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【無料】さらば青春の光のYouTubeが運び込む"アノ頃の深夜番組感"

近頃、さらば青春の光のYouTubeチャンネルの更新が楽しみになっている。

この楽しみにしている心の持ち方は何かと似ている…と薄々思っていたのだが近頃判明しました。

アノ頃の深夜番組感だ。

アノ頃と言えば、中学生くらい〜高校に入ったばかりくらいの時期。
そういえば、昔は深夜にテレビ観るの好きやったなあ…と懐かしい気持ちを運んできてくれる。

初めて自分の部屋にテレビを置いてもらった瞬間。
あれは中学2年くらいの頃だろうか。。。
とにかく嬉しすぎて家にいる時間が好きになった記憶がある。忘れもしないaiwaのテレビデオだ。

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ボリュームをちっちゃくして深夜番組を遅くまで観まくっていた時期。
あれがテレビと私を繋いでくれた原体験である。
寝不足のまま学校へ行き、同じように深夜番組を観まくっているクラスメイトとテレビ談義をしていた。

ちょっとした秘密の共有であり、どこか世間からハミ出せているつもりでもいる意味不明な優越感。
「ほとんど寝てへんわ〜」と言いながらペチャクチャ喋っていたアノ頃。

あれから20年余りが経ちまして…すっかりアノ頃の気持ちは失いました。

失ったどころか何の深夜番組を観ていたのか記憶すらも曖昧。
言われたら思い出すのかもしれませんが、鮮明に焼きついているわけでもない。

良くも悪くも深夜番組は作品性よりも「その時おもしろかったらええねん」の連発が主体。
垂れ流しの美学と共に刹那的な輝きを放つメディアとして娯楽の絶対王者にテレビは君臨していました。

自分も年齢を重ね、経験を積み、テレビの役目も変わり果て、どこかに置いてきぼりにしてきたアノ頃の記憶。

もう、親が買ってきた服にキレることも一生ない。
夜な夜なコンビニの前にたむろすることもない。
修学旅行の夜に好きな女子を発表しあうくだりも訪れない。

それと同じで、アノ頃味わった深夜番組感に出会うことは2度とないはずだった。

しかし、さらば青春の光のYouTubeチャンネルを観ているとき…
あの時の懐かしい風がフワッと吹いてくる。
iPhoneをaiwaのテレビデオだと錯覚してしまう瞬間が時に訪れるのだ。

さらば青春の光のYouTubeチャンネルはバカバカしさに溢れておりナンセンス極まりないのだが
あらゆる意味で突き抜けている。

まず、さらばのお二人は芸人としての地肩が突き抜けている。

ネタを見れば一目瞭然だが、その面白さと着眼点は圧倒的。
さらばは賞レースに強いと言われてきたが、それもそのはず、横並びで他と比べた時にネタの角度がズバ抜けている。
賞レースは己を磨き上げてネタをかける最高峰の場でもあるが、同日に行われる予選参加者との熾烈な戦いでもある。

2016年のM-1グランプリ準決勝。
さらばの漫才を現場で観させていただきましたが、あの漫才は「決勝に通す通さない」の論議を超越してしまう内容だった。
私なりの言い方をするならば「通さざるをえない」
他の参加者と比べながら勝ち負けを決める賞レースにおいて、さらば青春の光は人一倍輝きを放ってしまう。
数十組を観た後で頭は疲れていても、どんなネタだったかを確実に覚えている不思議さ。一度しか観ていないが、今もネタの内容を覚えている。

何より、完全なる個人事務所が芸能界を勝ち上がる道のりがどれほど険しいことなのか…
業界にいなければ伝わりにくいのは百も承知ですが、この世知辛く節操のない世界において、個人事務所への仕打ちなど想像をはるかに超えてきます。

大手事務所がレアル・マドリードだとすれば、個人事務所は聞いたことのないJ2のチームみたいなものです。
動いてくれる人数やら設備から何から何まで雲泥の差であり、お金のかけかた、事務所のバックアップやプロテクト、縦横の繋がりから受ける恩恵なども比べものになりません。
だから、マージンを取られるのです。

昨今、大手事務所からの独立がブームみたいになっていますが、いざとなったら守ってもらえることのありがたみ…それは個人的に考えざるをえません。

なぜなら「いざとなったら守ってもらえる」の反対語は
「いざとなったら守ってもらえない」です。

その恐ろしさは実際に体感してみなければ分かりませんが、そんな世界で勝ち上がり勝ち残っている圧倒的なお笑い実力者。
そんな2人が突き抜けてふざけきっているYouTube。

おもろくなかったらウソだ。おもろいに決まっている。

さらには突き抜けてふざけきっている企画の数々。

いちいち、
なんなん!?それやらなあかんの!?の連続。

しかも、企画によっては、かなりの予算をかけている。

収益のことなど度外視している企画もあり、とにかくお笑いに誠実。
「別にええやん!おもろそうやからやろうや!」という声が聞こえてくる。

モラルや時代背景の話は一旦置いといて、お笑いに対して信用できることは何事にも変え難い。

"アノ頃の深夜番組感"を一言で表現はしにくいのですが、どこかに信用できるものを10代ながらに感じていたのかもしれません。

アホなことばっかりやってて、ええ大人が何言うとんねん!の極みだとしても…ええ大人が真っ直ぐ人を笑かしにいく姿勢。
そこに全幅の信頼を置いていたからこそ、眠い目をこすりながらも深夜にコソコソテレビを観ていたのだと思います。

しかも、さらばのYouTubeは
ただただバカバカしいだけじゃなく、笑いへの落とし込みに愛を感じる瞬間もある。

「全てを笑いに変えていく」

何かとよく言われがちではありますが、この言葉を安易に使うとヤケドする未来が待っています。

かなりの腕がなければ何でも笑いに変えていくことはできませんし、少しでも間違えてしまった場合は強烈なカウンターパンチをもらうこともあります。

それゆえ、「笑いに変える」は圧倒的強者の論理なのですが、、、

さらば青春の光は実に見事に笑いへと変えていきます。

その真骨頂がクリーンヒットした企画は、花田優一イントロドン!!

何かと叩かれてしまう花田優一さんですが、この触り方は絶妙と呼ぶ以外言葉が見つからない。

何かニュースになるたびに「そんなことより早く靴作れ!」と叩かれてきた花田優一さんですが、なぜ花田さんに靴をオーダーしていない人が叩くのか?
100歩譲って叩く権利があるのは靴を頼んで待たされている人だけじゃないのか…
そんな理不尽極まりないネットリンチに遭い続けている花田優一さんの出した歌を絶妙にイジりきって笑いへと昇華している完全なる神回。

この企画は、さらば青春の光じゃなければ背負えない。

お笑いやバラエティーへの向き合い方と誠実さが凝縮されており、花田優一さん本人がゲストに来る続編まで含めて100点満点の回収までしている。

ここまでやられたら、もう笑うしかないやん…

そんなことの繰り返しで、さらば青春の光のYouTubeは更新されている。

ちなみに、私は森田さんより年下で東ブクロさんより年上です。
ようするに、さらば青春の光の間の年齢なのですが
このお2人は我々世代の面白さを代表してくれています。

そう、自分の年代はおもろいものにめちゃくちゃ触れてきた世代であり、ビカビカに感性が研ぎ澄まされていることは手前味噌ながら自負しております。

ただ、大きく時代が移り変わる過渡期を経て狭間の世代とも呼ばれ、新ネット世代からは「古い」とされることもあり、上のテレビ全盛期世代からは「青二才」と称されることもあります。

どこか半端な世代だと揶揄されがちな気もするのですが…
さらば青春の光が誠実に面白さを追求し、レベルの高い笑いを提供し続けてくれている現実は我々世代に勇気を与えてくれます。

どんな世代を相手にも
「こんだけおもろい芸人おんねんぞ!」と胸を張って戦える我々世代の代表選手。

「ほとんど寝てへんわ〜」とイキりながらペチャクチャ深夜番組の話を喋っていた学校での一コマは、、、
自分にとって青春の光だったんだな。

とりあえず、「ありがとう」と言ってみたい。なんか分からんけど。


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