのエピソードトークなどの最中に何かしら不服な出来事が起こった際に言い放つクダリとして、「お金は持っている」とアピールして笑いを生み出す方法。

本来、「自分はお金は持っているんだ」と公言するくだりはギリギリである。
ユーチューバーなどはお金を持っていること自体を動画のネタにするが、お笑い芸人はそれをやらない。
別におもしろくないからだ。プロの芸人は笑えないことをやらない。

お金を持っていることをネタにして動画を作ることではなく、エピソードのくだりとして入れ込む「お金はあんねん!」は入れ方やタイミングで笑いを生む。
笑いを生むと踏んでいるからこそ芸人はトークの間に入れ込む時があるのだが…

これが笑えるか笑えないか?

それが1つの分岐点だと言わざるをえない。

ようするに、「お金を持っていて当たり前」だと世間に思ってもらえていることが大前提。
もっと言えば、「これだけ凄い人なんだから大金を稼いでいないとおかしい」
「お金は持ってんねん」が発動した瞬間は、世の中からの評価が顕著に問われる瞬間なのだ。
非常にシビアな話題だからこそ、身も蓋もないほどにリアルな世間の声が響いてくる。

「いつもお金の話題しかされない」「稼ぎに対する質問しかされない」
そう嘆いている人がおりますが、それはなぜか?

少々厳しい言い方にはなるが、お金のこと以外に興味を持たれていないからである。
もっと言えば、その裏にはリアルな本質がある。

お金を稼いでいることに違和感を持たれているがゆえにお金の話ばかり聞かれてしまう現実…

大谷翔平選手にお金の話ばかり聞く人は存在しない。
ビートたけしさんにお金の話ばかり聞く人も存在しない。

お金を持っていることなど当たり前の大前提。
そんなことはどうでもいいほど、大谷翔平選手にもビートたけしさんにも聞きたいことがたくさんあるのだ。

お金持ちであることが当たり前の大前提であることで、お笑い芸人が放つ「お金はあるんだけどね」が、ようやく笑いになる。

ここのステージに上がれるか否かに極太の川が流れている。
よっぽど認められていないことには、自らがお金を持っていることをなかなかネタにはしづらい。

実力不足だけど商才のみで稼いでいる芸人が、「たくさん稼いでいます」と客前で言った時の客席のドン引き…
実際に何度か目の当たりにしたこともありますが、あれはドン引きからヘイトへと変わり、最終的には笑ってもらいにくくもなります。

今までごまかされていた、その人への評価が物理的に姿を現す瞬間。あの現象は想像以上に恐ろしく「はぁ?」という心の声が客席から聞こえる。

本当に面白い人だと思ってもらえているか?
売れていて当たり前だと思ってもらえているか?

現代は様々なアプローチがあるからこそ、評価の基準が曖昧となっている時代。
いろんな評価軸があり、いろんな生き方があり、その全てを許容していく世論の流れ。

だが、「お金はあんねん」のクダリだけは時代を超えて変わらなかった。
入れ方やテクニックの妙も当然あるが、それで笑ってもらえるか笑ってもらえないか?

他者の価値観を認め合う時代になったからこそ、逆にシビアな部分だけは色濃く残ってしまったのかもしれません。

つまり、力量不足の人が威嚇するために放つ「お金は持ってんねん!」は完全なる逆効果。

お笑いの世界は何から何までシビアなんだ。


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