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【無料】"芸人力の源流"は音声メディアで語れると「いたって真剣」に綴ってみる

朝日放送で毎週木曜日に放送されている「やすとものいたって真剣です」という番組。 

芸人さんをゲストに迎え、普段は話さないディープな側面を深掘りしていくトーク番組だ。

以前、「こんな音声メディアがあれば…私は絶対に聴く」といったタイトルの記事を書いたことがあります。

この記事の最後を私はこんな結び方で終わらせている。

芸人さんが酒の席で顔を赤らめながらマジメに語ってくれる話の中身。それを本人が言語化して、きちんと声に落とし込む。

そんな音声メディアがあれば…私は絶対に聴く。

まさしく、「やすとものいたって真剣です」の番組内でゲストの芸人さんが話しているような内容。
それこそが、酒の席で顔を赤らめながら芸人さんがマジメに語っている中身である。

この番組において、ゲストの芸人さんはスタジオで真剣に話しているが、本来ならシラフでするような話ではない。

なかなかプロの芸人さんがオンでは語らない部分にスポットを当て、その奥深さをソフトとして綺麗に落とし込んでいる。

こんな濃いトーク内容を音声メディアとして発信すれば絶対に聞きたいと。

私はそう言い続けてきたのだが、現在「いたって真剣です」が、普段オンでは語らない部分をテレビ番組に落とし込み、圧倒的に面白く仕上げている。

朝日放送の制作なので、M-1の素材を使えるのも強み。
もはや、真剣な人間の裏側に迫っていくドキュメント系を撮らせたら朝日放送の右に出るものはいないだろう。
それほどに、この番組は見応えがあり、テレビ番組ならではの矜持も感じる。

TVerの出現でローカルや全国ネットの垣根もなくなり、ハイクオリティなコンテンツがオンデマンドで観られる時代。
そんななか、「やすとものいたって真剣です」が、深さと熱量を兼ね備える番組の筆頭にあると個人的には思っております。

さらに、現役の女性漫才師でトップに君臨する海原やすよともこさんだからこそ、聞き手としての説得力も強い。
板の上で地道に勝ち上がってきた漫才師であるがゆえ、スタジオがバラエティの枠を超えた真剣な舞台へと様変わりする瞬間がある。

真剣に話を聞くなら、真剣勝負を勝ち抜いた人が聞き手であるべき。
でなければ、聞かれる側だって真剣になれない。

昨今、プロの演者たちがYouTubeへ参入したことにより、この手の話を深掘りしている動画が増えた。

いわゆる"テレビではあまり語らない系"の切り口から質問をぶつけていく芸人さんの裏話とでも言うのでしょうか。

YouTubeはチャンネルを開設した瞬間に、自らが冠を背負った番組を自発的に作れる。
板の上で勝ち上がり、プロからも一目置かれ、数多のライバルたちを実力で押しのけ、ようやく座れるはずのポジションが一瞬で手に入る時代となった。

その結果として

正直、違和感を覚えることも増えた。

そのポジションに相応しくない人間がワープしてホストとなり、力のある人間をゲストとして呼び質問を繰り返す。

実力や格の有無は置いといて事務所のバックアップ次第では、個人媒体でそれが簡単にやれてしまう時代。

それはそれでいいのですが

力のある人がホスト役にいるからこそ真剣に語る話にも意味が出てくる。

あの手この手を駆使して、どれだけ豪華なゲストを呼べたところで、力のある人が聞き手に回っているコンテンツに勝つことはできない。

だからこそ、「いたって真剣です」において、大手事務所を代表する看板漫才師まで登りつめたやすともさんが聞き手であることは大きい。

漫才師としての説得力が、ゲストを真剣にさせてしまう構造にもなっている。

いろいろ踏まえてオススメの番組なので、もし知らない方がいれば観たほうがいいのは間違いないのですが

この番組を通して改めて、お笑い芸人さんの能力の高さを感じると同時に、その土台を支える源流は面白さを突き詰めていく芸人力にあることも気づかされる。

深いレベルで物事を考察し、高次元で板の上と向き合い、芸事の本質を真芯で捉えている。

プロの芸人として頭一つ抜けられる人は根っこの部分が思慮深い。
お笑いを突き詰め、キャリアを重ねてもなお、笑いのプロとして認められたいと真摯に向き合いながら足掻き続ける。

今は良くも悪くも"笑いの戦い"から逃げられる時代になったからこそ、余計にプロとしての矜持を考えざるをえない。

媒体もやりかたも多様化され、選択肢の幅は広がったことにより

お笑い芸人として真っ直ぐ生きるなんて時代遅れだと、そんな立場を取る人たちもプロの中に現れた。

今の時代なら、こんなやりかたがあんのに…あんなやりかたもあんのに…
外側の部分だけを雄弁に語り、コンテンツの中身に関しては能力者の豪腕にぶら下がったり、何か引きのあるものを利用して戦略家の道へと突き進む。

そんな時代だからこそ、不器用でも真っ直ぐ本気で笑いを突き詰めている芸人さんから飛び出す話は、以前より重みを増し始めた。

こんな面白い人たちが普段話さないことを本気で語ってくれるなら、しっかり耳を傾けたいと。

本物のスキルを持つ人だからこそ、内に秘めている本音に価値がある。

表に価値がなければ、裏話にも価値はない。

それをハイクオリティで証明してくれているテレビ番組が、「やすとものいたって真剣です」

力のある芸人さんが、酒の席で数年に一度くらいしか語らないであろう話を真剣に語れば、極上のエンターテイメントたりえることを証明してくれている。

だから、何度も言う。
これは音声メディアでやるべきだ。
誰に話していいか分からないので、もう一度言います。

ラジオじゃ芸人さんはオンモードになるので難しい。
テレビは大人数が関わりすぎているし、影響力も別格であるがゆえ、良くも悪くも仰々しさが出てくる。

ちょうどいい規模感とバランスと環境で、芸人さんが普段オンでは語らない、芸事への向き合い方やキャリアの中で起きたことの裏側を語る音声メディアは絶対に面白くなる。

確実に聞き応えはありますし、聞きたい人も多いはず。

インタビュアーは、取材力には自信ありの私が全てやりますので。

本気でおもしろくてスキルの高い芸人さんの話は、どこをどう切り取っても味がする。
本当に捨てるところがない。

そんな音声があれば
コンテンツとしての強度と数を量産できる力も兼ね備えながら、1つのムーブメントを確実に起こせるはず。

さらに、お笑い芸人の能力の高さから来る思考法や着眼点は、お笑い好きの人以外にも刺さるコンテンツにもなりえる。

ゆえに、やらない理由が分からない。

いたって真剣に、私はそんなことを思っている。

chachisan319@gmail.com

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